2018.09.12

2014年アジア競技大会3決以来の対戦。アウェーで激突するカザフスタンとは?

先日のアジア競技大会の予選リーグ、中国戦では粘り強い戦いを見せたカザフスタン[写真]=小永吉陽子
スポーツライター。『月刊バスケットボール』『HOOP』編集部を経て、2002年よりフリーランスの記者に。国内だけでなく、取材フィールドは海外もカバー。日本代表・Bリーグ・Wリーグ・大学生・高校生・中学生などジャンルを問わずバスケットボールの現場を駆け回る。

フィジカルとリバウンドは強いがターンオーバーが多い

 FIBAアジアの中で中央アジアに分類されるカザフスタンは、日本とは対戦が少なく、情報が少ない国だ。旧ソビエト連邦が崩壊した後の1991年にカザフスタン共和国として独立。FIBAに加盟したのは1992年という新しい国でもある。世界で9位という広い国土を持ち、隣接するロシア系の大型の選手、モンゴル系の体格のいい選手が揃い、フィジカルの強さを生かしたバスケットボールをする。またリバウンドに強いのも特長。ワールドカップ アジア1次予選ではリバウンドが全体4位、1試合平均43.5本(日本は12位で1試合平均36.0本)をマークしている。

 2000年代における日本との対戦成績は五分で、接戦が多い。近年で印象に残っているのは2014年アジア競技大会の3位決定戦。日本が76-72で接戦を制した試合だ。竹内公輔栃木ブレックス)と竹内譲次アルバルク東京)らインサイド陣がリバウンドで粘り、辻直人川崎ブレイブサンダース)と金丸晃輔シーホース三河)が効果的な3ポイントを決め、比江島慎(ブリスベン・ブレッツ)がゲームメイクと得点の両面で司令塔としての片鱗をのぞかせたこの試合は、近年のベストゲームの一つにあげられる。日本がアジア選手権(現アジアカップ)とアジア競技大会を通じて、久々にメダルを獲得したゲームでもあった。

 この試合に象徴されるように、カザフスタンはサイズと強いフィジカルを持ちながらも、ビッグゲームを勝ち切る試合を経験したことがない。

 唯一、カザフスタンの大金星といえば、2007年のアジア選手権の予選ラウンドで韓国から勝利をあげたことだ。当時のヘッドコーチは「今日はカザフスタンの歴史が動いた日」と感極まっていた。韓国との再戦となった3位決定戦では対策を練られて初のメダルを逃すも、高さを誇る素材の良さと、205㎝のアントン・ポノマレフという逸材が台頭したことで、「いつの日かアジアを脅かす存在になるかもしれない」と恐怖を抱かせたものだ。

 しかし、その恐怖はいまだやってこない。数年前には帰化選手であるガードのジェリー・ジョンソンを擁し、上位に対抗した試合もあった。しかし、それでも善戦はするが勝ち切れない。その要因の一つがスタミナのなさとターンオーバーの多さだ。1次予選でもターンオーバーの数は1試合平均19.2で1位(日本は12.2で12位)。ミスから集中を切らせ、終盤に失速するケースがあまりにも多い。また、準備をして臨む大会とそうではない大会の差が激しく、強化体制が整っていないことも一因。そのせいなのか、毎回、BCアスタナというカザフスタンの名門チームを主体に代表チームを形成しているのだが、国としての強化策が見えてこないのだ。

 ただ毎回、フィジカルの強さで対抗するあまり、対戦相手は警戒を続けている。ワールドカップ1次予選は3勝3敗。カタールに2勝、イラクに1勝1敗、イランに2敗という成績だ。

カザフスタンの司令塔、ルスタム・ムルザガリエフ[写真]=小永吉陽子

2メートル級の主力2選手を欠く新体制。アジア競技大会が準備となったのか?

 9月1日に終了したアジア競技大会ではフィリピンと中国と同組になり、2敗を喫して予選ラウンドで敗退している。フィリピンには大敗したが、中国戦では立て直しを図り、リバウンドに2人、3人と跳び、ドライブで対抗して粘りを見せたのだ。大会を通じてもリバウンドはフィリピンとイランに次いで3位(平均45本)、オフェンスリバウンドでも3位(16.5本)につけ、持ち味は出せている。ただやはり、いつものように終盤に失速している。

 そんな中でマークすべきはアウトサイドの得点源であるルスタム・エルガリ(192センチ/SG/31歳)。堅実な司令塔のルスタム・ムルザガリエフ(193センチ/PG/26歳)、主力へと台頭してきたニコライ・バズキン(195㎝/SF/27歳)、アレクサンダー・ジグリン(202センチ/C/24歳)だ。特にルスタム・エルガリは国際大会の経験が豊富なチームリーダーとして、カザフスタンを長く率いている。

 本来ならばこのメンバーに、カザフスタンの顔だったアントン・ポノマレフ(205センチ)とアナトリー・コレスニコフ(201センチ)といった29歳コンビの得点とリバウンドがチームを支えていたのだが、ポノマレフは今夏に突然の現役引退を表明。コレスニコフはアジア競技大会に参戦していなかった。Window4でのカザフスタンは、2メートル台の主力2名を欠き、フロントコートの攻防で新たなチーム作りをスタートしているところだ。その準備となったのがWindow4とほぼ同メンバーで挑むアジア競技大会だろう。

 アジア競技大会でカザフスタンを分析した佐古アシスタントコーチは「オフェンスリバウンドに何人も跳んでくることと、ドライブのパワーが強いので、ここで押し込まれないようにしないといけない。とにかくパワーでは相手のほうが上なので、ガードのディフェンスラインを高い位置に上げてプレッシャーをかけて、パスをインサイドに簡単に飛ばされないようにしたい」と警戒心を強めているが、ここは確実に勝たなければいけない相手だ。カザフスタンとのアウェー戦は9月13日、日本時間の23時にティップオフを迎える。

アウトサイドの得点源の1人、ルスタム・エルガリ[写真]=小永吉陽子

【2000年代の対戦成績】
2014年アジア競技大会
〇日本76-72カザフスタン●

2009年アジア選手権
●日本 73-77 カザフスタン〇

2007年アジア選手権
●日本85-93カザフスタン〇

2005年アジア選手権
〇日本 67-66 カザフスタン●

※アジア選手権=2017年からはアジアカップに名称変更

文・写真=小永吉陽子