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サラリーキャップは、NBA球団にとって最も大きな悩みの種のひとつである。リーグの競争性を保つべく、緻密に計算されたこのルールは、スター選手とともに優勝を目指すチームの肩に重くのしかかる。
ただでさえ丁寧なやりくりが求められるサラリーキャップをさらにひっ迫しているのが、“デッドマネー”の存在だ。
デッドマネーとは、すでにチームを去った選手に支払わなければならないサラリーおよびボーナスのことである。仮にとある選手と3年契約を結び、1年で解雇した場合、チームには残された2年分の契約金を支払う義務が発生する。莫大な経済力を有するオーナーをもってすれば、支払いに大きな支障はないはずだが、問題はこのデッドマネーがサラリーキャップに計上されること。しかし、プロである以上、球団と選手は契約があってこそ成り立つ関係にあり、ロスターの流動性を保ち、チーム間の平等性を維持するためには、デッドマネーの発生はやむを得ないのだ。
『HoopsHype』によると、今シーズンのNBAには1億1000万ドル(約165億円)のデッドマネーが存在する。昨シーズンの1億8200万ドル(275億円)から比較すると大幅減となったが、昨年はジョン・ウォールとケンバ・ウォーカーの2名のみで7700万ドル(約116億円)が発生していた。
サンダーは、今シーズン最もデッドマネーが高額なケビン・ポーターJr.の1586万ドル(約24億円)を支払っている。ヒューストン・ロケッツの元エースは兼ねてより素行の悪さが問題視されており、オフには恋人の暴行容疑が広く報じられ、現在は所属球団を失い、暴行容疑で起訴されている。また、サンダーは負担額トップ15の中から、ルディ・ゲイの647万9000ドル(約10億円)、ウスマン・ガルバの258万8400ドル(約4億円)、タイタイ・ワシントンの227万440ドル(約3億円)の支払い義務があり、日本円換算で総額約41億円のデッドマネーを計上している。
一方のスパーズは、レジー・ブルックの1101万4080ドル(約17億円)、ケム・バーチの698万5000ドル(約11億円)、キャメロン・ペインの650万ドル(約10億円)、ジョシュ・プリモの434万1600ドル(約7億円)など、トップ15にランクインする選手だけで約45億円の負担が発生している。
サンダーとスパーズは、1試合も球団でプレー経験のない選手のためにデッドマネーを支払っており、決して安くはない支出を余儀なくされている。しかし、裏を返せば、デッドマネーが完済されれば、40億円クラスのスター選手をストレスなくロスターに迎え入れることができ、FA市場での自由度は極めて高くなる。とりわけ、サンダーはドラフト指名権も潤沢に蓄えており、その将来性には誰しもが注目している。
この投資が、数年後にどのような意味をなすのか。勢力図の変化は想像に難くないはずだ。
文=Meiji
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