2020.05.29

金丸晃輔を筆頭に総勢18名が在籍…Bリーグで活躍する福大大濠高校OB

福岡大学附属大濠高校出身のBリーガー[写真]=B.LEAGUE
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 豊富な全国大会出場経験を持ち、“バスケットボールの強豪”と呼ばれる高校がいくつかある。才能豊かな中学生を迎え入れ、独自のメソッドやハイレベルな競争の中で鍛え、磨き上げ、次のステップへと送り出す。プロの舞台では、そうした強豪校出身の選手が数多くプレーしている。

 では、数ある強豪校はそれぞれどのような選手を輩出してきたのだろうか。各校のOBを現在B1リーグでプレーする選手たちを中心にピックアップし、紹介する新企画。第2回で取り上げるのは、福岡大学附属大濠高校(福岡県)。B1、B2合わせてOB総勢18名はBリーグ最多。最近はYoutubeでの活動も注目された福大大濠出身選手を紹介する。

福岡大学附属大濠高校出身のBリーガー

山下泰弘(島根)&寒竹隼人(琉球)&堤啓士朗(福岡)

 福大大濠がウインターカップを初制覇した1986年に生まれたのが、山下、寒竹、堤ら福岡県出身の同期3人組。1学年上には竹野明倫(現大阪エヴェッサAC)が在籍し、3人が2年次の2003年には、インターハイとウインターカップで準優勝を果たした。
 3年次には堤がキャプテンに就任。1学年下に小林大祐茨城ロボッツ)や片峯聡太(現福大大濠HC)、2学年下に橋本竜馬レバンガ北海道)、金丸晃輔シーホース三河)を擁したが、インターハイでは能代工業高校(秋田県)に敗れベスト16敗退。ウインターカップでは、県予選で福岡第一高校(福岡県)に敗れ、10年ぶりに全国大会出場を逃すなど苦境を経験した。
 その後、山下は明治大学から東芝(現川崎ブレイブサンダース)、寒竹は拓殖大学からトヨタ自動車(現アルバルク東京)、堤は専修大学から高松ファイブアローズ(現香川ファイブアローズ)に入団し、3選手とも現在もBリーグでプレーを続けている。

橋本竜馬(北海道)&金丸晃輔(三河)

 橋本は1988年5月11日生まれ、金丸は1989年3月8日生まれで、ともに福岡県出身。山下、寒竹、堤らが卒業した翌年、2005年の福大大濠はインターハイこそ準優勝を果たすも、ウインターカップ予選では決勝で並里成琉球ゴールデンキングス)擁する福岡第一に敗れ、2年連続で全国大会出場を逃していた。
 橋本と金丸が最高学年となった2006年は、インターハイはベスト16に終わったものの、ウインターカップでは3位入賞を果たし、金丸は大会ベスト5に選ばれた。2人以外にも、キャプテンを務めた酒井祐典や1学年下のビッグマン・久保田遼(茨城)らの活躍も光った。なお、全国大会で敗戦を喫した相手はいずれも洛南高校(京都府)。湊谷安玲久司朱(元横浜ビー・コルセアーズ)や辻直人(川崎)、比江島慎宇都宮ブレックス)などを擁する強力なチームだった。
 橋本は卒業後に青山学院大学を経てアイシンシーホース(現シーホース三河)に入団し、現在は北海道でプレー。金丸は明治大学からパナソニックトライアンズ入りを果たし、現在は三河で活躍している。なお、4シーズン連続でBリーグ最優秀審判賞を受賞している、JBA公認プロレフェリーの加藤誉樹も福大大濠出身で、橋本や金丸と同級生。

長谷川智伸(琉球)&大塚勇人(青森)

 長谷川は島根県出身、1990年11月9日生まれ。大塚は埼玉県出身、1990年4月3日生まれ。新座市立第四中学校をキャプテンとしてけん引し、全国中学校バスケットボール大会を制するなどの実績を誇った大塚は、1年次から試合に絡んでいた。一方、長谷川が試合に絡み始めたのは2年次からで、3年次も主にシックスマンを担うことが多かった。
 3年次のインターハイは、ベスト16で比江島擁する洛南に敗戦。ウインターカップは2年連続で出場できず、福岡県代表として全国行きを果たしたのは狩野祐介名古屋ダイヤモンドドルフィンズ)がキャプテンを務める福岡第一だった。
 高校卒業後、長谷川は拓殖大学に進学してエースとして活躍し、三菱電機ダイヤモンドドルフィンズ(現名古屋ダイヤモンドドルフィンズ)に入団。2019-20シーズンは琉球でプレーしたが、今季限りでの退団が発表されている。大塚は早稲田大学を経て豊通ファイティングイーグルス名古屋(現Fイーグルス名古屋)に入団し、現在は青森ワッツに在籍している。

青木保憲(川崎)&杉浦佑成(島根)&葛原大智(富山)

