2022.12.28

バックスのオーナーが球団売却を検討か…現在の価値は3000億円超と試算

バックスは2021年にやニスを中心にリーグ制覇を達成した[写真]=Getty Images
某ストリートメディアのシニア・エディターを経験後、独立。ひとつのカルチャーとしてバスケットボールを捉え、スポーツ以外の側面からもNBAを追いかける。

 10月に開幕したNBAは、いよいよ中盤戦に突入。勝ち星に差が生まれ始め、プレーイントーナメント出場圏付近では熾烈な順位の入れ替えが発生している。

 その一方、フロントはコート上での成績以外にも目を向けなければならない。来年のドラフトに向けたリクルーティングはもちろんのこと、人事や経済面のコントロールも進行している。

 アリーナの外で最も大きな金銭取引が生じるのは、球団の売買だ。NBAは、2025年に放映権の更新が迫っており、最近では現在放映権を所有する『ESPN』や『TNT』のほか、「アマゾン」や「ウォルト・ディズニー」といったエンタメ業界の最大手も参入に関心。

 次回の更新では放映権料の大幅増が見込まれている。この未来予想図から、球団価値は史上最高額にあると言われ、一部オーナーは売却を視野に入れているものと思われる。

 ミルウォーキー・バックスを所有するマーク・ラスリー氏も、球団の売却をいとわない模様。『Substack』のマーク・スタイン記者によると、同氏はバックスを手放すことに対してオープンな姿勢だという。

 投資会社「アヴェニュー・キャピタル・グループ」の創業者である同氏と、「フォートレス・インベストメント・グループ」の共同創設者であるウェス・エデンズは、2014年に元米上院議員のハーブ・コールから、5億5000万ドル(約740億円)でバックスを購入。同年は創設以降最低の15勝67敗という成績でシーズンを終えており、二人には立て直しが期待されていた。

2014年にバックスを買収したマーク・ラスリー[写真]=Getty Images


 ラスリーの功績は、バックスファンが深く理解していることだろう。元オーナーは売却時、球団をウィスコンシン州に残すことを切望しており、マイケル・ジョーダンからのオファーさえも断った。

 新オーナーとなったラスリーは本拠地を州内に残すことを確約しただけではなく、建設援助を受けながら個人の出資で、『ファイサーブ・フォーラム』を建設。そして、2016年に着工が開始されるや否や、マーケット大学と30年間のリース契約まで締結したのだ。

 また、ジェイソン・キッドの指揮官招へいや、ヤニス・アデトクンボらをはじめとする積極的な若手育成など改革にも貢献。その結果、バックスは2021年に40年ぶり2度目のNBAタイトルを獲得した。

 ラスリーが球団売却を検討する理由は、フェニックス・サンズが記録的な評価額で売却合意に至ったことが要因かもしれない。『Forbes』は今年10月、サンズの評価額を27億ドル(約3620億円)に設定していた。

 しかし、マット・イシュビアはサンズと、WNBAのフェニックス・マーキュリーの買収に40億ドル(約5360億円)を提示。バックスは23億ドル(約3080億円)の評価を受けているものの、サンズの予想を遥かに上回る金額での売却合意は一昨年のチャンピオンチームにも適応されるはず。良いオファーが届けば交渉の席につくだろう。

 もし球団売却が実現すれば、オーナー業で莫大な利益を得ることになる。だが、スタイン記者はラスリーが仮にバックスを手放しても他の球団でオーナーとなり、NBAに舞い戻ってくる可能性を示唆している。

 果たして、バックスに買い手は現れるのか。新たなビッグビジネスが水面下で動き始めている。

 文=Meiji

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