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『B MY HERO!』
将来のNBA入りを目指す兄弟がいる。兄で高校3年のハウエット・ナイルと弟で高校1年のハウエット・凪音だ。2人は『Boogie’s Basketball U18』(以下ブーギーズ)から世界へ羽ばたこうとしている。
アメリカ人の父と日本人の母を持つ兄弟は、兄が小学4年、弟が2年のとき、父の赴任先だったシンガポールでバスケに出会った。きっかけは、アリゾナ州出身でサンアントニオ・スパーズファンの父親が見ているNBAだった。折しもスパーズとマイアミ・ヒートが覇を競い合っていたころだ。弟は父の影響もあり、当時スパーズに所属し、ファイナルMVPとなったしたカワイ・レナード(ロサンゼルス・クリッパーズ)のファンに。一方兄は当時、インディアナ・ペイサーズでプレーしていたポール・ジョージ(ロサンゼルス・クリッパーズ)に憧れたという。
小学校で日本にやってきた兄弟は地元のミニバスクラブを経て、全国中学校大会に出場経験のある強豪の横浜市立豊田中学に進学。ここで日本の部活を体験するとともに、ファンダメンタルやディフェンスの心構えを叩き込まれた。
そして兄は中学卒業後、インターナショナルスクールに通いながら、ブーギーズでプレーすることになる。中学校時代に渡米、バスケの本場で高校時代を過ごした小林大起氏がコーチを務める同チームのミッションは「良い意味で日本人らしくない、強い意志を持ったプロフェッショナル」を育てること。数回の海外遠征を企画、英語を使ったコミュニケーションを通じて語学力の向上をサポート、NBAスキルトレーナーのアメリカ人コーチも在籍、さらには海外の高校への進学についても必要な準備、学校選びのアドバイスを行っている。
小林コーチは、「僕のようにアメリカに挑戦するのであれば早いほうがいい。大学進学まで待つのではなく、チャンスがあれば高校からでもチャレンジしたほうがい良いと思います」と熱く語る。兄のナイルは今年の9月からアリゾナ・コンパス・プレップスクールに編入した。
兄同様、中学卒業後、ブーギーズに入団した弟の凪音も兄と一緒に渡米する予定だったというが、まだ成長段階にあり身体的にも体の線が細いこともあり、日本で準備をしたほうがよいと決定。編入を1年先に延ばし、それまでは小林コーチのもと、ブーギーズで腕を磨いていく予定だ。
ここでは兄のナイルにリモートで、弟の凪音にはブーギーズの練習会場で取材した2人のインタビューをお伝えしたい
文=入江美紀雄
――アメリカに挑戦しようと思ったのはきっかけを教えてください。
ナイル 小さいときからNBAを見ていて、やっぱりNBAがバスケの中でトップなので、ずっとそこでプレーしたいと思っていました。ブーギーズ(Boogie’s)に入ればアメリカ遠征もあるし、一番チャンスがつかみやすいと思っていました。
――すべての面で日本と違うとは思いますが、慣れないことなどがありますか?
ナイル こちらに来て一番初めに思ったのは、サイズの違いで、ペース、流れの違いも大きいなと思いました。みんなの体がでかいし、コートも狭く感じるときがあるから、パスを回したりして、頭使ってプレーしないといけないなと思うことがよくあります。
――プレースタイルを教えてください。
ナイル ブーギーズのときはファーストオプションで、ボールが来たらゴールを見て、ディフェンスに少しでもずれがあったら攻めていました。ディフェンスがどう来るかを判断して、ジャンプシュート打つかレイアップに行くか、周りにキックアウトしたりするっていう感じでした。今は日本にいるときのように打つチャンスがあまりないので、もっとスマートにプレーすしています。周りはもっと大きいし、そしてもっと早いので。日本にいたときとあまり変わらずにプレーしたいのですけど、慣れるまでに少しは時間がかかるなって思っています。
――自分のストロングポイントは何だと思います。
ナイル シュートの確率が高いことです。加えて、ディフェンスとのずれを作ることが強みだと自分では思います。
――今、コーチに教わっていることは何ですか?
