2018.06.22
ディアンテ・ギャレット、田中大貴、竹内譲次ら豪華タレントがそろうアルバルク東京。そんな中で決して出場機会が多いとは言えない二ノ宮康平だが、前身のトヨタ自動車アルバルク東京からチーム一筋でプレーしており、中堅としてチームを支える役割を担っている。そんな彼が2月11日、アディダスが都内で開催した「NEW ADIDAS TRAINING」のメディア発表会に登場。意外と知られていないBリーガーのトレーニング事情やA東京独特の練習、自身が描くビジョンについてうかがった。
インタビュー=バスケットボールキング編集部
――昨年9月にBリーグが幕を開け、A東京は記念すべき開幕戦で琉球ゴールデンキングスと対戦しました。ここまでを振り返って、変化などは感じていますか(2017年2月11日取材)?
二ノ宮 メディアの露出や取材の機会が増えて、「変わったんだな」と実感しています。開幕戦の盛りあがりや華やかさは想像以上でしたし、あの環境に立てたことが単純にうれしくて興奮しました。
――二ノ宮選手はU-15日本代表を経験して、京北高校、慶應義塾大学とハイレベルな環境でプレーしましたが、当時はプロバスケットボール選手になることを想像できていましたか?
二ノ宮 全く予想していませんでした。リーグがあることも知らなかったですし、「強い学校に行って活躍したい」、「どうやったら実業団に入れるんだろう?」ということしか考えていませんでした。
――前身のトヨタ自動車アルバルク東京からチームに所属していますが、プロになった実感はありますか?
二ノ宮 試合の環境が変わっていくのは感じますし、プロになったことで待遇も少し変わりました。例えば、新幹線移動でグリーン車に乗れるようになったことです。最初は戸惑いました、「え、いいの?」って(笑)。
――チームは現在27勝7敗(2月11日時点)と好成績を残しています。ただ、スターターに食いこむのがなかなか厳しい状況にあります。
二ノ宮 そうですね。普段の練習で活躍して自分の力を見せつけても、試合では使われないこともあります。心のダメージは大きいのですが、優勝というチームの目標に向かって全員が同じベクトルでやっていかないといけないので、個人のことでチームに悪い影響を与えてはいけないと思っています。もちろん、試合で活躍するための準備はしますが、試合に出ていなくてもやれることはたくさんあるので、そこに目を向けてチームを良くしていこうと考えてます。
――ポイントガードだと途中から出た場合、ゲームをコントロールする難しさがありそうです。
二ノ宮 「どこを攻められているのか?」、「誰の調子が良いのか?」、「どういうセットプレーをするべきか?」というのはコート上で見るより、コート外から見る方が気づくことが多いです。自分が試合に出た時は、チームに足りない部分をしっかりコントロールできるように心掛けています。例えば「セットプレーではこいつを使おう」、「相手の弱いところを攻めよう」といったことを考えながら試合を見てます。
――ブースターの人もなかなか知らないと思いますが、Bリーガーは普段どのようなルーティーンで練習をしていますか?
二ノ宮 シーズン中は午後からチーム練習があって、午前中は各自に任されています。トレーニングをしたい人はして、疲れている人は休んでいます。練習後にトレーニングをすることもありますけど、その時のコンディションと相談しながらやっています。
――ご自身は午前中に何をすることが多いですか?
二ノ宮 僕は筋トレとシューティング、ドリブル練習をだいたい1時間半ほどやっています。
――チーム練習ではどのようなことを行っていますか?
二ノ宮 メインはその週に対戦するチームを想定した練習だったり、5対5で相手のセットを確認したりしています。
――伊藤拓摩ヘッドコーチは練習中に英語で指示を出すと聞きました。英語がしゃべれなくてもすぐに理解できるものなのですか?