 青木は静岡県出身、1995年6月23日生まれ。その翌日の6月24日に生まれたのが杉浦で、出身は東京都。そして愛媛県出身の葛原は、翌1996年2月6日に生まれた。3人は福大大濠で同期となり、1年次から主力として活躍。上級生の福元直人や村越圭佑(アースフレンズ東京Z)とともに、入学初年度からインターハイベスト8、ウインターカップベスト4に貢献した。
 2年次はインターハイベスト16、ウインターカップベスト8の成績を残し、迎えた最終学年。1学年下の津山尚大アルバルク東京)や野口夏来群馬クレインサンダーズ)、2学年下の牧隼利(琉球)や増田啓介(川崎)も活躍し、インターハイでは4位入賞。ウインターカップでは決勝まで勝ち進み、当時1年生の八村塁(ワシントン・ウィザーズ)を擁する明成高校(宮城県)と対戦。惜しくも敗れたが、杉浦は大会ベスト5に選出された。
 キャプテンを務めた青木は、その後筑波大学に進学し、インカレ3連覇を経験。2018年1月からは川崎でプレーする。同じく筑波大学に進んだ杉浦は、2017年1月からSR渋谷でプレーし、2020-21シーズンからは島根に活躍の場を移すこととなった。大東文化大学に進学した葛原は、大学4年次にインカレ決勝で青木や杉浦の筑波大と対戦。筑波大の4連覇を阻む形で初優勝を果たし、自身は大会MVPに選ばれた。2018年1月に特別指定選手として富山に加入し、現在も在籍する。

津山尚大(A東京)&野口夏来(群馬)

 津山は沖縄県出身、1996年4月16日生まれ。野口は福岡県出身、1996年7月16日生まれ。高い得点能力を誇った津山と入学当初から200センチの長身を備えていた野口は、下級生の頃から活躍していた。
 最上級生として臨んだ2014年のインターハイ。県予選で福岡第一に敗れ、福岡第2代表としての出場だったが、全国大会では破竹の勢いで勝ち進み、決勝では前年のウインターカップで敗れた明成に競り勝って28年ぶりの優勝を果たす。その後、福岡第一との混成チームで臨んだ国体でも優勝。
 高校3冠を目指して臨んだウインターカップでは、またも決勝で明成と対戦した。明成は、インターハイではFIBA U17バスケットボールワールドカップ出場のために不在だった八村を中心としたチーム。試合は終盤まで大濠がリードする展開が続くも、試合時間残り30秒で八村に逆転弾を許し、あと一歩のところで21年ぶりの優勝を逃すこととなった。
 津山はウインターカップ終了後の2015年1月に、アーリーエントリーで琉球に入団。その後、福岡でのプレーを経て、2019年10月にはカナダリーグのハリファックス・ハリケーンズと契約。同年12月からはA東京に在籍する。野口は専修大学に進学し、2019年1月からは群馬でプレーしている。

中村太地(京都)&牧隼利(琉球)&増田啓介(川崎)

 中村は山口県出身で1997年6月29日生まれ、牧は埼玉県出身で1997年12月14日生まれ、増田は静岡県出身で1998年1月22日生まれ。高校2冠、ウインターカップ準優勝を果たした津山たちが卒業後、2015年のチームは牧がキャプテンとしてけん引した。
 下級生には西田優大井上宗一郎ら、のちに特別指定選手としてBリーグ参戦を果たす選手や、スラムダンク奨学金で渡米し、現在はアメリカの大学でプレーする鍵冨太雅などの逸材がいたこの年。しかし、インターハイでは初戦で北陸高校(福井県)に敗れ、2回戦敗退を喫することとなる。
 雪辱を果たそうと臨んだウインターカップ。県予選で福岡第一を破り全国大会出場を果たすも、初戦で相対したのは中村浩陸大阪エヴェッサ)擁する中部大学第一高校。前半終了時点ではリードしていたものの、終盤に追いつかれ一進一退の展開に。試合はオーバータイムまでもつれ込み、最後は80-82と2点差で敗れた。
 インターハイ、ウインターカップいずれも初戦敗退という結果に終わった世代だが、筑波大学に進学した牧と増田は4年次にインカレ優勝という栄光をつかんだ。大学でもキャプテンを務めた牧は、大会MVPにも選出された。法政大学に進学した中村は、1年次から特別指定選手として三河に加入し、Bリーグを経験。さらに2年次には富山、3年次には横浜と特別指定選手契約を結び、4年次にバスケットボール部を退部して京都入団を果たした。現在は牧が琉球、増田が川崎に在籍。中村は2019-20シーズン限りで京都との契約が満了し、今後の動向に注目が集まっている。

<そのほかの福岡大学附属大濠高校出身Bリーガー>
小林大祐茨城ロボッツ
久保田遼茨城ロボッツ
村越圭佑(アースフレンズ東京Z)

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