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エネス・カンターがWNBA挑戦を正式に表明…背景にはトランスジェンダーを巡る議論

WNBA調整を表明したエネス・カンター(写真は2018年のもの) [写真] = Getty Images
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 元NBA選手のエネス・カンター・フリーダム(元ニューヨーク・ニックスほか)が、2027年のWNBAドラフトへのエントリーを表明した。

 きっかけとなったのは、女子スポーツにおけるトランスジェンダー選手の参加をめぐる議論である。ソフィー・カニンガム(インディアナ・フィーバー)が女子スポーツにおけるトランスジェンダー選手の参加について発言し、WNBA内外で賛否が巻き起こるなか、カンターがWNBAのルールを逆手に取る形でドラフト候補を名乗った。

 カンターは8月8日(現地時間7日)、自身のX(旧Twitter)に動画を投稿。「WNBAの現在の参加資格に関するガイドラインを慎重に検討した」としたうえで、2027年4月に予定されているドラフトへの参加資格を正式に宣言した。

「もし、単に自分が誰なのかを宣言することだけが必要なのであれば、私はWNBAでプレーするために必要な条件をすべて満たしています」

 身長208センチ、体重約113キロのカンターは、WNBAの参加資格基準や、自己認識とインクルージョンをめぐる規定について検討を重ねたと説明。

 現地メディア『Sporting News』によると、カンターはWNBAの労使協定(CBA)にある2つの規定に着目している模様。CBA第13条第1項には、「WNBAでプレーする資格があるのは女性である選手のみ」と明記されている。一方、第34条第6項では、「宗教、人種、国籍、性的指向、婚姻状況などを理由として、いかなる選手に対しても差別したり、優遇したりしない」といった趣旨の規定が定められている。

 つまり、「女性のみ」とする参加資格がある一方で、公開されているCBAには「女性」の定義や、トランスジェンダー選手の参加資格を具体的に定めた規定がない。カンターは、この曖昧さと差別禁止の原則を組み合わせることで、自身も参加資格を主張できると考えているようだ。

 もっとも、CBAが自己認識した性別によって参加資格を決定すると定めているわけではない。現時点でWNBAがカンターの参加資格を認めた事実もなく、あくまで本人による主張となっている。

 今回の表明は、カニンガムの発言をめぐる議論が過熱するなかで飛び出した。カニンガムは「女子選手が生物学的な男性と対戦すべきではない」という趣旨のコメントを公表。これに対して元アメリカ女子サッカー代表のミーガン・ラピノーらが批判する一方、「ハリー・ポッター」シリーズの作者J.K.ローリングやテッド・クルーズ上院議員らはカニンガムを支持している。

 WNBAは今回の論争について公式な見解を示していないものの、WNBA選手会(WNBPA)は声明で「私たちは正義、公平性、多様性、そしてインクルージョンを支持します」と表明。「私たちは今後も難しい問題について対話を続けていきます。しかし、私たちは政治的な駒として利用されることはありません」としている。

 2022年にNBAを離れたカンターは、現在は人権問題や政治問題について積極的に発信する活動家として活動している。母国トルコや中国共産党を批判し、自身の財団を通じて人権擁護や若者への教育にも取り組んでいる。2017年にはトルコのパスポートを無効化され、2021年に米国市民権を取得した際、「エネス・カンター・フリーダム」に改名している。

 カンターは今回のWNBAドラフト表明についても、「誰かを嘲笑したり、からかったり、特定のコミュニティや個人の選択を軽視したりするためではない」と強調した。そのうえで、「WNBAが自ら掲げている原則を守ることを期待しています」とし、「トレーニングキャンプで会いましょう」と言葉を残した。

 果たしてWNBAは、元NBA選手による異例の“ドラフト挑戦”にどのような反応を示すのか。今後のリーグの対応にも注目が集まりそうだ。

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