2021.07.21
今夏は休暇に励み、来シーズンの巻き返しを誓うレブロン・ジェームズ(ロサンゼルス・レイカーズ)。最近は息子ブロニー・ジェームズの試合会場に訪れて父親の顔を見せたり、インスタグラムのトップ画像を『スペース・プレーヤーズ』仕様に変更したりと、シーズン中とは異なる一面を覗かせている。
さて、そんなレブロンは言わずもがな、アスリートでもトップクラスの知名度を誇る。『Sportycious』によると、スポーツ選手に限定したインスタグラムのフォロワーランキングでは、トップ10の殆どをサッカー選手が占めるなか、レブロンはバスケットボール選手として唯一リストに名を連ね、全体5位にランクインしている。
しかし、勝敗をつけるエンターテイメントであるがゆえに、有名であればあるほど、サポートの声と比例して非難の多さも目立つのがスポーツの性。スポーツベッティングサイト『Pickwise』の調査曰く、レブロンはアスリートで最もツイッター上で暴力的なメッセージを受け取っている選手だという。
2020年6月からの1年間、キングに向けられた暴力的なメッセージの総数は、12万2568件にも上る。次いで、サッカー・イングランド代表のマーカス・ラッシュフォード(マンチェスター・ユナイテッド)が3万2328件、NFL史上最高のクォーターバックとされるトム・ブレイディ(タンパベイ・バッカニアーズ)が2万8151件。すなわち、レブロンには2位のラッシュフォードと比較して約4倍もの量のヘイトコメントが投げかけられているのだ。
少し話しは逸れるが、前述のラッシュフォードは新型コロナウイルスで貧困に苦しむ英国内の子供たちを支援し、大英帝国勲章や名誉博士号を授与した人格者だ。しかし、「EURO2020」の決勝戦でPKを外した責任を咎められ、最近は彼宛てにおびただしい数のヘイトメッセージが向けられたほか、本人が描かれた壁画にも差別的な言葉が落書きされる始末。だが、地元民たちはそんな刺々しい言葉をイングランドの国旗や愛のメッセージで覆い隠し、ラッシュフォード自身もPK失敗を謝罪する一方で人種差別を断固として許さない力強いメッセージを発信した。
We often forget in the spirit of competition that the very people you root for or against are human nonetheless. We’re with you @marcusrashford https://t.co/Bp1gJjrKDF
— Carmelo Anthony (@carmeloanthony) July 12, 2021
“Black Lives Matter”をリーグ全体で謳い続けるNBA。時にはヒートアップしてしまうこともあるかもしれないが、肌の色やルーツに関係なく、選手、スタッフ、ファンのどの構成要素が欠けてもスポーツは成立しない。個人をリスペクトする心、そしてラグビーに倣うノーサイドの精神。バスケットボールが一切の濁りなき紳士のスポーツになる日まで、一人ひとりが声を上げ続けなければならない。
文=Meiji
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