2024.11.23

「感覚が合ってきた」日本代表・西田優大が語っていた手応え…Bリーグ再開後も期待大「もっと周りを巻き込む存在に」

モンゴル戦で抜群のパフォーマンスを披露した西田 [写真]=伊藤大允
フリーライター

 当初のメンバーリストに名前はなかった。11月10日のリーグ戦で勝利を収めたあと、シーホース三河西田優大に代表活動の話題を振ると、こう答えた。

「(呼ばれなかった)詳しい理由は分からないですけど、そこまでネガティブには捉えていないです。日本代表では役割も少し変わってくるので、今以上に自分を積み上げるという意味では自チームに残ってトレーニングをした方がプラスになる部分もあると思うので」

 声のトーンは下がらず、落ち込んでいるようには見えなかった。西田はバイウィーク期間を利用し、コンディションを整えるつもりだった。

 しかし11月15日、状況が変わった。

 当初のメンバーリストに名前はなかったが、「FIBAアジアカップ2025予選Window2」へ向けた直前合宿メンバーに追加招集されたのである。

 コンディション不良やケガにより不参加の選手が相次いだことが大きな理由であることは否めない。しかし、西田はトム・ホーバスヘッドコーチのバスケットを理解している1人であり、リーグ戦を通して調子が上向きになってきたタイミングでもあった。

 三河のエースは、中断前のリーグ戦で3試合連続となる2ケタ得点をマーク。3ポイントシュート確率に関しては第7節の秋田ノーザンハピネッツ戦から順に6分の4、5分の3、3分の2。いずれも60パーセントを超える高確率で沈めていた。

直近のリーグ戦でも好調ぶりを披露していた[写真]=B.LEAGUE


 西田は今夏のパリオリンピックの舞台に立てなかっただけでなく、今年2月にはケガの影響で代表活動の辞退を余儀なくされている。11月21日、久しぶりに日の丸のユニフォームに袖を通した25歳が躍動した。

 先発起用された背番号19は約28分間のプレータイムをつかみ、チーム最多となる21得点12リバウンド。3ポイントは8本中7本成功という精度で射抜いてみせた。

 その姿を見て、代表合流前に語っていた彼の言葉が頭に浮かんだ。

「やっと自分の体とシュートタッチの感覚がすごく合ってきました。シュートタッチがよくなった分、自分が攻められる時はもっと積極的にいきたいと思っていますし、得点を取ることがチームの助けにもなると思っています。そのメンタリティーはこれからも待ち続けていきたいです」

 日環アリーナ栃木を大いに沸かせた西田だが、24日の試合でも12名のロスターに名を連ねるかどうかは不透明だ。グアム代表との試合が終われば、再びシーホース三河での戦いがスタートする。

 今シーズンの三河は新加入の須田侑太郎がキャプテン、在籍4年目の西田が副キャプテンに就任。チームを象徴する存在でもある西田は、これまで以上に周りを巻き込むプレーヤーになろうとしている。

「僕はチームの中心でもありますし、もっと周りを引っ張っていける存在にはならないといけないです。特にすっさん(須田侑太郎)と僕がその役目を担わないといけない中で、すっさんはすごくリーダーシップがあります。常に声を出して、言葉で伝えたいことを表現するのが上手いですし、パッションもある。だから周りも『この人についていこう』という気持ちになるんです。僕はそういうことが得意なタイプではないですけど、いつかはチームを巻き込める存在になりたいです。けど、今はチームをいい方向に導くような“プレー”をし続けることの方が大事だと思っています。オフェンスにしてもディフェンにしても、まずは僕が先頭に立ってやらないといけない立場ですし、少しずつ結果も出てきているのでそこはブラさずにやっていくだけです」

 就任2年目のライアン・リッチマンHCからの要求は、昨シーズンよりも「質が高くなった」と西田は言う。リッチマンHCもチームの柱に対する厚い信頼をのぞかせる。

「優大に関してはとても特別な選手だと思っています。なぜかというと、オフェンスとディフェンスともに高いレベルで遂行できる優れた2wayプレーヤーだからです。私たち(コーチ陣)はそれを求めていますし、優大も日々その要求に応えようとしてくれています」

 冬はおでんの季節。ファンを虜にする熱々のプレーは、しばらく続きそうだ。

取材・文=小沼克年

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