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福岡県で開催された「令和6年度全国高等学校総合体育大会バスケットボール競技大会(インターハイ)」。8月5日の女子2回戦、東北チャンピオンの聖和学園高校(宮城県)と近畿ベスト4の大阪薫英女学院高校(大阪府)の一戦は注目カードになった。
175センチの阿部友愛と178センチの内田理香(ともに2年)の2人を中心に内外でバランス良く攻める聖和学園の前に、大阪薫英女学院が追いかける形となり、そのまま第1クォーターを11-22と11点のビハインド。続く第2クォーターも聖和学園にペースを握られてしまったが、大阪薫英女学院は終盤にシュートをねじ込み、30-38と辛うじてビハインドを1ケタにして前半を終えた。
しかし、後半も阿部の“3点プレー”などで聖和学園の優位は変わらず。それでも177センチの三輪美良々(2年)のリバウンドから攻撃のきっかけを作るなどして大阪薫英女学院も10点前後の差をついていった。すると、6点ビハインドで迎えた第4クォーターに途中出場の小俣亜矢(3年)が出だしに3ポイントシュートやドライブで奮起。小俣の活躍で一気に2点差にまで詰めた。だが、ここでも聖和学園の阿部が立ち塞がり、主導権を奪えず。勢いに乗る小俣が積極的なドライブから得点を試みた大阪薫英女学院だったが、聖和学園に追いつくまでには至らず、72-79で敗れた。
「相手は3年生中心のチーム。自分はスタートではなく途中から交代で試合に出るのですが、そこはプライドを持って、自分がしっかりと(シュートを)打ちきろうと思って強い気持ちでやりました」
こう試合を振り返った大阪薫英女学院の小俣は16得点5リバウンド3スティールをマーク。敗れはしたものの、力強い攻めで追い上げに一役買った。だが、「いや、まだまだシュートを決めきれていないし、最後も自分がゲームを終わらせてさせてしまった弱いプレーがありました。そこが今までも課題だったので、これからもその課題をU18日清食品トップリーグなどで改善して、もっとチームに貢献できるようにしていきたいと思います」と、語る。
確かに、第4クォーター終盤、自らのシュートを選択せず、パスを出すために味方を探したシーンがあった。それを本人は弱いプレーと表現したのだろう。指導に当たる安藤香織コーチもそこは最後まで攻め続けることを求める。
ただ一方で、「どこかで一発決めたら乗る選手。声も出すし、『3年生として』という思いや雰囲気もある」と、指揮官の期待値も高い。パワフルかつ伸びやかなドライブに小気味よく放つ3ポイントシュートと爆発的な攻撃力があり、瞬発力を活かしたスティールなども持ち合わせる。だからこそ、「能力が高いので、そこに駆け引きする力が備われば」と、安藤コーチは言う。
試合などでは時に安藤コーチからの厳しい檄もあるが、そこは「言ってもらうことは当たり前じゃないし、期待や変わってほしいというのがあって先生も言っていると思っています。そこへの感謝もあるし、自分自身が変わって、チームに貢献したいという気持ちは強いです」と、小俣自身も安藤コーチの思いはしっかりと受け止めている。
最終学年で迎えたインターハイは2回戦で敗れた。今後は秋に「U18日清食品トップリーグ2024」が控える。
「強いプレーをし続けないといけないなかで、自分は弱い部分が出てしまうので、強いプレーを常にやり続けることが目標です」
大阪薫英女学院の命運を握る3年生。彼女が一回りも二回りも大きく成長を遂げた時、チームは冬の頂点に一歩近づくだろう。
文=田島早苗