2024.11.06
フィラデルフィア・セブンティシクサーズのシーズンスタートはお世辞にも芳しいとは言い難い。ジョエル・エンビード、タイリース・マクシー、ポール・ジョージのビッグ3を形成し、開幕前は優勝候補の一角と目されていたが、蓋を開けてみれば勝率は1割5分を下回る2勝12敗。イースタン・カンファレンスの最下位に沈んでおり、プレーオフ進出のためには1日でも早い挽回が求められる窮地に陥っている。
この悪いムードを断ち切ろうとしたのが、成長著しい昨年のMIPプレーヤーだった。11月19日(現地時間18日)、シクサーズはマイアミ・ヒートに敗戦後、チームミーティングを実施。そこでマクシーは信頼関係のあるエンビードの遅刻癖を非難し、時間通りにチーム活動に参加するよう要求したという。
『ESPN』が報じた、衝突とも取れる主力たちの会話。だが、チームの軌道を修正するために選手やコーチたちの間で熱のこもった議論が起こることは日常茶飯事であり、問題は外部が知り得ないロッカールームの出来事が外部に漏洩したことだ。
エンビードと親しいリーグ関係者と接触した『The People’s Insider』のジェイク・フィッシャーによると、チームミーティングの情報漏洩を知ったエンビードは激怒し、シクサーズ内の密告者とされる人物の特定を試みているという。
11月21日(同20日)のメンフィス・グリズリーズ戦後、エンビードは記者団に対して「リークした奴は本当に最低な奴だ」と怒りを露わにしている。しかし、球団に精通するNBA関係者によれば、マクシーがエンビードを注意したのはわずか30秒程度だったようだ。
エンビードの開幕後の欠場は、オリンピック参加なども相まった調整の遅れによるものと噂されており、“プロセス”の異名を持つ同選手はシクサーズ不調の直接的な原因としてメディアの標的にされている。さらに、最近は行き過ぎたメディアの報道に堪忍袋の緒を切らし、記者を突き飛ばして3試合の出場停止処分を言い渡されたばかり。チームの大黒柱についてはこうした不穏なニュースが重なっていることもあり、マクシーとの一件も大袈裟に報道されている可能性は否定できない。
だが、マクシーが言及したエンビードの遅刻問題は、キャリアを通してずっと存在していたという。『The Stein Line』は、チーム最高の契約を与えられ、若い頃から“チームの未来を担う存在”としてもてはやされているエンビードにわがままを控えるよう、球団が抑止するのは困難との見解を示している。また、エンビードおよび2022年までチームに在籍していたベン・シモンズはプロ意識に欠ける一面があるそうで、それに対して唯一教訓を与えていたのが元デトロイト・ピストンズのトバイアス・ハリスだった。
ハリスがいない今、選手としての立場からエンビードに意見できるマクシーの存在は“希望の光”と言えるのかもしれない。彼らは親しい友人であり、エンビードはポストシーズンで存在感を示し、オールスターにまで上り詰めた背番号0に一目置いている。
果たして、マクシーの喝によってチームの軌道は変わるのだろうか。シクサーズは早速、正念場を迎えている。
文=Meiji
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