豊富な全国大会出場経験を持ち、“バスケットボールの強豪”と呼ばれる高校がいくつかある。才能豊かな中学生を迎え入れ、独自のメソッドやハイレベルな競争の中で鍛え、磨き上げ、次のステップへと送り出す。プロの舞台では、そうした強豪校出身の選手が数多くプレーしている。
では、数ある強豪校はそれぞれどのような選手を輩出してきたのだろうか。各校のOBを現在B1リーグでプレーする選手たちを中心にピックアップし、紹介する本企画。第3回は東海大学付属札幌高校(旧東海大学付属第四高校/北海道)を取り上げる。北海道屈指の強豪校出身Bリーガーは、そのすべてが地元出身選手だった。
※選手の所属は2019-20シーズンのもの
●東海大学付属札幌高校出身のBリーガー
■柏木真介(新潟アルビレックスBB)
北海道出身、1981年12月22日生まれ。1997年に宮永雄太(レバンガ北海道HC)らとともに東海大学第四高校に入学し、1年次からインターハイ、ウインターカップと全国大会を経験。3年生となりキャプテンに就任した1999年は、インターハイ決勝まで勝ち進み、能代工業高校(秋田県)を破って勝ち上がった新潟商業高校(新潟県)と対戦。試合は序盤から新潟商業のタイトな守備に苦しめられ、最終スコア96-60で敗戦し、準優勝で大会を終えた。またウインターカップでは、準々決勝で清水太志郎(サンロッカーズ渋谷AC)擁する小林高校(宮崎県)に71-77で惜しくも敗れた。
柏木は高校卒業後に中央大学に進学し、2004年に日立サンロッカーズ(現SR渋谷)に入団。同年にJBLの新人賞を獲得し、日本代表にも選出されるなど躍進する。2006年にはアイシンシーホース(現シーホース三河)に移籍を果たし、11年の在籍期間で4度のリーグ優勝に貢献。その後、2017年に名古屋ダイヤモンドドルフィンズに移籍し、2018-19シーズンからは新潟アルビレックスBBに在籍するも、2020-21シーズンからは再び三河でプレーすることが決まっている。
■野口大介(サンロッカーズ渋谷)
北海道出身、1983年5月26日生まれ。1999年に東海大四に入学を果たし、同期の菅原洋介(元滋賀レイクスターズなど)とともに1年次からメンバーに入り、インターハイ準優勝も経験。2年次はインターハイ、ウインターカップともに2回戦敗退を喫する。最高学年として迎えた2001年は、インターハイで準々決勝に進出。山田謙治(横浜ビー・コルセアーズAC)や内海慎吾(京都ハンナリーズ)が在籍する能代工業と熱戦を展開し、105-114と一歩及ばす敗れた。一方、ウインターカップでは17大会続いていた全国大会出場を逃すなど、苦杯をなめることとなった。
高校卒業後、野口は日本体育大学に進学。2006年に大塚商会アルファーズ(現越谷アルファーズ)に入団し、2007年にレラカムイ北海道(現レバンガ北海道)へ移籍。つくばロボッツ(現茨城ロボッツ)へのレンタル移籍を挟みつつ、通算12シーズン在籍した。2019-20シーズンからはSR渋谷でプレー。
■小松秀平(佐賀バルーナーズ)
北海道出身、1985年6月10日生まれ。2001年に東海大四に入学し、下級生の頃から全国大会を経験。2年次はインターハイこそ2回戦敗退を喫するも、ウインターカップでは1学年上の阿部佑宇(元和歌山トライアンズ)らとともに3回戦突破を果たす。準々決勝では竹内公輔(宇都宮ブレックス)と竹内譲次(アルバルク東京)擁する洛南高校(京都府)と対戦し、88-90で敗れることとなった。3年次にはキャプテンとしてチームをけん引。しかし、インターハイでは道予選を突破できず、20年以上続いていた全国大会連続出場記録を途切れさせてしまう。それでも、冬には道予選を突破し、ウインターカップに出場。1回戦を突破するも、2回戦で佐々木優希(東京サンレーヴス)や北向由樹(元埼玉ブロンコスなど)擁する能代工業に敗れた。
小松は国士舘大学に進学し、2008年にトライアウトを経て新潟アルビレックスBBに入団。通算で8シーズン在籍した後、Bリーグ初年度からはバンビシャス奈良でプレーし、2019-20シーズンはB3の佐賀バルーナーズに所属。クラブを昇格へと導き、2020-21シーズンからは再びB2の舞台で戦う。
■大塚裕土(川崎ブレイブサンダース)
北海道出身、1987年8月23日生まれ。2003年に東海大四に入学するも、1年次のウインターカップではメンバー入りを果たせず、2年次は夏冬ともに道予選を突破できずと、なかなか全国大会の舞台に上がれなかった。3年次はインターハイ出場を果たすも、初戦で落合知也(越谷アルファーズ)擁する土浦日本大学高校に敗れてしまう。それでも夏に続けて全国大会出場を果たしたウインターカップでは、1回戦と2回戦を100点ゲームで突破。3回戦では小野龍猛(千葉ジェッツ)が在籍した國學院大學久我山(東京都)と対戦。大塚はチームトップの21得点を記録するも、チームとしては小野に34得点を許すなど苦戦し、81-99で敗れることとなった。
