Bリーグ公認応援番組
『B MY HERO!』
「自分がディフェンスやルーズボールといった地道なところを一生懸命やって引っ張っていかなきゃいけないと思いました。オフェンスだけじゃなくてしっかりとしたディフェンスもできるようになって、隙のない選手になれるようにあと1年頑張ります」
涙で東京体育館をあとにしてから1年。世代屈指のオールラウンダーが全国の舞台に帰ってきた。
12月23日、「SoftBank ウインターカップ2022 令和4年度 第75回全国高等学校バスケットボール選手権大会」が開幕。大田区総合体育館の第1試合では札幌山の手高校(北海道)が三田松聖高校(兵庫県)に105-51で勝利して初戦突破を果たした。
札幌山の手が攻める側のエンドライン付近には、常に7、8人、多い時では10人以上のカメラマンがずらりと並んだ。お目当ては森岡ほのか(3年)で間違いないだろう。
チームの絶対的エースを務める彼女は、ポイントガードを本職としながらも得点にアシスト、さらには174センチの身長を生かしリバウンドにも飛び込んでチームをけん引。札幌山の手では1年生からキャプテンに抜擢され、今年はU18日本代表にも名を連ねたオールラウンダーである。
この日の森岡は「初戦ということでみんな緊張していたんですけど、自分がキャプテンとしてプレーでも引っ張っていかなきゃいけないという気持ちがありました」と、立ち上がりは周りへパスをちらして攻撃にリズムを与え、自身も外角のシュートを中心にスコアを伸ばした。第1クォーターから3本の3ポイントシュートを沈め、最終的には1人で41得点をマーク。アシストは「3」に留まったが、この数字以上に攻撃の起点となり、ディフェンスでは3つのブロックショットを記録した。
12本中9本の高確率で3ポイントを射抜いても、森岡はいたって冷静だ。
「今日は結構入ったんですけど、3ポイントは水物なので毎試合入るわけではないです。自分は得点も取れるけど周りを生かすことも得意なので、しっかり周りを見ながらチームの流れを掴んでいきたいなと思います」
この夏、チームはインターハイ出場権を獲得したが、新型コロナウイルス感染症の影響の受け全国の舞台に立つことができなかった。「自分たちはインターハイに出られず辛い思いをしてきたので、その分、この大会に懸ける思いはすごく強いです」と森岡は真っ直ぐな目で話す。
「もちろんチームとして高い場所を目指してるんですけど、この大会は自分たちが一番楽しもうという気持ちでプレーしています。ラストの1年なので、ここに懸ける思いは自分も他の3年生も、他のチームメートもすごく大きいと思うので、1試合1試合内容のいい試合をして、みんなで楽しんで勝ち進んでいきたいです」
明日の2回戦は大田区総合体育館ではなく、東京体育館に立つ。札幌山の手の背番号4は、今日よりもさらに多くの高校バスケファンを釘付けにするだろう。
文=小沼克年