2018.01.05

シャンソン化粧品が陥った落とし穴、丁ヘッドコーチ「ゲームプランどおりに進みすぎた」

シャンソン化粧品を指揮する丁海鎰(ちょん へいる)HC[写真]=山口剛生
バスケットボールキングプロデューサー(事業責任者)。学生バスケをテーマにしたCM制作に携わったのがバスケに関する初仕事。広告宣伝・マーケティング業務のキャリアが一番長いが、スポーツを仕事にして15年。バスケどころの福岡県出身。

 1月5日、さいたまスーパーアリーナにて「第93回天皇杯・第84回皇后杯 全日本バスケットボール選手権大会」のファイナルラウンド女子準々決勝が行われ、シャンソン化粧品 シャンソンVマジックは富士通 レッドウェーブと対戦した。シャンソン化粧品は今季Wリーグで12勝4敗の4位と、11勝5敗で5位の富士通をわずかに上回るものの、実力は伯仲。現在18.38得点で得点ランキング1位をキープする本川紗奈生(さなえ)と、アシストランキングで1位(9.00本)を快走する富士通の町田瑠唯の顔合わせということもあり、注目の集まる好カードとなった。

 シャンソン化粧品はエース本川が2本の3ポイントを含む11得点と序盤から爆発。チームとしても3ポイントシュートを9本打って6本決める好調ぶりで、31-12と大きくリードを奪う。今季リーグ戦で2戦を戦い、77-63、83-65といずれも勝利を収めているシャンソン化粧品の優位を見せつける序盤となったが、第2クォーターで様相が一転。シャンソン化粧品は、富士通にオフェンスパターンを攻略されて、得点を奪うことができず、このクォーターをわずか5点に抑え込まれてしまう。

第1Qで11得点を挙げたキャプテンの本川(左)[写真]=山口剛生

 第3クォーター、シャンソン化粧品は落合里泉(さとみ)、河村美幸の活躍で再び息を吹き返すものの、重要な第4クォーターにオフェンスのリズムを大きく崩してわずか9得点に留まると、富士通の町田、高田汐織にディフェンスを切り崩されて、ついに逆転を許す。まさかの逆転劇を許したシャンソンは最後まで粘るものの、重要な局面で手放した流れを引き戻すには至らず、66-71で敗戦。勝てる試合を落とし、準々決勝で姿を消した。

 試合後、敗れたシャンソン化粧品の丁海鎰(ちょん へいる)ヘッドコーチは「普通に勝てるゲームだった…」と苦笑すると、「ラストクォーター、本川がターンオーバー、ターンオーバーと繰り返しているうちに流れが変わった」と敗因を分析し、「リバウンド1本、ディフェンス1つ、小さなところで勝負が分かれた」と肩を落とした。また、良い時の悪い時がはっきりしたゲーム運びを振り返り、「極端すぎるゲーム。流れが良くなかった」と述べて、第2クォーターに24秒バイオレーションを頻発したオフェンスリズムの崩れについては、「第1クォーターに準備していたゲームプランどおりに進みすぎた」と、序盤の優位が、むしろチームの油断と緊張感の欠如を招いたことを悔やんだ。

富士通の町田は13得点13アシストでシャンソン化粧品のディフェンスを翻弄した[写真]=山口剛生

 ケガによりフォワードの選手起用に関してローテーションの難しさがあったなどの遠因もあったが、第2クォーターで5点、第4クォーターで9点と出入りの激しいゲームによって、悔しい逆転負けを喫したシャンソン化粧品。丁HCが「もったいないゲームを負けた…」と最後につぶやいた言葉のとおり、ほぼ勝利を手中に収めがらの敗戦となった。残念ながら3年連続でのベスト4入りを逃したシャンソン化粧品だが、この経験を活かし、すぐに再開するリーグ戦、そして来年の皇后杯でのリベンジに期待したい。

文=村上成

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