2023.07.23

【バスケ日韓戦レポート】アウェーの洗礼を受けたとホーバスHC…「フィジカルバトルとリバウンドで負けた試合」

2018年以来の日韓戦はワールドカップのトライアウトの場だったが [写真]=Korea Basketball Association
スポーツライター

両チームともトライアウトを兼ねた重要な試合

 敵地ソウルで開催された「バスケットボール男子日本代表国際強化試合2023 in 韓国」。7月23日、ソウルのチャムシル学生体育館で初戦が開催。ワールドカップ前に行うアウェー試合は韓国との2連戦だけとあり、トム・ホーバスヘッドコーチは「アウェーの中でどれだけタフに戦えるか、また選手のトライアウトを兼ねている」というテーマの中で試合が行われた。

 対する韓国は9月末に開催するアジア競技大会に向けてのセレクションを兼ねており、代表合宿に合流したばかりのベテラン選手と帰化選手、海外で活動する選手はエントリーから外し「代表経験が少ない選手や若手も起用しながら戦い、チームに競争をもたらす」(チュ・イルスンHC)という方針のもとで戦っていた。

韓国は9月末に開催するアジア競技大会に向けて強化中 [写真]=Korea Basketball Association


 日韓戦は2018年に日本(大田区、仙台市)で開催して以来、5年ぶりとなる。近年はワールドカップ予選でも、アジアカップでも対戦がなく、多くの選手が「韓国のフィジカルの強さを思い出した」「出足に受け身になってパンチを食らった」と感想を述べ、ホーバスHCも「何人かの選手はウェイクアップコールになった試合」と言うほど、リバウンドでも25-42本と劣勢になり、日本のやりたいことをさせてもらえない試合となった。

果敢にリングを目指した比江島 [写真]=Korea Basketball Association


 最終スコアは69-76。前半は吉井裕鷹西田優大の果敢なペイントアタック、終盤は比江島慎富永啓生の3ポイントで詰め寄るシーンもあり、終始主導権を握られたわりには一桁差ですんだといえる点差ではある。しかし内容でいえば、韓国のポイントガードホ・フンのフィニッシュスキルの多彩さ、チョン・ソンヒョンの勝負強い3ポイント、センター、ハ・ユンギの勢いのあるダンクやブロックショットなど、相手に流れを持っていかれる場面が多かった。また韓国はサイズと機動力があるウイング陣が多いだけに、スイッチをしてもフォワードがガードを守れる脚力を持っていることや、ミスマッチを突かれてインサイド勝負に持ち込まれるなど、今後ワールドカップを戦ううえで対応しなければならない点が浮き彫りになった試合だった。

韓国PGホ・フンの多彩な攻めに手を焼くことに [写真]=Korea Basketball Association


インサイドで脅威となったハ・ユンギ [写真]=Korea Basketball Association


 なお、1戦目でエントリー外となったジョシュ・ホーキンソンに関しては「股関節を痛めているため、慎重に様子を見ていきます」とホーバスHCは試合後に発言しており、2戦目の出場は未定となっている。2戦目は7月23日、1戦目と同じチャムシル学生体育館で14時にトスアップする。

試合後のコメント

トム・ホーバスHC

「修正して第2戦に臨みたい」とホーバスHC [写真]=Korea Basketball Association


 予想していたよりフィジカルでタフな試合でした。試合の入りのところでフィジカルのバトルに負けてしまい、リバウンドでやられてしまった。後半に取り戻すことができたけれど、試合の終盤で作戦を遂行できなかったのが問題でした。韓国はフィジカルにやってきて、しっかりとスカウティングをしてきて、自分たちの強みをつぶしに来ました。

 ホーキンソンが股関節を痛めて出られないので、今はアンダーサイズのバスケを試しているので、明日もリバウンドのところではタフなゲームになると思います。今日のような入りじゃなくて、エナジーを持って入ること。ディフェンスとリバウンドをもう少し修正したい。

西田優大

第1戦はSGでのプレーとなった西田 [写真]=Korea Basketball Association


 アウェーということもあって、受けてしまったというか、ちょっと出足でパンチを食らったのはありました。韓国はフィジカルが強くて、シュートがうまい選手がいるのはわかっていたのですが、やられすぎてしまいました。

 僕自身のことで言えば、合宿ではずっと1番(PG)として練習してきたので「今日は2番(SG)のスタートで行くよ」と言われてビックリした部分はありましたが、逆にいつもの2番仕様のメンタルでやれたかなと思います。今日は2番として出た時にスリーが最初の1本しか来なかったけど、1番として出た時はペイントアタックを増やすことができたので、バランスを考えながらやれました。今後も2番でも、1番でもやれるように準備していきたい。同じアジア勢にこれだけリバウンドをやられてはキツイので、明日は修正します。

馬場雄大

馬場は「学ぶことも多かった試合」とコメント(写真は浜松大会から) [写真]=伊藤大允


 韓国が激しくディフェンスをしてくるのはわかっていたけれど、自分たちのやりたいことをやらせてもらえなかった。韓国のような、サイズはないけれどインテンシティの高いアジアのチームと対戦するのは久々で、韓国と対戦するのも5年ぶり。改めて韓国のインテンシティの高さを思い出したというか、戦う準備ができていなかったことにとても反省しています。

 これからはもっと強いチームと戦っていくのだし、今までのような気持ちの持ち方ではダメで、もっとゲームの初めから心を決めて入るような試合をしないといけない。学べることがとても多い試合で、自分たちを見つめ直すいい経験になりました。

■チュ・イルスンHC

チュHCは「次第にペースをつかめた」と振り返った [写真]=Korea Basketball Association


 我々にとっては久しぶりの国際Aマッチだったので(2021年7月のアジアカップ以来の国際試合。ワールドカップ予選はコロナの影響でWindow1と2を辞退したことで失格となっている)試合内容はあまりよくなかったが、試合を優位に進められたのはリバウンドが取れたから。そしてチョン・ソンヒョンが大事なところで決めてくれたのが大きい。

 日本はスペーシングを活用するのが上手い。ビッグマンたちもアウトサイドからの攻めのオプションがある。これは良い戦略だと思う。我々はその点に気を付けて入ったが、とにかく久しぶりの国際試合だったので、序盤に日本にたくさんシュートを与えてしまった。そんな中でも、インサイドを固めて守ったことで、次第にペースをつかんでいく試合ができた。

■チョン・ソンヒョン

「シュートチャンスを作ってくれた仲間に感謝したい」とチョ [写真]=Korea Basketball Association


 自分は直前まで負傷していて体を作る時間が不足していたので、この試合でのパフォーマンスを心配していたが、ファンの方がたくさん応援してくれたので力が出ました。シュートチャンスを作ってくれた仲間に感謝したい。選手同士はまだ呼吸が合わない時が多いので、センターとガードとコミュニケーションを図ってシュートチャンスを作っていきたい。

(同じシューターの富永啓生のことを聞かれ)とても上手な選手だと思う。まだ若く成長する可能性がある。ビデオミーティングの時も彼のことはよく見ていて、同じシューターとしても負けたくなかった。

取材・文=小永吉陽子

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