2021.07.20

王手をかけて臨む第6戦を前に、平常心のヤニス「今は最も規律を守るべき時なんだ」

優勝に王手をかけたバックスがホームで第6戦に臨む[写真]=Getty Images
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 キャリア8年目でNBAファイナルに初出場となったミルウォーキー・バックスヤニス・アデトクンボは、5試合を終えてシリーズ平均32.2得点13.0リバウンド5.6アシスト1.4スティール1.2ブロックにフィールドゴール61.2パーセントという驚異的な成績を残している。

 7月20日(現地時間19日、日付は以下同)に行なわれた会見にて、第5戦でコートサイドにレブロン・ジェームズ(ロサンゼルス・レイカーズ)が座っていたことで、アデトクンボは記者からこんな質問を受けた。

「レブロンが初めてNBAファイナルへ進出したのは2007年。あなたはまだバスケットボールをプレーしていなかったと思います」。

 するとギリシャ出身の規格外の万能戦士は「そうだね。彼が初めてファイナルに立ったのは2007年のこと。その時の僕はバスケットボールをプレーしていなかった。そう考えるとクレイジーなことだね。当然、僕はレブロン・ジェームズだと気づいていた。でも僕は彼と関わることはなかったし、そうするつもりもなかった。母さんがコートサイドにいたとしてもそうしなかっただろうね。プレーしている時はしないんだ。できるだけフォーカスしようとしているから」と切り返し、さらにこう続けた。

「それにしてもクレイジーなことだよね…。いや最高のストーリーだね、これは決して宣伝なんかじゃない。僕はその前の夜に『スペース・ジャム』を観ていたんだ。その翌日に彼がコートサイドに座っていた。でも、もちろん僕はどんなことがあろうと関わることはなかったよ」。

レブロン(左)が2007年にファイナル初出場を飾った時、ヤニス(右)はまだバスケットをプレーしていなかった[写真]=Getty Images

 今季でキャリア18シーズン目を終えたレブロンは、07年を皮切りに、11年から8年連続でファイナルへと駒を進め、20年にはレイカーズの一員として自身10度目のファイナル進出。これまで4度の優勝を飾り、いずれもファイナルMVPを獲得しており、まさに生きる伝説と呼べるスーパースターである。

 26歳で初の頂上決戦へと上りつめたアデトクンボは、あと1勝で初優勝、バックスを半世紀ぶりのNBAチャンピオンへと導くところまできている。21日の第6戦、あるいは23日の第7戦で勝利することがいま最もフォーカスすべきことなのは明白だ。

 運命の一戦に向けて、アデトクンボは「難しいね。この瞬間のために一生懸命やってきたんだ。先走ってはいけないなんて難しいよ」と語り、こう続けていた。

「でも今は最も規律を守るべき時なんだ。僕はそうしようとしている。できるだけ規律を守るようにしている。ワクワクしすぎるのも良くないし、ゲームを前にして興奮と熱狂で緊張してもいけない。今の時点で僕にできることは何もない。そのことについては考えすぎないようにしている。でもそうするなというのは難しい。だってときどき眠っている時に試合の夢を見ることもあるんだから」。

 もちろん、現時点でシリーズが終わったわけではない。2勝3敗とあとがないフェニックス・サンズは、なんとかホームで第7戦を行うべく、必死の形相で襲い掛かってくるはずだ。

「チャンピオンシップが(僕らにとって)いい形で終わるかって? そんなの誰にも分からないさ。でもどんな形で終わろうと関係ない。僕はこのチームのことを本当に誇らしく思うし、これまで自分たちがやってきたことを誇りに思っている」とアデトクンボは語っており、シーズン最終戦になるかもしれない重要なゲームを前に、平常心を保とうとしていた。

 はたして、バックスとサンズによる頂上決戦は明日の第6戦で終焉を迎えるのか。それともサンズが粘って最終戦へと引き延ばすのか。ここ2戦は終盤まで試合の勝敗が分からない激戦が続いているだけに、次戦も白熱した展開となるに違いない。

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