2023.11.10

夏冬連覇へ「ここからが大事」日本航空はウインターカップ予選1位もさらなる“強化”図る

山梨県大会を無傷で勝ち上がった“夏の王者”日本航空[写真]=小沼克年
フリーライター

 11月3日、富士北麓公園体育館で「令和5年度 第76回全国高等学校バスケットボール選手権大会山梨県大会」が行われ、12月のウインターカップへ出場する同県の代表校が決定。男子の部は4チームによる決勝リーグで3つの出場枠を争い、日本航空高校、自然学園高校、県立青洲高校が冬の全国大会行きを決めた。

 優勝を飾ったのは日本航空。同校は6月の関東大会を制すと、インターハイではその勢いをさらに加速させて初優勝まで駆け上がり、山梨県にウインターカップ出場枠「3」をもたらした。

 今回の予選も無傷で突破を果たし、最終戦は自然学園に107-80の快勝。この試合ではポイントガードの大道一歩(2年)が得点を伸ばして序盤から主導権を握るも、第2クォーター中盤には36-35と迫られた。

 日本航空の山本裕コーチは、ここでたまらずタイムアウトを請求。もう一度チームの士気を高めると、その後は再び連動した守備からオフェンスを展開してリードを拡大。危なげない試合運びで2年連続9回目のウインターカップ出場権を獲得した。

■ 予選で凡ミスも「やっぱりそこは高校生」

キャプテンとしてチームをまとめる福岡恭輔[写真]=小沼克年


 この夏、高校バスケ界に衝撃を与えた日本航空は、ウインターカップでは追われる立場となる。今回の県予選は余力を残したまま勝ち抜いた印象もあるが、それゆえに簡単なミスを犯してしまう場面もあった。現時点ではチームの状態がまだ上がってきておらず、山本コーチは理由を次のように話す。

「インターハイで優勝することができて、そこから時間が経ったこともあり少しモチベーションが下がっている時期です。サボっているわけではないですが、やっぱりそこは高校生。ずっとピークの状態を保つことはできませんので、これからの約2カ月が大事になってきますし、12月の終わりに一番いい状態にもっていけるようにしたいです」

 夏以降のチームは主にディフェンスの強化を図り、試合の流れを左右するプレーにも磨きをかけてきた。「うちのチームは失点が多いという課題があるので、まずはマンツーマンでしっかり守れるようにすること。ゾーンディフェンスに関してもさらに機能するように強化しています」と山本コーチ。

 キャプテンの福岡恭輔(3年)は「リバウンドだけじゃなくて、ディフェンス、ルーズボールといったスタッツに残らないプレーはやっぱり盛り上がります」と話し、「練習や試合でもそういった泥臭いプレーをしっかりやっていこうと話して取り組んでいます」と、チームの先頭に立って底上げを図っている。

■ 夏冬連覇へ選手層アップ目指す

チームをけん引する2年生ガードの大道一歩[写真]=小沼克年


 インターハイを振り返ると、準決勝の開志国際高校(新潟県)戦と東山高校(京都府)との決勝でコートに立ったのは、12人のエントリーメンバーのうち7選手だった。その中でも豪快なダンクシュートとブロックショット、さらには冷静なアシストや3ポイントも披露したオルワペルミ・ジェラマイア(2年)が周囲を震撼させたが、夏冬連覇を成し遂げるには控え選手の台頭が必要不可欠となる。

「やっぱりベンチプレーヤーですよね。スタートで出る選手だけじゃなくて、ベンチから出るメンバーがエネルギーを与えることも非常に重要です。 7番手、8番手、できたら9番手、10番手くらいまで選手層を厚くできたらいいなと思っています」(山本コーチ)

 ウインターカップまでには「U18日清食品 関東ブロックリーグ」も3試合残されており、チームがもう一段階レベルアップできる可能性は十分にある。福岡は「インターハイで優勝したことで周りからの見られ方も変わったと思います。でも、そういう追われる立場も楽しんで、一試合一試合を大切に戦っていきたいです」と、落ち着いた口調でこの先を見据えた。

 もう一度あの喜びを味わうため、日本航空はこれからも悔いのない日々を積み重ねる。

取材・文・写真=小沼克年