2024.02.28

「自分が何者なのかわからなくなった」…実戦復帰を果たしたルビオが当時の状況を語る

スペイン代表として実戦復帰を果たしたルビオ [写真]=fiba.basketball
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 メンタルヘルスの不調を理由に長らくコートから遠ざかり、1月5日(現地時間4日、日付は以下同)にはクリーブランド・キャバリアーズとの契約バイアウトに合意しNBA引退を表明したリッキー・ルビオ。すでに回復の最終段階を迎えていたルビオは、1月30日には古巣となるFCバルセロナと合流し、2月23日には「FIBAユーロバスケット2025」の予選でスペイン代表としてついにコートの上で正式に復活を遂げた。

 復帰戦となったラトビア代表との試合は75-79で惜敗を喫したが、「自分がルーキーのように感じた」と試合を振り返ったルビオは、実戦復帰を果たしたことの喜びをあらわにした。

「とても緊張しました。自転車の練習をやり直しているような気分で、引き続き大変ではあるだろうけど、幸せです。僕のバスケットボールへの愛情は消えることはありませんでした。見える景色が少し薄暗くなっていたので、少しほこりを払って、この美しいゲームをもう一度楽しんでいきたいと思います」

 また、現地メディア『basketballnews.com』によれば、ルビオは自身について「慢性的なストレスを抱え、不安障害のようなものを発症した」と語り、復帰に至るまでの経緯について次のように語ったという。

「“選手”が“人”を食べたのです。僕は“選手”でいることで“人”でいられなくなり、自分が何者かわからなくなりました。すごく難しい時間でしたし、怖かったです。でも、その恐怖をハンドルして打ち負かすことはできるんです。人生はグレーに満ちていますが、僕は自分自身を救い出して、今は気持ちを安定させることができています」

 フェニックス・サンズからメンフィス・グリズリーズに移籍した渡邊雄太のように、シーズン終了後や毎年2月上旬のトレード期限直前において、NBAでプレーする選手は時に急転直下のトレードによって急遽拠点を移動せざるを得ない局面がある。トレード市場には選手の名前が契約金額とスタッツとともに“商品”としてテーブルに並ぶが、ルビオはその状況を“人”として受け入れることに限界を感じてしまったのかも知れない。

「バスケットボール人生は終わったと思っていました。でも、私は自分自身と向き合い続け、復帰しました。この姿が、苦しんでいる人たちの助けになることを願っています。自分と向き合うことが、暗闇の中から抜け出す方法だと思います」

 カール・アンソニー・タウンズ(ミネソタ・ティンバーウルブズ)やデビン・ブッカー(フェニックス・サンズ)、ドノバン・ミッチェル(キャバリアーズ)など、多くのNBA選手がルビオを“育ての親”として慕っている。メンタルヘルスの不調から復帰を果たし再びコートに立ったルビオは今、自身と同じ問題で戦う多くの人たちにとってのロールモデルになろうと努めている。

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