2024.01.31

NBA引退を決断したルビオが古巣バルセロナで練習開始「回復の最終段階を迎えた」

東京五輪では大会ベスト5に選出されたルビオ[写真]=GettyImages
某ストリートメディアのシニア・エディターを経験後、独立。ひとつのカルチャーとしてバスケットボールを捉え、スポーツ以外の側面からもNBAを追いかける。

■「すべての人に感謝します」

 NBAからの引退を表明したリッキー・ルビオが、古巣FCバルセロナで練習を開始したようだ。1月30日に球団が明らかにしている。

 ルビオは昨年夏、精神的な問題解決のためにプロキャリアの一時停止を決断。本拠地『ロケット・モーゲージ・フィールドハウス』で再びゲームのタクトを振る姿が待望されいたものの、1月5日(現地時間4日)にクリーブランド・キャバリアーズからの退団が正式に発表され、2009年から過ごしたNBAに別れを告げた。

 しかし、FCバルセロナからのレポートによれば、ルビオは回復の最終段階に達したという。そして、FCバルセロナの球団サイトを通じて、新たな一歩を踏み出す準備ができたとし、現状のステータスを報告している。

「みんな、こんにちは。回復の最終段階を迎えたからこそ、言葉にしようと思いました。何週間も考え続け、身体と心を鍛え、ボールを手にしたときの感覚を確かめるのに十分なほど、鋭く、強くなったと感じています」

「僕の次のステップは、FCバルセロナに何の義務もなく、今シーズンの計画を邪魔することなく、彼らと一緒にトレーニングできるかどうか尋ねることです。FCバルセロナの協力、そして僕の状況を理解してくれたことに、前もってお礼を言いたいです。最後に、このプロセスを通じて僕を尊重し、サポートしてくれたすべての人に感謝します」

■「正直言って、大変なプロセスでした」

 ルビオのコートへの復帰は、決して簡単な道のりではなかった。『The Athletic』との電話インタビューに応じたルビオは、キャリアを初期から振り返り、NBAでの苦悩を吐露。愛する母親の闘病生活や、家族と離れ離れの生活に心は蝕まれていき、いつしかバスケットボールは彼から自由を奪うものになってしまったという。

「僕はいつもポジティブであろうとする男です。でも、時には自分自身に嘘をつき、『そんな風に感じてはいけない』と言い聞かせることもありました。結局、自分に嘘をつくと、僕に起こったように最悪の事態を招きます。だから、自分に正直でいてください。全てが暗かったあの頃を思い出すと鳥肌が立ちます。乗り越えられない何かが心を曇らせていました」

「僕は迷っていました。自分が誰なのか分からなくなり、自分自身を再構築しなければいけませんでした。人生の目的を失い、自分を再構築するような経験は多くの人に訪れることだと思います」

 しかし、ルビオは家族や友人、元チームメイト、バスケットボール関係者に囲まれながら、たくさんの励ましの言葉をもらったと語る。そして、誰かに助けを求めることで、徐々に霧の中から抜け出すことができたそうだ。

「僕は一人ではありません。だから、声を上げれば、みんなが共感してくれます。僕らは人間であり、違う文脈で同じことを経験する。お互いに寄り添い、愛する人に寄り添うんです。正直言って、大変なプロセスでした」

 ルビオはバルセロナで8つのトロフィー獲得に貢献したレジェンドだ。現在は当時キャプテンを務めていたロジャー・グリモーがヘッドコーチを務めているほか、フアン・カルロス・ナバーロがマネージャー、ビクトル・サダがアシスタントコーチとしてそれぞれ在籍しており、プロキャリア開始当時の感覚を取り戻すためには最高の環境が整っている。

 ファンは、かつてスペインから世界に名を轟かせたときのように、ルビオが心からバスケットボールを楽しんでくれることを切に願っている。

文=Meiji

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