Bリーグ公認応援番組
『B MY HERO!』
11月1日に栃木県宇都宮市で行われた3x3の東京2020オリンピック出場国発表記念イベントにおいて、男子日本代表に開催国枠が与えられたことは記憶に新しい。その男子日本代表が11月18日から20日にかけて、味の素ナショナルトレーニングセンターで第3次強化合宿を実施。8月に岡山県で行われた第2次合宿以来約3カ月ぶりに集まった代表候補10人が、約8カ月先に控える東京オリンピックの最終メンバー入りを見据えてしのぎを削った。
20日午前にメディアに向けて公開された練習では、5人ずつ2チームに分かれてのゲームが2本行われた。5人ずつに分かれてはいるが、うち1人は試合に出ずに4人でローテーションし、両チームにタイムアウトを認めるなど、実際の試合と全く同じ形式。トーステン・ロイブルディレクターコーチや長谷川誠アドバイザリーコーチが見つめる中、タフなフィジカルゲームが繰り広げられた。アイラ・ブラウン(大阪エヴェッサ)は終始その声で他の選手を鼓舞し続け、それに応えるかのようにルーズボールに飛びこむ姿も多く見受けらるなど、コートは熱気に包まれた。
オリンピック種目となったこともあり、この日の練習には多くのメディアが集結した。3日間の強化合宿を終えたロイブルディレクターコーチは、「Bリーグの試合が日曜まであり、その翌日から合宿というスケジュールで選手たちは身体的にきついので、この時期に合宿をやることは理想的ではない」としながらも、「5人制と3x3ではスキルなどで違う部分がある。Bリーグの期間中でも定期的に合宿はやらないといけない」と今回から本格化する強化合宿の意義を説く。日本での指導歴が豊富なロイブルディレクターコーチは日本人のプレースタイルを熟知しており、「日本には常にサイズの問題があるが、特徴としているのはスピード。今日のようなスピードでプレーすれば、おそらく海外のチームは対応に苦労するだろう。そこには自信を持って、これからも鍛えていきたい」と好感触を強調した。
ここから来年7月のオリンピック本番まで、月1回のペースで合宿を実施するなど強化が進められることになるが、3x3PREMIER.EXEだけでなくプロサーキットなど数々の世界の舞台で目覚ましい結果を残しながら代表候補に選ばれていない選手がいることもあり、今後の選手選考過程はとりわけ気になるところ。ロイブルディレクターコーチは、今回の代表候補に入っていない選手について「ここでは名前は言えないが、頭の片隅にいる選手はいる」と今後の招集に含みを持たせた上で、「核になるのはこの10人」と明言。ブラウンや橋本拓哉(大阪)のようにこの合宿に参加した時点で個人ポイントを一切持っていない選手もいるが、「現段階で個人ポイント国内ランキングトップ10に入っているかどうかは重要ではない」とも語り、「この10人の中から最終的に何人がトップ10に入れるか」を考えているとのことだ。個人ポイント国内ランキングは選考基準の大きな要素となっているだけに、今後の代表の動きについては候補に入った選手の合宿参加可否や大会への出場など様々な点を注視していく必要があるだろう。
今回のメンバー構成は、小松昌弘(TOKYO DIME.EXE)と西野曜(専修大学/BEEFMAN.EXE)を除く8人がBリーグのチームに籍を置く選手となっている。3x3のキャリアが長いのは小松と落合知也(越谷アルファーズ/TOKYO DIME.EXE)に限られ、その他に世界のレベルを知るのはUTSUNOMIYA BREX.EXEで海外転戦を経験した小林大祐(茨城ロボッツ)のみ。3x3草創期からプレーしている落合は、今回の代表合宿参加メンバーの経験不足を指摘する。
「各個人が身体能力が高くてスキルもあるところは良かった。足りないのは経験。国際試合は内容も変わってくるし、国内では感じられないようなプレッシャーもあるので、そこをどう打開できるかがポイントになってくると思います。僕と小松は世界のチームと戦ってきて、相手の特徴もよく知ってますが、それを知ってるのと知らないのとでは全然違う」
それでも、Bリーガーの能力の高さに一目置く落合は、残された時間でできる限りの努力を重ねていきたいと意気込む。
「これから毎月のペースで合宿がありますし、Bリーガーはシーズンと並行で大変な時期にはなりますが、一つひとつの合宿をどれだけ質の高い合宿にできるか、そこでどれだけオリンピックを意識できるかだと思います。日本は十分メダルを狙える位置にいると思いますし、メダルを獲ることに意味があると思うので、一致団結して臨みたいと思います」
落合は所属する越谷の全面的な理解を得て3x3に注力し、小林も3x3の活動を優先することを前提に茨城と契約した。B1のチームに所属する選手が同じように活動できるかという点で難しいチャレンジになることは間違いないが、落合らはその経験や知識を他の選手にも惜しみなく還元しようとしている。第4次以降の合宿すべてを重要なステップと認識し、さらなるレベルアップが図られることを期待したい。
文=吉川哲彦