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2月4日、深谷ビッグタートルで行われた「令和5年度 第34回関東高等学校バスケットボール新人大会」の女子決勝は、最後までもつれる熱戦の末に昭和学院高校(千葉県)が制した。最終スコア55−53。6点ビハインドで迎えた第4クォーターで日本航空高校(山梨県)を逆転し、2014年以来(2020年、21年は新型コロナウイルスの影響で中止)の優勝を飾った。
この試合でゲームハイとなる17得点と4つのオフェンスリバウンドをマークしたのは、昭和学院の山下笑伶奈(2年)。180センチの背番号8は、ディフェンスでは自分よりも12センチ高い留学生をマークし、攻撃では試合終盤に点差を5点に広げるバスケットカウントを決めて勝利を手繰り寄せた。
「自分の一番の仕事は、ポストプレーとディフェンスで留学生を抑えることです。その中で周りの選手に声をかけることや、リバウンド、ルーズボールの泥臭いプレーでも貢献できるようにプレーしてます」
そう自身の役割を語る山下に対し、キャプテンの月松蒼(2年)は「3ポイントを外してもリバウンドを取ってくれますし、自分がドライブで切り込んだときはしっかり合わせてくれます。決めてほしいときに得点も決めてくれるので、すごく信頼してます」と太鼓判を押す。
山下の強みはそれだけではない。まだ波があり確率が高いとは言えないが、アウトサイドから3ポイントシュートを打つこともできる。準決勝の八雲学園高校(東京都)戦では、3本中2本の3ポイントを沈めた。
本格的に3ポイントを打つようになったのは1年生の頃からで、2022年の8月末に開幕した「U18日清食品トップリーグ」での経験がきっかけだったと山下は言う。
「日清トップリーグに出させてもらったときに初めて留学生と対戦することができたんですけど、外でボールを受けてもマークを離されることが多かったです。それから(鈴木親光)先生から3ポイントをどんどん打つようにというアドバイスをもらって、練習でもたくさん打つようになりました」
2年生になった昨年の7月には、U16日本代表の一員として「FIBAU16女子アジア選手権大会2023」にも出場した。日本は決勝戦でオーストラリアに敗れ、惜しくも準優勝。アジアでの5試合を経験した山下は「海外の選手はやっぱり体の当たり、強さが違うなと思いました」と振り返る。
同世代のチーメートからも刺激を受け、その中でも浜松開誠館高校(静岡県)の後藤音羽(2年)は自分が目指す選手像と重なった。「同じ2年生で身長も同じくらいなんですけど、後藤選手は3ポイントすごく入るしドライブも速い。まだまだ敵わないですけど、いつか追いつけたらいいなって思います」。
「昭和学院は全国でも上位に入るチームだったので、 憧れて入りました」。千葉県の中学校から地元の名門に進んだ山下だが、入学以降のチームは2年連続で全国大会に出場できていない。
「正直、入ったら全国に出られるのが当たり前だと思っていたんです。そんなに甘い世界じゃないって気づかされましたし、本当に負けてばっかりで悔しかったです。でも、自分がチームの足を引っ張っても先輩たちは常に声をかけてくれて、そのおかげで思いきってプレーすることができました」
今年は最上級生となり、昭和学院でプレーできる時間は1年を切った。関東新人では苦しみながらも優勝を成し遂げ、「うれしいですし、少しは成長できたと思います」と山下は白い歯を見せた。
だが、本当の勝負はこれからだ。チームが掲げるのは「全国ベスト4」。そのために山下は、「個人的には毎試合“ダブルダブル”を目標にしていて、リバウンドは15本、得点は25点が目標です」と口にする。
2年間溜め込んだ悔しさと国際舞台での経験を糧に、昭和学院の大黒柱はこれからも突き進む。