2023.08.08

「全クラブが一つの輪となれば」…『CHEER UNITE ASSOCIATION』立ち上げの理由をインタビュー

発起人の永嶋芙佳氏(左)と松田華衣氏(右)にインタビュー [写真]=バスケットボールキング
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 Bリーグというエンターテイメントを作り上げるうえで、なくてはならないパフォーマーの存在。チームごとに個性豊かな演出で会場とブースターのカラーを作り上げているパフォーマーを統括する組織『CHEER UNITE ASSOCIATION』が8月に発足することとなった。

 なぜこの組織が必要なのか、誕生によってどのような変化が生まれるのか。発起人である松田華衣氏と永嶋芙佳氏に話をうかがった。

インタビュー=入江美紀雄

『チアリーダーの悩みを共有し、解決したい』という思いを形に

チアのパフォーマンスはゲームを盛り上げる重要なファクターになっている [写真]=B.LEAGUE


――『CHEER UNITE ASSOCIATION』を設立したきっかけを教えてください。
永嶋
 フロントスタッフに転身し各部署の担当者会議に参加した際に、『社員はこういう場があるけど、チアに相談できる場がないのはなぜだろう』と考えるようになりました。そこで、チアリーダーが主体となってそれぞれの悩みを共有し解決できるような部門がリーグのなかにあるといいなと思い、松田さんと一緒に島田(慎二Bリーグ)チェアマンとお話しさせていただいたのが2年前です。

――それから2年、どのような過程を経て今回の実現に至りましたか?
永嶋 当時は難しい状況もあったのですが、昨年、再び島田チェアマンとお話しする機会があり、「いまだにあの思いを持って頑張ってます」とお伝えしたところ「選手会と同じような形で、チアリーダーが主体となって動ける組織があれば、リーグとしても後押しがしやすいので良かったら考えてみて」というお言葉をいただくことができて。すぐにやりますと返事をし、松田さんと一緒に一般社団法人の設立に向けて動き出しました。

――組織づくりの進捗状況を教えてください。
永嶋 全クラブの賛同がないとリーグに後押しをしていただけないので、各クラブの方々と連絡を取り合っています。しかし、まだ活動実態がないということで正式な賛同をいただけていないクラブもあるため、選手会にならい一般社団法人という形で8月から一旦活動を開始することにしました。ここから徐々に正式な回答を頂けるクラブを増やしていきたいと思っています。

チアとバスケ、相互でファンを拡大する活動を

――チアリーディング界に対し、長年どのような課題を感じてきましたか?
松田 私は立場上、他チームのチアリーダーやフロントスタッフの方から「どうやっていますか」と聞かれることが多かったです。私はディレクターになったとき、わからないことだらけのなかいろいろな方に相談してきましたが、地方では近くにクラブがないため相談する場所がなく、困っているだろうなとも感じていました。この組織でチアの横のつながりを深め、失敗したことも成功したことも他のチームに伝えられるきっかけになればいいなと思っています。また、同じように頑張っていてもクラブの人員不足や知名度でチアの注目度に差があることも現状です。組織として一丸となって活動することで、あまり日の目を浴びていないチームにも注目が集まるのではないかと考えています。

――近年では、チアリーダーを目的に会場へ足を運ぶファンも増えています。注目度が高まっている実感はありますか?
永嶋 Bリーグ自体のファンも増えたため、チアを見る人も増えたし、取り上げてくださるメディアも増えました。私たちはチアのファンの方をバスケのファンにしたいし、バスケファンの方にもチアのファンになっていただきたいと思って活動しています。チアのためだけに来てくださるのも本当にありがたいですが、もうちょっとそこがリンクするとうれしいです。スポーツ応援の楽しさを知っていただけるような活動をチアリーダーがしなければならないなと思います。

Bリーグのファン拡大とともにチアの人気も高まってきた [写真]=B.LEAGUE

社会貢献活動を通して、リーグの目的を知るきっかけに

――今後この組織が目指す場所、理想の形を教えてください。
永嶋 全クラブが一つの輪となって、みんなでこのリーグを盛り上げていく意識を持つこと。自分のクラブ内だけで完結せずに、みんなでやっていく意識が芽生えるようになればと思います。私は10年前に何もわからない状態で(アースフレンズ)東京Zのチアを始め、松田さんや周りのディレクターの先輩方にたくさん助けていただきました。私のように何も知らずこの世界に入ってきた人たちがいち早く階段を登るための支えになってあげたり、このリーグのチアリーダーを志した人たちが入ったときにがっかりしないような世界を作りたいと思っています。

――こうした世界を作り上げるためにどのような活動を行なっていきますか?
松田 ワークショップは過去にもやっていましたが、来るチームが限定されてしまっていました。チアは年間100イベントなど多忙なスケジュールがあったり、地域的に自ら学びの場に行く時間を作ることが難しい場合があります。所属クラブだけの活動ではなく、他のチアリーダーやダンサーとの接点を持つ機会を増やし、それぞれにプラスになる機会を作ることができればと思います。

――今後はB.HOPEアクションなど、さらに多くの社会貢献活動にも参加していくことを掲げていますね。
永嶋 チアリーダーは踊るだけでなく、いろいろなところに目を向けてそこに対して自分たちは何ができるかのか考えながら活動していくべきだと思います。しかし、中にはBリーグがどういう活動をしているのか、B.HOPE、SDGs、そういうところに対してチアリーダーはなかなか知識を持てていないこともあります。B.HOPEの活動に参加することで、どういう活動をしているのかを知るきっかけになり、社会貢献活動に参加する人員を増やしていきたいと思います。

――皆さんの活動を楽しみにしています。今日はありがとうございました。

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