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6月17日と18日の2日間にわたり、福井県を舞台に開催された「令和5年度 北信越高等学校体育大会 バスケットボール競技会」。男子の部では開志国際高校(新潟県1位)が他チームとの力の差を示して大会2連覇を飾った。
2022年のウインターカップ覇者は、新チーム始動後も未だ公式戦負けなしの強さを誇る。7月末に控えるインターハイでも優勝候補最有力に挙げられる存在だ。今大会では初戦の松本第一高校(長野県3位)戦を77-49で勝利すると、続く準々決勝では第1クォーターから金沢高校(石川県2位)を40-12と圧倒。準決勝の東海大学付属諏訪高校(長野県1位)を最終スコア88-54、北陸高校(福井県1位)との決勝戦も86-64と大差をつけ、全4試合で20点差以上の勝利を収めた。
今大会に臨むにあたり、富樫英樹コーチが頭の中に描いていたテーマは『選手層の底上げ』だ。その中でも「ケガをしていて4月まで試合に出せなかった」という石井息吹(3年)を全試合でスターティングメンバーとして起用。昨年から経験を積む中島遙希(3年)をシックスマンに回し、石井に場数を踏ませた。
石井本人も富樫コーチにアピールするかのように積極性を貫き、コートに立てば得意とする3ポイントシュートに加え果敢なドライブから得点をマーク。しかし、指揮官は現状の石井に対し合格点を与えず、さらなる奮起を促した。
「今回は石井を育てたかったので、中島を下げて石井のプレータイムを伸ばしてインターハイに備えたかったんです。経験を積ませる意味ではまあまあ上手くいきましたけど、もう少し頑張らないとちょっと苦しいかなと。今大会で試合慣れもしていいきっかけになったと思うので、インターハイに向けて頑張ってもらいたいですね」
北信越大会でも無敗をキープし、チームはいよいよインターハイ制覇へ照準を合わせる。昨年のインターハイ決勝では、最終盤に試合をひっくり返され優勝がこぼれ落ちた。「油断することなく優勝を目指したい。まず1冠取らないとね」と富樫コーチは力を込め、「あの悔しさをみんながわかっているので、今年はやってくれると思います」と選手たちへ期待を寄せた。
開志国際の牙城は崩せなかったものの、開催地の北陸は準優勝で終えた。同校の山場となったのは準決勝の帝京長岡高校(新潟県2位)との一戦。試合は開始から互角の展開が繰り広げられたが、北陸はなかなかリードを奪うことができず、残り1分で5点のビハインドを背負った。しかし、ここから清水隆之介(3年)の3ポイントが決まって望みをつなぐと、残り20秒には松岡颯汰(3年)がオフェンスリバウンドから2本のフリースローを獲得して78-79。最後の攻撃ではムトンボ カベヤ エノック(2年)がペイントエリアから逆転弾を沈めた。
北陸は地元の大応援団も味方につけ、今大会のハイライトとも言える大熱戦を80-79を制した。キャプテンを務める木下遥陽(3年)は、「試合に出られる15人だけじゃなくて、応援のみんなもすごく真剣にやってくれてすごく力になりました。チーム全員の気持ちが1つになっていた感じでしたし、その想いが伝わって勝ちきれたんじゃないかなと思います」と試合を振り返った。
「決勝では思いっきりやられてしまったんですけど、僕たちの目標は変わらず日本一。インターハイでは全員で、全力で勝ちにいきたいです」
開志国際と同様、北陸も今大会で得た収穫と課題を持ち帰り、夏の全国優勝を見据える。司令塔かつ得点源の1人としてもチームを引っ張る木下は、「ガードは味方にいいシュートを打たせることがすごく大事だと思っているので、一つひとつのパスを相手が一番取りやすい、一番ほしいところに出していきたいです。あとは僕自身も得点を取らないと勝てないので、 確実に決めきる力や外のシュートも強化していきたいです」と語り、インターハイまでの残り1カ月でさらに自分を追い込む構えを見せた。
取材・文・写真=小沼克年