二ノ宮 バスケットボール用語はほとんど英語なので、大半はわかります。前も外国人のHCでしたし、僕もチームに入団して6年目ですので。「英語をしゃべれ」と言われても話せませんが、バスケのことなら聞くことはできます。早く言われるとわからない時もありますけど、通訳もいて、英語がしゃべれる選手もいるので、「今何て言ってたの?」って聞いています(笑)。
――バスケットボールはケガが多いスポーツだと思いますが、二ノ宮選手がケガをしないために心掛けていることはありますか?
二ノ宮 自分が弱い部分をしっかり把握して、そこを補強するためのトレーニングをすることです。あとは、疲れすぎている時はしっかり休むようにしています。
――どこを重点的に鍛えているのですか?
二ノ宮 僕は足首があまり強くないので、バランスディスクに乗って鍛えています。ひざを痛めたら違う箇所をトレーニングしてカバーしたりもします。
――二ノ宮選手はガードの選手にしては、かなり胸板が厚い印象です。
二ノ宮 高校まではとても細かったのですが、大学に入って「このままでは当たり負けするな」と思って鍛えるようになりました。また、高校から大学に上がって筋力にかなり差を感じたので、体重を増やすことを心掛けました。ただ、僕は身長が高くない(173センチ)ので、2メートルの選手とは当然体重差がありますし、いくら筋トレをしても勝てないんです。なので、今は当たりの強さよりもスピードやクイックネスが大事だと思っています。
――プレー面で参考にしているNBA選手はいますか?
二ノ宮 前まではカイリー・アービング(クリーブランド・キャバリアーズ)と言っていましたが、最近はアイザイア・トーマス(ボストン・セルティックス)です。常にトップスピードを出しているわけじゃないのに、すり抜けていけるプレーを参考にしています。
――ボールハンドリングのうまさが違うんでしょうか?
二ノ宮 緩急の使い方だと思います。もちろん、ハンドリングもうまいんですけど、緩急の使い方が抜群にうまいですね。
――175センチなのに相手のゴール下を翻ろうしますよね。
二ノ宮 そうなんですよ。さらに点も取れて、外に展開もできるのですごいと思います。
――点も取れて、試合をコントロールできるガードが理想のタイプでしょうか?
二ノ宮 僕がもともとなりたかったプレーヤー像はそうなんですけど、今のチームでは周りに点を取れる選手がたくさんいるので、自分が得点を狙う必要はないと思います。点を取るべき選手が気持ち良くプレーできることが大切かなと。チームによって求められることも違うので。
――好きなNBAチームはどこですか?
二ノ宮 今年はヒューストン・ロケッツが面白いですね。(サンアントニオ)スパーズも好きなのですが、今年はロケッツのスタイルが好きです。マイク・ダントーニHCのバスケがすごく好きです。
――ロケッツの中心はジェームズ・ハーデンですが、チームとしての一体感が強さの要因なのでしょうか?
二ノ宮 ハーデンはパスもうまいですから。周りにもシューターがそろっているし、トランジションで点を取れる選手もいるし、役割がはっきりしています。
――スパーズもそういうチームかもしれないですね。
二ノ宮 そうですね。スパーズのチームバスケもすごく好きです。最近は渋いチームが好きになってきました(笑)。
――A東京はどういうチームなんですか?
二ノ宮 個々の能力が高くて、どこからでも点が取れます。中で崩すというよりは、外からピック&ロールで攻めこむチームです。「どこからでも点が取れる」、「誰でも点が取れる」ことが最大の強みだと思います。
――良い選手がそろっている中で、自分の目指すビジョンは?
二ノ宮 理想はやっぱり、“どんな形でも”試合に出ることです。試合に出たらしっかりクリエイトする自信はあるので。
――最後にチームの目標をお願いします。
二ノ宮 一戦一戦全力で戦って、その中でしっかり成長していけるようにしたいです。そして、最後はBリーグ初代チャンピオンになれるようにチーム一丸となってがんばります。
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