2023.08.30
極限の戦いのなかで飛び出す想像を遥かに超えたスーパープレーこそ、NBAの醍醐味。強烈なポスタライズダンク、巧みなハンドリングからのアンクルブレイク、すべてを欺くトリッキーなアシストなど、カテゴライズされるシーンは様々だが、試合の流れを左右することはおろか、時にはクラッチシュートほどの決定打となるブロッキングも大いに会場を沸かす一瞬だ。
ユニークな切り口でNBA情報を発信する『HoopsHype』は、そのディフェンスハイライトより、NBAの歴代ベストブロックをピックアップ。リスト内には未だ記憶に新しい“あの”ブロックも含まれているかもしれない。
佳境を迎えているNBAファイナル2021。2勝2敗で迎えた第5戦最大のハイライトは、第4クォーター残り1分17秒で起きたディアンドレ・エイトン(フェニックス・サンズ)に対するアデトクンボのブロックで異論はないだろう。
ハンドオフアクションを実行したエイトンは、デビン・ブッカーにボールを預けてそのままゴール下へ。そして、ハンドラーのブッカーは相手選手4人を引きつけ、完璧なタイミングでエイトンへロブパスを上げた。そのままアリウープが成立する完璧なプレーだったが、終盤のビッグプレーを阻んだのが他でもない、ヤニスだった。
超人的なレスポンスとアスレチック性能、そしてファウルなしのクリーンなストップは常軌を逸しているといっても過言ではない。もし、バックスが第6戦をモノにして1971年ぶりのチャンピオンに輝いた場合、アデトクンボの超絶ブロックはさらに価値を増して、後世に語り継がれることになるだろう。
現代バスケのベストブロックは、このプレーで満場一致かもしれない。
舞台は、NBAファイナル2016の第7戦。同点で迎えた残り2分、当時クリーブランド・キャバリアーズに在籍していたカイリー・アービングはタフなフローターを決めきることができず、ゴールデンステイト・ウォリアーズに速攻を許してしまう。ステフィン・カリーからのバウンズパスを受けたアンドレ・イグダーラは、JR・スミスを掻い潜り、イージーなレイアップを沈めるだけだったが、そこに“SWAT”が駆けつけた。
遠く離れたところから猛スピードで自陣へとカムバックしたキングは、ゴールテンディングと紙一重のタイミングで、チェイスダウンブロックを炸裂させたのだ。
このビッグプレーにより、クリーブランドは前年のリベンジを果たし、地元へ優勝旗を持ち帰ることに成功。レブロンのキャリア3度目の優勝を決定づけるブロッキングがリーグ史上最高のブロックであることに、異論を唱える者はいないはずだ。
既出のブロックように試合を決定付けるものではないが、ヤオ・ミンの身長が229センチであるのに対して、ネイト・ロビンソンがわずか175センチの小兵であることを忘れてはいけない。
NBAの歴史上でも指折りのビッグマンに対して、3度のダンクコンテストチャンピオンは恐れることなく、ブロックを試みた。それも背後や死角からボールを突くのではなく、正々堂々、リムを背後に面と向き合って。
両者の身長差は54センチ。まさに、ロビンソンの驚異の身体能力を象徴する瞬間だった。
ホーレス・グラントとスコッティ・ピッペンのチャールズ・スミスに対する連続ブロックや、ベン・ウォーレス対シャキール・オニール、ブレイク・グリフィンがデロン・ウィリアムスに放ったポスタライズ阻止など、素晴らしいブロックは数知れないが、最後は筆者の記憶で最も“スマート”だったブロックを抜粋したい。
それは、東京オリンピックでアメリカ代表から追加招集を受けたマギーがまだワシントン・ウィザーズにいた頃のハイライトだ。
完全にディフェンスを振り切ったウェスリー・マシューズに対してヘルプに行ったマギーは、右手1本でショットをブロック。さらに、空中でボールを強奪するや否や、それを小脇に抱えて綺麗に着地してみせた。
NBAの歴史を振り返ってみても、これ以上にクリーンなブロックを探すのは、骨の折れる作業になるはずだ。
文=Meiji
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