2023.12.09

歴代最高級フォワードを11項目で分析…「デュラントvsテイタム」新旧スコアラー比較

NBA史に刻まれるであろう名手のデュラントとテイタムを現地メディアが比較[写真]=Getty Images
某ストリートメディアのシニア・エディターを経験後、独立。ひとつのカルチャーとしてバスケットボールを捉え、スポーツ以外の側面からもNBAを追いかける。

 NBAはその歴史上で数々のスコアラーが伝説や記録を残してきたが、現役ではケビン・デュラントジェイソン・テイタムがその後を継ぐ存在だろう。

『Fadeaway World』は、2023-24シーズンおよび直近の成績を踏まえ、この殿堂入り候補の2選手を比較。11種類のカテゴリーで統計を取り、歴代最高級のフォワードである両者を分析した。

 まず、スコアラーを象徴する「得点」と「シューティング」では、デュラントに軍配があがった。35歳とキャリアも晩年に差し掛かったものの、そのスコアリング能力は衰えることを知らず、12月9日(現地8日)終了時点でキャリアで2番目に高い平均31.0得点を記録。また、フィールドゴール成功率52.1パーセント、3ポイント成功率50.0パーセント、フリースロー成功率89.2パーセントという驚異的なシュートスタッツを残している。

 一方、テイタムは今シーズン、これまでリーグ全体で9位となる27.6得点をマーク。効率はデュラントの成績には劣るものの、厳しいマークを受けるなかでフィールドゴール成功率49.9パーセント、3ポイント成功率35.7パーセント、フリースロー成功率79.2パーセントとエースとしての風格を維持し続けている。

 ボストン・セルティックスの背番号0は、「運動能力」や「ディフェンス」のカテゴリーでデュラントより高い評価を受けた。素早さと強靭さを兼ね備えたフィジカルは、線が細く、得点に特化したデュラントにはない魅力。また、テイタムはオンボールディフェンスが大幅に改善され、とりわけ横方向へのクイックネスに定評があり、100ポゼッションあたりのディフェンシブレーティングは前年の110から108に向上し、デュラントの114を上回っている。

 デュラントは「得点」のほか、「ハンドリング」、「クラッチ」、「バスケットボールIQ」、「効率」、「1対1」のカテゴリーで後輩スコアラーに勝利。数々の窮地を救い、敵を失意のどん底に落としてきたデュラントのクラッチタイムにおける正確性は、全てのNBAファンが目の当たりにしてきたことだろう。一方のテイタムは、終盤での勝負強さに欠け、昨シーズンのイースタン・カンファレンス決勝では、マイアミ・ヒートを上回る責任を全うできなかった。また、一対一でデュラントを止める術は現在のリーグに存在しないと言っても過言ではなく、『Fadeaway World』は一対一で同選手と対戦する状況を“愚か”とまで表現している。

 しかし、経験こそデュラントに及ばないものの、テイタムは「リーダーシップ」や「影響力」など、チームプレーヤーとしての素質ではデュラントにも優るものがある。オクラホマシティ・サンダーやゴールデンステイト・ウォリアーズに在籍していたときのデュラントは、ラッセル・ウェストブルックステフィン・カリーにリーダーとしての座を譲っていた。キャリアで真のリーダーを任されたのは、ブルックリン・ネッツ在籍中のみであり、その任務は失敗に終わっている。対照的に、セルティックスはここ何年もの間、“テイタムのチーム”と言われてきた。直近の5シーズンでは3度、カンファレンス・ファイナル進出以上の成績を残しており、チャンピオンリング獲得は時間の問題と思われている。

 全11カテゴリーの比較は、7対4でデュラントが過半数を獲得し、貫禄を示す結果に。しかし、テイタムは若干25歳でこれからキャリアの全盛に向かうところ。能力面でも大きく引きを取ることはなく、バスケットボールへ取り組む姿勢からも明るい未来が待っていることは容易に想像ができる。

 無論、2023-24シーズンもまだまだ前半戦。今後、それぞれの評価が入れ替わる可能性は十分にある。いずれにせよ、両雄が今後もリーグを席巻し、対戦相手にとって常に悩みの種となることだろう。
 
文=Meiji

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