2018.01.31

「やっぱりバスケが好き!」年に1度のストリートボールのお祭り『TSC』は学生選抜が勝利

今年で3回目の開催となったballaholic presents TOKYO STREETBALL CLASSICは学生選抜が勝利[写真]=CSPark
大学時代より取材活動を開始し、『中学・高校バスケットボール』編集部を経て独立。メインフィールドである育成世代から国内バスケット全体を見つめる"永遠のバスケ素人"。

 1月27日、日本体育大学世田谷キャンパスにて『ballaholic presents TOKYO STREETBALL CLASSIC(以下TSC)』が開催された。1,300人を超える観客が詰めかけた会場で、ストリート選抜「TEAM STREET」と大学選抜「TEAM CSPark ALLSTARS」が5対5の真剣勝負を繰り広げ、77-66で大学選抜が勝利した。

 TSCはバスケットボールウェアブランド『ballaholic』が仕掛ける、年に1度のストリートボールのお祭り。ストリートボーラーと大学生、出自やプレー環境が大きく異なる双方に刺激を与えることをねらいとし、今年で3回目の開催となる。過去には大学選抜として馬場雄大アルバルク東京)、岡本飛竜島根スサノオマジック)、満田丈太郎横浜ビー・コルセアーズ)らも出場し、馬場は「自分の中のネジが外れた」という印象深いコメントを残している。

 今年度の大学選抜は長谷川暢(早稲田大3年)を除き、ほぼストリートでのプレー経験がない。スポットライトに照らされ、MCにあおられ、コートサイドのギリギリまで詰めた観客の視線に晒されながらのプレーに最初は戸惑った様子だったが、名門チームで鍛えられてきた組織力、ディフェンス力、リバウンド力をいかんなく発揮して勝利を挙げた。

 TSCの主催者でもあり、自らも長くストリートの第一線でプレーしてきたTANAも「サイズに劣るストリート側は、ガードが仕掛けてズレを作るというオフェンスを考えていたけれど、柔軟力のある学生たちに対応されて思い通りにやれなかったというのがこの結果につながったのだと思います。シンプルに強かった。拍手です」と大学選抜の戦いぶりを評した。

 組織としての強さが目立った大学選抜の中で、ストリートで重んじられる「個」の力で魅せたのが長谷川と荒川颯(拓殖大2年)だった。

 長谷川は「TEAM STREET」のKOSUKE(BLACKTOP)やSHUTO(九州電力)と交流があり、オフ期間には共にストリートのコートで汗を流している。このゲームでは、自らをストリートの世界に誘ったKOSUKEとマッチアップ。華麗なオフェンスのムーブが注目されがちなストリートで、持ち前のタフなディフェンスで観客の歓声を呼んだ。

 「1プレーごとに盛り上がる雰囲気は全国大会でも経験できないもの。新鮮で楽しかったですね。歓声を受けるとめっちゃ気持ちも上がるし、体もしびれました」と会場の雰囲気を振り返った。

KOSUKE(写真左)と長谷川暢のマッチアップ[写真]=CSPark

 一方、荒川は、馬場の表現を借りれば「ネジが外れた」選手だった。第1ピリオド、KYONOSUKE(F’SQUAD)のアンクルブレイクで”ストリートの洗礼”を受け、「気持ちが空回りしました」と苦笑い。たが、そこでひるむことなく積極的にムーブを仕掛け、多くの観客をくぎ付けにした。

 荒川は今回のTSCを、自らを1つ上のレベルに進めるためのチャンスととらえていたという。

 「もともと1対1が好きなんですが、昨シーズンは裏方に徹することばかり考えてプレーしていて、今思うと逃げだったなと。自分が積極的に得点をとって活躍しないと先につながらないと思ったので、色んなイベントやセレクションに自分からチャレンジして積極性をつけていきたいと思っていたんです」

 自らが抱える課題と向き合う場所としてTSCに挑んだが、「メンバーはもちろん、相手も監督もみんなバスケットが好きだなというのが伝わってきて、そういう雰囲気の中でバスケットができたことが本当に楽しくて、最高でした!」と、この場を大いに楽しんだようだ。

様々なシチュエーションで見られた1on1は手に汗握るものだった[写真]=CSPark

 また、今年は新しい試みとして、主催者側がほれ込んだ高校生が2名参加。北條海樹(金光藤蔭高校3年)がストリート選抜、平良陽汰(興南高校3年)が大学選抜の一員として1プレー目からスキルを存分に生かしたプレーを魅せた。

 TANAは話す。

 「僕たちがしたいのは、バスケットボールに夢中になる時間を作ること。みんなの日常の中に、バスケットボールにもっともっと熱狂できる空間を作りたいんです。TSCもその1つ。ボーラーもお客さんもみんなで夢中になれる空間を、これからも作っていきたいなと思います」

 Bリーグの開幕を受け、バスケット観戦を生活の一部に取り入れる人は一気に増えた。しかし、世界には多種多様なバスケットボールがあり、それを楽しむ土壌がある。誰に求められるでもなく余暇のほとんどをスキルアップにつぎ込むストリートボーラーと、多くの人の期待を背負ってバスケットをしてきたエリート大学生たちの邂逅(かいこう)。そして、敵味方関係なく好プレーに全身を使って喜ぶ観客たち。日本には、面白いバスケットボールがまだまだ隠されている。そう実感させられるイベントだった。

TSCに出場したプレーヤーが集合[写真]=CSPark

◆TEAM STREET
OTO(FRONTOOTH/173センチ)
TORU(playground/181センチ)
TAKA(STREET/178センチ)
Yohey(KIDROC/185センチ)
BUZZ(GENKI/181センチ)
K-TA(F’SQUAD/180センチ)
KOSUKE(BLACKTOP/168センチ)
KYONOSUKE(F’SQUAD/178センチ)
SHUTO(九州電力/172センチ)
Kyle(SUNDAY CREW/185センチ)
AB(F’SQUAD/193センチ)
RYAN(平塚Connections/185センチ)

◆TEAM CSPark ALLSTARS
長谷川暢(早稲田大3年/174センチ)
濱田健太(早稲田大3年/185センチ)
富田頼(早稲田大3年/191センチ)
盛實海翔(専修大2年/186センチ)
中村功平(中央大3年/181センチ)
荒川颯(拓殖大2年/182センチ)
前田怜緒(白鴎大2年/188センチ)
牧隼利(筑波大2年/187センチ)
増田啓介(筑波大2年/191センチ)
熊谷航(大東文化大3年/172センチ)
モッチ・ラミーン(大東文化大2年/202センチ)

◆YOUNG GENERATION(SPECIAL GUEST)
TAIRA(平良陽汰/興南高校3年)
KAIKI(北條海樹/金光藤蔭高校3年)

文=青木美帆