2021.02.21
「18歳」――。
この言葉を聞くと人はみな、どのようなシーンを思い出すだろう。Bリーグの選手たちも様々な「18歳」を経てトップリーグのコートに立っている。今回は3人のBリーガーに18歳当時や高校時代の思い出を語ってもらった。
第1弾は特別指定選手としてサンロッカーズ渋谷に加入した八村阿蓮。明成高校(宮城県)での3年間を振り返った。
――まず、『18歳』と聞くと、どのようなイメージが沸きますか?
八村 『18歳』と聞くと……、「青春真っ只中」という感じはしますね(笑) 学校生活も含めて高校の時は毎日が楽しかったです。バスケットでは厳しい環境というか、(コーチの)佐藤久夫先生のもとで緊張するような練習ばかりでしたが、でも楽しかったです。大学生の今とは違う楽しさがありました。
――つい最近のことのようにも感じますが、当時はどんな18歳でしたか?
八村 18歳というと(学年では)3年生の時ですよね。高校3年生の時はまだ子供で、大人になり切れていなかったと思います。
あの時はどこか自分に自信が持てていなかったところが多くて。3年生のウインターカップで優勝しましたが、それまで何も成し遂げていなくて自信がありませんでした。でも、ウインターカップを優勝して、(大学でも)インカレで優勝することができたので、今は自信を持ってプレーできています。
――高校最後のウインターカップで優勝。これが大きな出来事だったのですね。
八村 自分にとってはインカレ優勝よりもうれしかったですね。ドラマというか、インターハイ(決勝)で負けた福岡大学附属大濠高校(福岡県)にリベンジするぞという気持ちでチームがいい方向に進んだので、厳しい戦いだったのですが勝ち切ることができ、とてもうれしかったです。
日本一になるというのは簡単なことではないので、最後の最後で優勝できたことがすごく自信につながりました。
――そうなると、18歳の一番の思い出は?
八村 やっぱりウインターカップかなぁと思います。
――そもそも明成高校(宮城県/現・仙台大学附属明成高校)に進学した理由は何だったのでしょうか。2つ上の兄、塁選手(ワシントン・ウィザーズ)の影響も大きいですか?
八村 親も違う学校に行ってとかは言わなかったですし、(兄と)同じ学校でというのはありましたね。塁からも明成の話は聞いていて、『本気でバスケをしたいなら明成に来るべきだ』とも言われていました。僕自身、その頃から『本気でバスケをやりたい』という気持ちがあったので、明成高校に決めました。
――強豪校ならではの厳しさを覚悟の上で進学したのですね。
八村 他の高校と比べても厳しい環境だったと思います。入学してそれを肌で感じました。気を抜いたらすぐ指導されて、一つのミスも許されないような環境でした。
1年生の時は、ベンチには入っていたのですが、試合に絡むことはほとんどなくて、2年生になってスタートで出るようになりました。でも、その時が思うように勝てなかったので、2年生の一年間が一番大変でした。
前の年にスタートで出てた選手が全員抜けて、誰が新しく核になるかも決まってないようなチームだったので、難しい年だったなと思います。
――3年生になってからは八村選手が核となりました。
八村 周りの選手にも恵まれていて、すごくバランスのいいチームだったと思います。その中でも「僕が中心となって組み立てていこう」とは思っていましたね。
――3年生のインターハイは悔しい思いをしたと思いますが、ウインターカップに向けてどのように取り組んでいったのですか?
八村 正直、インターハイも決勝までいけるとは思っていなくて、最後フリースローが外れて1点差で負けたのですが(60-61)、そういう試合があったからこそウインターカップまで全員がリベンジしたいという気持ちになったと思います。自分たちは決勝までいける力があったので、後は勝ち切る力というところだった。そこを全員で話し合いながら取り組みました。
――ウインターカップ優勝時には、コート上のインタビューで「塁には、やっと一歩近づいたぞと言いたいです」といったようなことを語っていました。
八村 兄の代を見ていても全国で優勝するのは簡単なことではないと思ったので、それを成し遂げたことと、スタッツ的にも活躍はできたのではないかなと思います。
――今回、『18歳』がテーマですが、『18歳の塁』を『16歳の阿蓮』はどう見ていましたか?
八村 塁は負けず嫌いなところがあったと思います。(塁が3年生の)国体で茨城に負けた後もすごく練習をしていましたし、一度ミスをしたプレーは(全体)練習後に何度も練習していたので、そういった向上心を見習って自分も高めることができたかなと思います。
――見えないところで練習している兄の存在が刺激になった。
八村 やっぱり兄ですし、同じようなポジションなので、兄を見習ってやらないといけないと思っていました。
取材・文=田島早苗
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