ナイル いいシュート、グッドショットで収まるんじゃなくて、グレイトショット、パスを回して一番いいシュートを探すバスケをコーチが一番目指していることです。もう一つはこれは自分のためなんですけど、頭に考えずにすぐ行動すること。考える前にプレーしなさいと、これは結構言われています。
――アメリカのカルチャーにはすぐなじめましたか?
ナイル 言葉の問題ないのですが、カルチャーの違いは結構感じてます。僕が通っていたインターナショナルスクールは白人やアジア人ばかりだったのですが、こちらでは学校で唯一のアジア人ですし、流行であったりテンションもぜんぜん違う感じで、慣れるのには結構時間がかかるのかなと思っています。
――わかりました。目標はやっぱりNBA?
ナイル そうです。絶対。アメリカの大学に行くためにアメリカに来たので、ディビジョン(以下D)1の大学を目指しますが、入学時にD1に入れなくても、D2、D3からトランスファーすることができるので、まず大学に入って。そこからNBAを目指します。
――ところでワールドカップは見ましたか?
ナイル はい、見てました。本当にすごいと思いました。やっぱりポジションが同じ富永(啓生)選手(ネブラスカ大学)のシュートや比江島(慎)選手(宇都宮ブレックス)のでかい相手に向かってエンドワンを取るプレーを見て、すごいなって思ってました。
――日本代表も一つの目標になりますか?
ナイル はい。将来、日本代表になりたいと思ってます。
――バスケを始めたのはシンガポールにいたときですか?
凪音 はい。兄がもう始めていて、自分も興味を持って、それでバスケもしたいなって思ってそこからです。
――NBAの影響は大きかったのですね。
凪音 昔からカワイ・レナードが一番好きで、だからスパーズが好きでした。その後、ラプターズに行ったときも、今はクリッパーズにいますが、ずっと好きです。
――レナードのどういうところが気に入りましたか?
凪音 シュートがとにかくきれいで、すぐに真似してみたくなって。とにかく魅力的です。
――ポジションは?
凪音 今はシューティングガードですが、自分まだ全然小さいと思うので、ポイントガードをできるようになりたいです。
――今は何センチ?
凪音 178センチです。大きくなり始めたのが高校に入ってからなので、まだまだこれから伸びると思います。
――ポイントガード修行中っていうことですけど、小林コーチからはどういうことをアドバイスしてもらってますか。
凪音 ハンドリングがメインで、それ以外のこともいろいろ教わっています。チームに入ったばかりのころはまだまだだったのですが、コーチに教わってハンドリングはうまくなったと思います。強くドリブルすることは当たり前で、姿勢を低くすることもアドバイスもらっています。
――ゲームコントロールについてはどうですか?
凪音 パスがまだ下手で、周りもあまり見えてなくて。ドリブルで抜いて逆サイドに誰かオープンになっていても、自分で無理してシュートまで行ってしまうことも多いので、もっとうまくなりたいです。ポイントガードなるにはパスがほんとに大切になってくるので、しっかりマスターしたいです。
――日本の高校ではなくて、アメリカの高校に進みます。NBAを目標にしているので、その進路を選んだのですか?
凪音 それは最後のゴールとして。まずアメリカに渡って、カレッジに進んでいきたいと思います。
――お兄さんがアリゾナ・コンパス・プレップに進みましたが、一緒に行きたい気持ちはあったのですか?
凪音 色々な人たちと相談しました。兄と一緒にことも考えていたのですが、身長がまだ伸びていて体もまだできてないこともあり、日本に残ることに決めました。これから1年でアメリカに行く準備をします。
――渡米するにあたり不安はありますか?
凪音 日本の文化と全然違いますし、バスケに関しても対照的な面も多いので、不安がないと言えば嘘になります。ただ、バスケでは自分のできることをしっかり見せて、チームメートにリスペクトされるような選手になりたいです。
――ワールドカップは見ましたか?
凪音 はい。いつかは自分も日本代表に選ばれて、あのステージでプレーしたいと思いました。
――楽しみにしています。ありがとうございました。