2023.06.26
全国から有望選手が集まる新潟県の強豪・開志国際高校。そのなかでも中心選手の1人である武藤俊太朗(3年)は、貴重な地元出身のプレーヤーだ。
チームでの主戦場はパワーフォワード。身長は190センチと、全国大会のゴール下で張り合うには決して恵まれた身の丈とは言えない。けれど武藤は、リバウンドにめっぽう強い。当たり負けしないフィジカルと跳躍力を活かして制空権を握り、オフェンスリバウンドから何度もセカンドチャンスをものする、相手からすれば非常に厄介な存在である。ちなみに、名字はムトウではなく「ブトウ」と読む。あくまで個人的な意見だが、プレースタイル的にも「ブトウ」の方が合っていると思う。
やや話がそれてしまったが、今夏のインターハイを例に挙げると、武藤は初戦の九州学院高校(熊本県)戦から6本のオフェンスリバウンドを記録。準決勝の中部大学第一高校(愛知県)でも5本のオフェンスリバウンドをもぎ取って勝利の立役者となった。準決勝で武藤とマッチアップした坂本康成(3年/194センチ)は、「体が強いっすね……」と脱帽し、中部大第一を指揮する常田健コーチも敗戦後にこんな言葉を残している。
「泥臭いことをしてくる武藤君に対して、泥臭いことをしたくない坂本がリバウンドやルーズボール争いでやられるんじゃないかっていう懸念がありました。やはり、リバウンドで武藤君に繋がれてしまいましたね。僕の中では試合前から武藤君に活躍されると嫌だなという思いがありましたし、彼が一番嫌な選手でした」
武藤は今年のU16とU17日本代表メンバーであり、インターハイ前には「FIBA U16 アジア選手権大会」に加え「FIBA U17 ワールドカップ」にも出場して世界基準を知った。インサイドだけでなく、外角から3ポイントシュートを射抜くことができるオールラウンダーは、夏以降3×3にもチャレンジ。10月に開催された「FIBA 3×3 U17アジアカップ2022」でも日の丸を背負って優勝を果たすなど、国際試合でも経験を積み、間もなく開幕する高校最後の大舞台に挑む。
2年生のときから先発を担う武藤としては、前回大会1回戦負けの悔しさもあるだろう。そして何より、惜しくも準優勝に終わった今夏の無念を晴らさなければならない。インターハイ決勝では残り5秒で福岡第一高校(福岡県)に逆転を許した。再逆転を狙ったラストプレー、開志国際は「最後は武藤に託した」(富樫英樹コーチ)ものの、託された背番号5はその期待に応えられなかった。攻守の要としてチームを引っ張り、今度こそ優勝の景色を見ることができるか。
文=小沼克年
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