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桜花学園高校(愛知県)が大会連覇へ王手をかけた。
9月9日に開幕した「U18日清食品トップリーグ2023」の女子の部は、残すところ11月18日に開催される最終戦のみ。計8チームによるリーグ戦において唯一の全勝は、前年の第1回大会を制した桜花学園だ。
桜花学園は11月11日と12日、オープンハウスアリーナ太田での2連戦に臨んだ。初日の大阪薫英女学院高校(大阪府)との一戦では、第3クォーターを終えて45-42と拮抗。第4クォーター序盤にはキャプテンでエースの田中こころがファウルアウトとなり、暗雲が立ち込めた。
しかし、桜花学園はここからペースを握り、攻守で大阪薫英女学院を圧倒した。堅い守備で難しいシュートを打たせると、攻めては黒川心音のアシストに福王伶奈、阿部心愛、深津唯生が応えて点差を拡大。この10分間を27-11と上回り、最後は19点差で勝利した。
大阪薫英女学院との全勝対決を制した翌日は、トップリーグ初参戦の精華女子高校(福岡県)と対戦。第1クォーターから36得点を奪う攻撃力を見せつけ、最終スコア103-72で快勝を収めた。
9月30日以来となったリーグ戦を連勝で終え、桜花学園は単独トップに立った。しかし、センターの福王は「正直、もうちょっとやれたかなと思っています」と、首をかしげながら2連戦を振り返った。
「薫英戦では前半に得点が取れなかったです。今日(精華女子戦)も第3クォーターでは相手に動きが読まれてしまって、1本もシュートが打てなかったです。勝ちはしましたけど、ちょっと課題が残りますし、悔しかったです」
福王は今大会の6試合中5試合で先発を担ってきた。193センチの高さを活かして1人で大量得点を稼ぐタイプではないが、ゴール下での得点、リバウンド、ディフェンスで勝利に貢献。コート上で意識しているのは、常に冷静さを保ってプレーすることだと福王は言う。「自分が一番負けないのは、すごく冷めているところです」。思わず興味をそそる言い回しで話し始めた彼女は、その理由についてこう続けた。
「試合中は熱くなったほうがいいとよく言われるんですけど、自分は熱くなることが好きではないので、常に冷静でいるようにしています。それに周りがどんなに焦ってしまっても、自分はゴール下で構えている立場。広い視野を持つことが大切だと思っていますし、コートではなるべく感情を抑えていますね」
チームの強みは2年生の深津と阿部、白石弥桜など、インサイドで体を張れる後輩がそろうことだ。その中でも、大黒柱を担うのはやはり福王であり、全勝優勝がかかる最終戦のカギを握るのも彼女と言える。
18日に顔を合わせるのは、「令和5年度全国高等学校総合体育大会バスケットボール競技大会(インターハイ)」の決勝で65-88と大差で敗れた京都精華学園高校(京都府)。桜花学園にとって倒さなければいけない最大のライバルである。
相手のインサイドに君臨するのは、1試合平均35.5得点19リバウンドをマークし、個人ランキングで首位に立つディマロ ジェシカ。「京都精華さんと対戦する時は、自分がジェシカとボランレ(ユサフ ボランレ アイシャット)の2人を止められるかが重要になってきます」と福王も自覚するように、桜花学園はジェシカを軸とした高い得点力を誇る京都精華学園をどこまで抑えられるかが問われる。
「普段からインサイドの1対1の練習はすごくしていて、自分と白石はもう涙が出るぐらいやっています。インターハイが終わってからオフェンスもディフェンスも鍛えられたので、来週の試合でそれをしっかり発揮できたらいいと思います。チーム全体としては、ディフェンスからブレイクを出せるかどうかが大事になってくるので、そのためにもまずはしっかり守って得点を取りたいです」
最終週の最終試合に組まれた屈指の好カード。その注目の一戦でも、福王伶奈はいつもどおりの冷静なプレーで勝利を手繰り寄せる。
文=小沼克年