2022.12.25

激戦を突破して初めて立った冬の舞台…京都両洋が自分たちのスタイルを最後まで貫く

初勝利とはならなかったが、初のウインターカップで思い切りプレーした京都両洋 [写真]=兼子愼一郎
バスケットボールキング編集部

離されても追いついていく自分たちのスタイルを徹底

 12月24日に大会2日目を迎えた「SoftBank ウインターカップ2022 令和4年度 第75回全国高等学校バスケットボール選手権大会」は東京体育館、大田区総合体育館で全36試合が開催。大田区総合体育館の第6試合には、ウインターカップ初出場を果たした京都両洋高校(京都府)が登場し、過去ベスト4に2回進出した実績のある桜丘高校(愛知県)と対戦した。

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 京都には、ウインターカップ優勝4回、45回の出場を誇る洛南高校と、準優勝2回、ベスト1回の東山高校という全国の強豪がしのぎを削り合う。それだけに、京都両洋のウインターカップへの道は険しいものだったが、今回、京都府予選の決勝リーグで初めて公式戦で東山を破り、ウインターカップ出場のキップをゲットした。

 迎えた初戦、初出場の緊張からか桜丘の攻撃を抑えることができずリードを奪われる。しかし、これは試合後の取材でわかったことだが、京都両洋が普段から“試合の入り方”を課題としており、ある意味想定内だったちという。事実、2ケタあった点差はいつの間に5点以内に縮まっていた。京都両洋の瀬戸山京介コーチいわく、「だったら最初からやればいいのに」と苦笑いするほど。

 京都両洋は何度も桜丘に離されながら、決して自分たちのバスケを見失わなかった。粘りのディフェンスから主導権を奪い、連続得点でビハインドを削っていく。「アップダウンが激しいのもうちの特徴」とキャプテンの谷哲平が語ってくれた。

桜丘のオフェンスに食らいつく京都両洋の谷(左) [写真]=兼子愼一郎


 第4クォーター、京都両洋は最後まで諦めない。オールコートのディフェンスで活路を見出すと、残り2分39秒には桜丘がタイムアウト。15点あったリードを76−71と一気に縮められた桜丘がゲームを一旦ストップ。その後、京都両洋にミスが出て逆転までには至らなかったが、初のウインターカップに確実に爪痕を残したと言えるだろう。

全く全国大会に縁のなかった選手たちが自分たちの力を発揮

 試合後、メディア対応した京都両洋の谷は「試合の出だしから自分たちがやりたいことをできず、全国という舞台に飲み込まれてしまったのかもしれません。ただ、後半から調子を上がり、自分たちらしさが出せました。でも結果は負けてしまったので、大会の感想としては悔しいです」とコメント。

 さらに、「僕自身もそうですし、ミニや中学、高校での京都府選抜と誰も全国大会に出た経験がないので、そういう選手が集まって今大会に出場、そして本大会に挑んで。そういう面では自分たちの力がしっかり発揮できました」。

 瀬戸山コーチは、「今の3年生は入学早々、(新型コロナウイルス感染拡大の影響で)オンライン授業から始まって、本当に苦労したと思うんですよ。思い描いた学校生活とは違ったと思います。去年のインターハイ予選も出場もできなかったし、そういう意味でも苦楽をともにしましたから、特段思い入れもありました」と、選手たちへの思いを話してくれた。

「試合の前に『軽いプレーはしないようにしよう』と声をかけたのですが、かえってそれでボールムーブができずに重い展開になってしまいました。ただ、ビハインドな状況でも下を向くことなく前を向いてプレーしてくれたのが良かったと思います。諦めずにコツコツと粘り強く頑張れる選手たちなので、カムバックする力はあります」

 このように選手たちを評価した瀬戸山コーチは、自身の小林高校時代、2年連続でウインターカップ準優勝を果たし、2000年の3年次には大会ベスト5に選ばれた経験を持つ。今回、22年ぶりにウインターカップのコートに帰ってきたのだが、「本当に手のかからない3年生たちで。彼らに連れてきてもらったと思います」と、選手たちに感謝の言葉を述べた。

「生徒たちに連れてきてもらいました」と、瀬戸山コーチ [写真]=兼子愼一郎


ウインターカップ出場の経験は人生の財産となります。一生自慢できますね」

 谷は笑顔で会場を後にした。

取材・文=入江美紀雄