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「ミーティングでは戦術的な確認もしましたが、それを踏まえた上で形がどうこうよりも思い切ってやることが大事だと選手たちに伝えていました。そういった意味で渡邉伶音(2年)や榎木璃旺(1年)が得意なプレーから入ってくれた。受け身にならずに自分たちから攻める気持ちを持って試合に入ることができたので良かったと思います」
福岡第一高校との頂上決戦を制した福岡大学附属大濠高校の片峯聡太コーチは、このように試合を振り返った。
11月3日、「ウインターカップ2023 高校バスケットボール福岡県大会」は最終日を迎え、アクシオン福岡では男女の決勝リーグ最終戦が行われた。この日の最終試合は、ともに決勝リーグで2勝を挙げている福大大濠と福岡第一との一戦。今年の福岡県のウインターカップ出場枠は2つのため、すでに両チームとも冬の全国行きは決めているが、勝てば優勝となる試合は、今年も白熱した展開となった。
今年の夏は福岡第一に県予選で敗れてインターハイ出場はならなかった福大大濠。そのインターハイ予選の敗戦直後には、「ボールに対して頭から突っ込んで取りに行くぐらいの気迫がなかったのが悔しいし残念です」と片峯コーチは言い、夏の間はルーズボールの意識を高めたいとも語っていた。
一方、敗れた福岡第一は、9月末の「U18日清食品トップリーグ2023」(対福大大濠)にてエースの崎濱秀斗(3年)が足を骨折。今大会も崎濱を欠いての試合となったが、その他にも「10月はケガや病気などがあり、(主力が)全員そろって練習をやり込めてない」(井手口孝コーチ)状況ではあった。そういったことも影響してか、試合では「オフェンスにしろディフェンスにしろ腰が引けたような感じ。体力的ものなのか、例えばディフェンスだったらファウルが怖くてなのか、非常に受け身になっていました」と、井手口コーチは言う。そして「今日は大濠さんがやることを決めてそれをしっかりやっていたし、チームとしての出来が良かったですね」と、相手を称えていた。
奇しくも同じ言葉で試合を表現した両コーチ。だが、ここで終わりではないことはどちらも承知だ。ともに見据える先は12月末のウインターカップ。「11月は個を鍛えていきたい」とは、福岡第一の井手口コーチ。崎濱と2月に足を負傷し長期離脱中のアピア・パトリック眞の復帰の目処が立つのは12月近くなってからと予想され、復帰か否かもわからない状況ではある。だが、準優勝に終わった昨冬やベスト4に留まった今年のインターハイなど、さまざまなリベンジも含め、福岡第一はチーム一丸で冬の王座を狙いにいく。
また、「このチームに足りないのはあとは自信だと思っていたので、大きな舞台で(自信を)得ることができたこと、また福岡で1位になることはすごく意味のあることだと思います」(片峯コーチ)という福大大濠も、「これに満足することなくあと1カ月半、ケガなくこのメンバーで戦えるようにやっていきたいです」と、勝って兜の尾を締める。
どちらも優勝候補の一角として臨むウインターカップ。次は全国のライバルたちとの決戦に向け、さらにギアを上げていく。
取材・文=田島早苗