高校卒業は東海大学に進学し、TGI D-RISE(現山形ワイヴァンズ)、宮崎シャイニングサンズを経て、Bリーグ初年度の2016-17シーズンはSR渋谷でプレー。翌年富山グラウジーズに移籍し、2019-20シーズンからは川崎ブレイブサンダースに在籍している。
■須田侑太郎(アルバルク東京)&西川貴之(三遠ネオフェニックス)
ともに北海道出身で、須田は1992年1月3日、西川は1992年1月14日に生まれた。2007年に入学し、1・2年次のインターハイはともに2回戦敗退。2年次の冬に初めて臨んだウインターカップは、2回戦で能代工業に敗れるも、須田と西川は1・2回戦ともに2ケタ得点を記録するなど活躍した。3年次は須田がキャプテンに就任。インターハイは全国大会に北海道から2校が出場するも、東海大四は道予選のベスト8で敗退し、出場することができなかった。それでも、ウインターカップは同予選を勝ち抜き、全国大会出場の切符を手にする。大会では初戦で文星芸術大学附属高校(栃木県)と激闘を展開。第3クォーター終了時点で70-60とリードしていたものの、怒涛の追い上げにあい、最終スコア89-90で敗れた。
その後、須田は東海大学に、西川は明治大学にそれぞれ進学し、4年次にはインカレの決勝で対戦。試合は73-54で東海大学が勝利。須田と西川はそれぞれ大会優秀選手に選ばれ、表彰台で肩を並べた。大学卒業後はそれぞれトップリーグに進み、現在は須田がA東京、西川が三遠でプレーしている。
■関野剛平(サンロッカーズ渋谷)
北海道出身、1994年8月1日生まれ。2010年に東海大四に入学し、1年次にチームはウインターカップ出場を果たすも、関野自身はメンバー入りせず。3年次はインターハイ、ウインターカップともに全国大会出場を逃した。それでも個人としては3年次に国体の北海道選抜メンバーに選ばれ、後輩の佐藤卓磨(滋賀)や内田旦人(北海道)らとともに出場。当時の北海道選抜メンバーには、高橋耕陽(滋賀)なども選ばれていた。大会では準決勝で伊藤達哉(大阪)や森井健太(新潟)を擁する京都府選抜に敗れるも、3位入賞を果たした。
関野は高校卒業後に東海大学に進学し、在学中は4年連続でインカレ決勝進出を経験、強豪校で腕を磨いた。その後、2017-18シーズンにレバンガ北海道でプロキャリアをスタートさせ、2019-20シーズンからはサンロッカーズ渋谷に在籍。母校の先輩である野口とともにプレーしている。
■佐藤卓磨(滋賀レイクスターズ)
北海道出身、1995年5月10日生まれ。2011年に東海大四に入学、同期には須田侑太郎の弟・須田昴太郎(金沢武士団)がいた。2年次はインターハイ、ウインターカップともに全国大会進出を逃すが、関野らとともに国体で3位入賞を経験。自身が3年生となった2013年はキャプテンを務めるも、インターハイは全国大会1回戦敗退。インターハイ後は「日・韓・中ジュニア交流競技会」に参加するU-18日本代表にも選ばれた。その後、夏に続いて冬のウインターカップでも全国大会出場を果たすが、3回戦で柿内輝心(熊本ヴォルターズ)擁する北陸高校(福井県)に敗れ、ベスト16で大会を終えた。
高校卒業後に進学した東海大学では、4年次にキャプテンに就任。U24日本代表やユニバーシアード競技大会(台北)日本代表としても活躍した。その後、在学中の2017-18シーズンに特別指定選手として滋賀に加入し、3シーズン在籍。2020-21シーズンからは千葉でプレーすることが決まっている。
■内田旦人(レバンガ北海道)
北海道出身、1996年9月22日生まれ。2012年に東海大四に入学し、1年次から関野や佐藤ともに国体メンバーに選ばれる。下級生の頃から出場機会を得て、2年次のウインターカップでは1回戦の小林高校(宮崎県)戦で29得点、2回戦の沼津中央高校(静岡県)戦で22得点と得点源として活躍。敗れた3回戦の北陸戦でも12得点を挙げた。3年次はキャプテンを務め、インターハイではベスト8に進出。ウインターカップでは初戦となった2回戦で大分舞鶴高校(大分県)に勝利し、3回戦で長谷川暢(秋田ノーザンハピネッツ)がキャプテンを務める能代工業と対戦した。試合は序盤こそリードしていたものの徐々に追い上げられ、最終スコア82-93で敗戦。前年に続きベスト16で大会を去ることとなった。
内田も多くの先輩に続き東海大学に進学。4年次には高校時代と同じように、佐藤から引き継ぐ形でキャプテンに就任し、チームを5年ぶりのインカレ制覇に導いた。その後、2019年2月に特別指定選手としてレバンガ北海道に加入し、現在も在籍している。