2024.09.09
最速での昇格を実現した長崎ヴェルカにとってもB1の壁は厚く、初年度の昨シーズンはターゲットとしていた30勝に届かなかった。とはいえ、B1昇格クラブとしては同時に昇格した佐賀バルーナーズに次ぐ歴代2位の27勝。開幕節で千葉ジェッツに連勝し、一時は西地区首位争いを演じるなど、インパクトを残すこともできた。今シーズンはモーディ・マオールヘッドコーチの招へいにより、変化と進化の両面を求められる。
今シーズンの補強ポイントは、ガードの外国籍選手獲得だ。マーク・スミスは得点源として計算できる司令塔。その能力を活かすため、アジア特別枠選手のエージェー・エドゥと川真田紘也も獲得した。インサイドの起点となるジェハイヴ・フロイドと、オールラウンダーとして期待の高い山口颯斗、サイズと機動力を兼備する木林優も併せ、全体的なサイズアップに成功したことでラインアップの幅も広がるだろう。
3人だけとなったクラブ創設時のメンバーである松本健児リオンは、“ヴェルカスタイル”の体現者として躍動し、B1でも十分に通用することを証明。荒谷裕秀はハンドラーとしての能力を開花させ、ジャレル・ブラントリーはNBA経験者の地力を攻守に発揮と、チームのポテンシャルは示すことができた。チャンピオンシップ進出への課題は明白で、ターンオーバーを減らすことができれば、オフェンスの破壊力が増すと同時に、失点を減らすことにもつながる。また、昨シーズンはホームで11勝19敗と負けが込んでしまったが、ハピネスアリーナが開業する今シーズンは観客動員増加が見込まれる。ファンの後押しを白星に結びつけることで、地域のバスケ熱もさらに高めるという好循環を促進していきたい。
今シーズンも海外クラブと迷った末に、活躍の場を再び長崎に求めた。5シーズンぶりにBリーグでプレーした昨シーズンはベストディフェンダー賞を受賞するなど、日本代表選手としての存在感は健在。長崎のバスケットが自身のプレースタイルと完璧に一致するのは、自他ともに認めるところだ。代名詞の“BABABOOM”を筆頭に、今シーズンもその身体能力を活かしたダイナミックなプレーでファンを魅了する。
文=吉川哲彦
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