2021.07.20

日本からの贈り物…キャピタル・ワン・アリーナに届いた国歌斉唱

アメリカ国家をプレゼントしたRIZEバスケットボールスクールのメンバーと親御さん [写真提供]=芦刈建夫氏
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 今からさかのぼること約3カ月前の4月27日(現地時間26日)、ワシントン・ウィザーズのホーム、キャピタル・ワン・アリーナでは、日本の伝統と文化を紹介する「ジャパニーズ ヘリテージ ナイト」が開催された。ウィザーズといえば八村塁の所属チームであり、このイベントにピッタリのアイコンとも言える存在だ。この日行われたサンアントニオ・スパーズ戦までヒザの痛みで4試合欠場をしており、出場が危ぶまれいたのだが、無事復帰。試合は143−146で敗れたものの、アリーナに駆けつけたファンやネットを通して日本のファンにメッセージを送ったことを覚えている人も多いことだろう。


 NBAの試合の前にはゲストを招いてなどしてアメリカ国歌を斉唱する。実はこの試合でその大切な役割を担当したのが日本のバスケチームだったということをご存知だろうか。それがRIZEバスケットボールスクール。今回、このスクールを主催するRIZE合同会社代表の芦刈建夫氏に話をうかがう機会を得た。このイベントへの参加の経緯を聞いていく中で、芦刈氏をはじめチームで共有している子どもたちに夢を持ってもらう大切さ、それをバスケットボールを通して行っていくというチームの思いを感じられるものとなった。

 当初、芦刈氏は子どもたちを連れて、キャピタル・ワン・アリーナに赴く予定だった。しかし、折しも新型コロナウイルス感染拡大の影響で、簡単にアメリカとの往来が出きない時期でもあり、子どもたちの安全を考えれば断念せざるを得なかったという。

「とても残念でした。本来であれば、実際に子どもたちにコートに立たせてあげたかったと気持ちは強いです。私たちのチームはこれまでNBAのチームとの関係を築いてきました。ロサンゼルス・クリッパーズのステープルズ・センターや、当時ゴールデンステイト・ウォリアーズのホームだったオラクルアリーナで、試合前に現地の子どもたちと試合をしたり、NBAの試合観戦をするなどのツアーも行った実績があります。ですから今回も連れていきたですし、最後まで悩みました」

 その代わりとしてアメリカ国家を歌ってウィザーズに送ろうというアイディアが出てきた。ウィザーズもその提案を快く承諾。初めて歌う子どもたちも多く、もちろん歌詞は英語だ。それをチームで練習して覚えていき、無事、国歌を歌ったビデオが送られ、イベントの当日、試合前にキャピタル・ワン・アリーナで披露されたのだ。

 さらに、ジャパニーズ ヘリテージ ナイトのハーフタイムでは、群馬クレインサンダーズのオフィシャルダンチームとしても活躍するRIZE Dancersが日本を代表し選出されリモート出演をし、和をテーマにした圧巻のパフォーマンスを行った。RIZE DancersはBリーグ初の男女混合NBAスタイルダンスチームとして、大変注目をされ人気がありウィザーズからも高い表現力が賞賛されたとのこと。早くも次回のジャパン ヘリテージ ナイトにぜひ出演してほしいとオファーを受けている。

ジャパニーズ ヘリテージ ナイトのハーフタイムを盛り上げたRIZE Dancers【special dancer】JUN, Ami Takashima【produce& choreography】Ami Takashima[写真提供]=芦刈建夫

 RIZEバスケットボールスクールはこれまでもバスケットボールを通じて文化、互角交流を行ってきた。「NBAへの興味を高めてほしいし、いつかはスクールの中からNBAでプレーする選手を育てる夢もあります。もちろんそれも大事ですが、小学校や中学に子どもたちには、その年代だからこそ、異文化に触れてほしいのです」と強い気持ちがある。

 芦刈氏は次なるチャンスをうかがっている。「ウィザーズからは好評をいただきました。機会があれば、ワシントンにも行きたいと思っています。早くコロナが収束して、自由にアメリカと行き来ができる日を楽しみにしています。私たちの『日本の子どもたちにも夢を持たせたい!』というポリシーのもと、これからもそれを提供していきたいと思います」