2024.06.05

福大大濠と福岡第一…地元インハイで大きな期待を背負う“福岡2強”の現在地

3年ぶりにIH福岡県予選を制した福大大濠 [写真]=佐々木啓次
フリーライター

「令和6年度全国高等学校総合体育大会(インターハイ)バスケットボール競技大会福岡県予選」の男子の部は、福岡大学附属大濠高校が3年ぶりの優勝を果たし、福岡第一高校が準優勝という結果で幕を閉じた。両校は今後、6月15日から行われる全九州大会を経て、地元・福岡で開催されるインターハイに挑む。

■福岡第一は優勝を逃すも「少しずつ強くなっている」

 6月2日の決勝リーグ最終戦は、71-61で福大大濠に軍配が上がった。惜しくも敗れた福岡第一。しかし、井手口孝コーチは悔しさをにじませつつも、ある程度手応えを感じている様子でこう話した。

「以前は100点ゲームで負けていましたけど、少しずつ試合になりつつあります。大濠さんに付いていければ全国でも勝てる可能性はあると思いますので、もう1回、九州大会で頑張ってみます」

 新チームが始動して以降、地区予選やカップ戦などでも対戦しているが、未だ福大大濠には勝てていない。4月の「飯塚カップ2024」では68-100で敗れ、この大会に出場した開志国際高校(新潟県)、東山高校(京都府)といった全国のライバルたちにも黒星を喫した。それでも、5月に行われた県内の中部ブロック予選決勝では福大大濠に63-64と肉薄。今回の県予選でも競り合いに持ち込んだ。

「少しずつ強くはなってきていますが、まだまだ練習量が足りません」と井手口コーチが言えば、キャプテンの八田滉仁もそれに同調するように課題を挙げた。「チームディフェンスは最初の頃に比べたら良くなっていますけど、もっと運動量を増やしていかないといけないです」。

福岡第一の八田は「もっと運動量を増やしていかないと」と課題を口にした [写真]=佐々木啓次


 また、指揮官は「誰をスタートにするか」というチーム構成に頭を悩ませていると明かす。福岡第一を象徴する2ガードは、現時点で双子の宮本聡・耀が先発を担っているが、「最初はこの2人でした」(井手口コーチ)という八田と崎濱秀寿がケガから復帰。「今は留学生も下級生を使っていますので、九州大会を経て、 夏までに見極めていきたいです」と、チーム内の競争も激しくなりそうだ。

■福大大濠は夏の日本一へ「伸び悩み中」

福大大濠のキャプテンを務める湧川 [写真]=佐々木啓次


 福大大濠は10点差で福岡県1位の座を掴み、2021年以来となるインターハイ出場を決めた。周りから見れば、「福岡第一との差が詰まってきた――」という捉え方もあるかもしれない。しかし、片峯聡太コーチは「やっぱり第一と大濠の試合は紙一重です」と優勝できたことに安堵し、相手のインサイド陣をファウルトラブルに追い込んだことが勝因だと振り返った。

「今日の試合はそこに尽きると思います。お互いのシュートの確率はあまり変わらなかったですし、その中でもリバウンドをしっかり確保できていました。そこの部分で上回ったことがこの点差につながったと思っています」

 チームは主将を務める湧川裕斗とセンターの渡邉伶音を筆頭に、昨年のウインターカップ準優勝を経験したスタメン4人が今年も健在。「去年の経験値がありますし、チームとしての安定感はあると思っています」と片峯コーチは口にするが、「正直、ちょっと伸び悩み中です」と不安を漏らす。

 指揮官が求めるのは、苦しい場面でチームをまとめ上げる「求心力のある選手」だ。「湧川は非常にクリエイティブなプレーができますし、伶音も中と外でしっかりプレーできます。でも、求心力のある選手がまだ出てきていなくて、私としてもそういった選手に成長させることができていないです」。

 インサイドの柱を担う渡邊は、2024年に入ってからはBリーグと日本代表の活動によりチームを離れることが多かった。片峯コーチの要求に対しては、「この数カ月ですごくいろんな経験をさせてもらいました。これからは大濠での活動が増えるので、その経験をみんなに発信して、チームにいい影響を与えられる選手を目指していきたいです」と意欲を示す。

福大大濠の主力は昨年のウインターカップ決勝も経験 [写真]=佐々木啓次


 地元で迎える夏の大舞台、両チームは例年以上に大きな期待を背負うだろう。再び全国の決勝戦で対戦するために、福岡が誇る2強はピッチを上げてインターハイ制覇へ照準を合わせる。

文=小沼克年

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