2021.06.02
アメリカ発のソックスブランドとしてカジュアルからスポーツまで幅広く市場を展開しているSTANCEは、バスケットボールの世界でも選手の声を反映した商品開発でその地位を急速に高めている。日本国内においてもそれは例外ではなく、有力選手とのアンバサダー契約を進めているところ。その1人が、Bリーグと3x3の“二刀流プレーヤー”眞庭城聖だ。
193センチの長身に加え、バスケットボール選手らしく均整の取れた体格でスタイリッシュな眞庭だが、かつてはファッションに無頓着で「ちぐはぐな格好をしていた」そうだ。気を遣うようになったのは、ストリートボールチーム「UNDERDOG」の一員に加わったことがきっかけだ。
「シューズとソックスで違うブランドを履いていて、先輩から『そういうのホントにダサいから!』って言われたのはよく覚えてます(笑)。UNDERDOGは特にファッションとのつながりが強かったので、そこから目覚めていきましたね」
その後、リーグ設立当初から参戦している3x3PREMIER.EXEにおいて、STANCEがリーグ全選手統一のソックスサプライヤーとなったことで、眞庭は運命的な出会いを果たす。「一番魅力を感じるのは、他のブランドにないデザインが数多くあるところ」と、そのデザイン性に惹かれたとのことだが、プロのアスリートとして重視すべき機能性の面でもSTANCEは非常に優れていると語る。
「5人制よりも動きの激しさがある中で、履いた感じがすごく良かったんです。それでもう『Bリーグでもこれを履きたい』と思いました。他のブランドにないデザインが数多くあるというところが一番魅力を感じる部分ですが、フィット感もあって足が中でズレる感覚が全くない。他の選手もそうだと思うんですが、テーピングもしているので足はすごく繊細なところなんです。今までいろいろなソックスを履いてきましたが、フィット感はSTANCEがベストですね。シューズと同じように、ソックスも履いていて違和感がないというのは大事なポイント。質の良くないものを履いていると不安が出てきてしまうんです。その点、STANCEはプレーしていて安心感があるし、耐久性も抜群。自分のパフォーマンスにも活きていると感じます」
前述のとおりファッションに造詣が深い眞庭は、オフコートでも「まずソックスを選んで、それに合わせてコーディネートすることもあるし、2足用意して行きと帰りで履き分けることもある」というほど、ソックスにもこだわりを見せる。プライベートで愛用するのもやはりSTANCE製品。「『この日にこれを履く』と決めてそれまでは封を開けず、その日が来ると『やっとこの日が来た』という喜びを感じられる」と、ソックスを履くことにも幸福感を見出し、かつ完全にSTANCEの虜になっている。
そしてオンコートでは、他の選手がシューズで自己主張するのと同じように、ソックスをアピールポイントの1つにしたいとも語る。そこには、「プロである以上、見られている意識を持たないといけない」というスター選手としての自覚が垣間見える。
「ソックスにこだわりを持つということは、選手にとって自分を表現するいい方法だと思います。デザインのいい物を履いていれば、お客さんの中には『カッコいい』と思ってくれる人もいると思いますし、履いているソックスがカッコよければそれを履いている選手もカッコよく見えるというのもあると思います。ソックスで自分をアピールすることは今まであまりなかったと思うので、STANCEがそこを売りにしているのは新しい。STANCEはサイトを見るといいデザインが本当に多くて、最近だと映画とコラボした商品もあったりして、僕はもっと早いうちから履きたくて仕方なかったんです。せっかくこういう関係性をいただくことができたので、STANCEのソックスの良さをどんどん訴えていきたい。僕を見て1人でも多くの人がSTANCEを履きたいと思ってもらえるようにがんばります」
アスリートは時に、ブランドの看板を背負った“走る広告塔”の役割を担う。その任務を自ら積極的に買って出る眞庭は、まるで吸い寄せられるようにSTANCEと出会うべくして出会ったと言えよう。
ここからは眞庭のプロバスケットボール選手としての“今”をクローズアップしていこう。Bリーグ誕生と同時に茨城ロボッツに移籍してきた眞庭にとって、開幕して間もない2019-20シーズンは勝負の1年。年々機運は高まっていながらも未だ成し遂げていない「B1昇格」という目標に向けて、チームのエースである眞庭の覚悟は相当に強い。
「年数が経てば経つほど、チームを取り巻く環境は良くなっている。水戸市内を歩けばいろんなところに看板やポスターがありますし、移籍してきた頃に比べると街中で声をかけられることも多くなりました。アダストリアみとアリーナという立派なアリーナもできて、地域活性化という面では成功しつつある状況です。足りないのは僕たちがB1に昇格することだけ。Bリーグになってから唯一僕だけが4シーズン残っていて、去っていったメンバーの想いも背負って目標を達成しないといけないという使命感は強いです。ポスターなどで僕が多く使われているのはクラブの期待の表れだと感じますし、『ミスターロボッツ』と記事に書かれているのを見るとやっぱりうれしいですよ。移籍してきた当初は半分冗談、半分本気で『茨城のスーパースターになりたい』と言ったんですが、今は本気でそう思ってます。『僕にもチームにも注目してくれ!』という感じですね」
今シーズンの茨城はアンソニー・ガーベロットヘッドコーチを迎え入れ、新体制でB1昇格に挑む。バスケットのスタイルが変わること以上に、コーチと選手の信頼関係がいかに築かれるかという点が大きなカギになるが、眞庭は信頼を寄せている様子だ。
「練習に来るとまず選手一人ひとりと握手をして話をしたり、とにかく話すのが大好きでコミュニケーションをよく取る人です。それに、服装をスタッフまで含めてそろえようとするんです。そういうところからチームの一体感を作ろうとしていて、考えが深い人だなと感じます。すごくうまいと思うのは、自分のやり方を通すところと選手の意見を聞くところの塩梅ですね。全員が自分の意見を言いだしたらまとまらないので有無を言わさず『これをやってくれ』ということもあるんですが、例えば今シーズンに入ってシュートのアテンプト(試投数)が減っている僕に対して『おまえにボールが渡るフォーメーションを考えるから』と言ってくれたりもするんです。そういうところがすごく安心感がありますね」
チーム作りに長け、選手の操縦術を心得ているというだけで達成できるほど、B1昇格という目標は甘いものではない。しかし、ガーベロットHCは中長期的な視野を持ち、B1という未知の領域にチームを、選手たちを引っ張り上げる努力を惜しまないそうだ。眞庭の言葉からも、今まで以上に現実味を持って目標に突き進んでいることがうかがえる。
「昇格するモチベーションはトニー(ガーベロットHC)のおかげで上がっていると思います。ただ昇格するだけでなく、上がってからも戦えるチームを目指している。練習以外でもタフに取り組んでいる部分がありますし、例えば練習で疲れている時でも『そういう時こそB1に近づくチャンスだ』と言って、常に『B1』というワードを出して鼓舞してくれるので、モチベーションを高い状態でしっかり保てています。もちろん目標はB2優勝イコールB1昇格。今シーズンはプレーオフの枠も増えましたし、まずはそのプレーオフをホームで戦う権利をつかみたい。そしてSTANCEを履いて勝つ、ということですね(笑)」
これまでも眞庭は、B2では稀有な長身シューターとして存在感を誇示してきた。STANCEを履いてさらに躍動感を増した眞庭がチームをけん引し、4年越しの悲願を成就して真に「茨城のスーパースター」となる日はきっと訪れるに違いない。
文=吉川哲彦
写真=加藤誠夫
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