2024.02.22

新たなスタートを切った京都精華学園…キャプテンの林咲良は「チャレンジャーの気持ちで」

京都精華の新キャプテンの林咲良は司令塔を務める [写真]=田島早苗
中学や高校、大学などの学生バスケットをはじめ、トップリーグや日本代表と様々なカテゴリーをカバー。現場の“熱”を伝えるべく活動中。

 奈良県にて開催された「第34回近畿高等学校バスケットボール新人大会」(2月17、18日)。前回大会に続いての顔合わせとなった京都精華学園高校(京都府)と大阪薫英女学院高校(大阪府)との女子決勝は、終盤までもつれる展開となった。

 先に主導権を握ったのは京都精華学園。林咲良、橋本芽依(ともに2年)のガード陣がドライブやアウトサイドシュートで得点を挙げれば、191センチのセンター、ユサフ ボランレ(2年)もリング下のシュートを決めていく。追いかける大阪薫英女学院は岩井萌(2年)が気を吐くも、京都精華学園はその後も高さを強みに点差を広げていった。

 しかし、「ぶっつけ本番のようなところはありましたが、そのままいくとワンサイドゲームになると思ったので」(安藤香織コーチ)という理由から大阪薫英女学院がプレスディフェンスを仕掛けると、京都精華学園はこれに手をこまねく。ミスなどもあり、一時は16点あったリードを第3クォーター終了時点には2点にまで詰められてしまった。

 その後は1点を争うような膠着状態に。だが、この苦しい場面で意地を見せたのは京都精華学園の林で、何度も立ち向かってくる大阪薫英女学院に対して、戦意をくじくような3ポイントシュートを沈めていく。残り22秒にはトドメとなる3ポイントシュートを決めて小さくガッツポーズ。この林の活躍もあり、最後は91-87で京都精華学園が大阪薫英女学院を振り切った。

 試合後、京都精華学園の司令塔であり、キャプテンでもある林は「試合の出だしもそうですが、後半、ディフェス、ルーズボール、リバウンドを徹底しないといけないのに足が追いついていませんでした。最後に(勝って)良い形で追われたことはよかったけれど、これからも練習からそういったことをしっかりとやっていきたいです。(終盤は)受け身になっていたところもあったので、そこもこれからの課題です」と、試合を振り返った。

 林は、決勝では相手ディフェンスの状況を見ながらドライブを仕掛けたり、3ポイントシュートを放ったりとうまさを見せて19点を奪取。また、「キャプテンの私が焦ったらみんなに迷惑をかけてしまうと思ったので、冷静になって、コート内で励まして、声を出してやっていこうと思っていました」と、劣勢の場面にも慌てることなく、仲間を落ち着かせるようなゲームメークで引っ張った。

 堀内桜花、八木悠香、ディマロ ジェシカ(いずれも3年)を擁してインターハイ、U18日清食品トップリーグ、ウインターカップを制した昨年は、ガードの堀内をはじめアウトサイド陣のバックアップとして出場していた林。だが、バックアップといえど、インターハイでは延長までもつれた岐阜女子高校(岐阜県)との2回戦で堀内、八木、ジェシカに次ぐ28分の出場。大事な局面での働きも大きく、8得点8リバウンドを記録した。ほかにも勝利に貢献し、林の存在が光った試合は多い。そして今年は堀内の後を継いでキャプテンに。もともと、京都精華学園中学時代もキャプテンを務めており、「みんなをまとめるは割と得意な方ですね」と目を輝かせる。

 夏も冬も連覇が懸かる今年だが、林に気負いはない。

「昨年や一昨年とは違うチームなので、そこは(橋本や桃井らを含め)自分たちが引っ張っていかないといけないと思いますし、自分たちのチームの形を作っていきたいです。昨年3冠したからといって、プレッシャーに感じずにチャレンジャーとしての気持ちを持って。チーム全員で一から日本一という目標に向かっていきたいと思います」

 京都精華学園の新リーダーは、「どんどんチャレンジしていくことが大事」と、新たな戦いに向けて意欲を見せていた。

林は「どんどんチャレンジしていくことが大事」というものの気負いはないようだ [写真]=田島早苗


文・写真=田島早苗

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