2023.07.21

「現役NBA選手」から「19歳の新鋭」まで…ワールドカップでの躍進を目指す日本代表候補18名を徹底紹介!

ワールドカップ日本代表候補18名[写真]=伊藤大允,fiba.com
スポーツライター

 8月25日開幕のFIBAワールドカップ2023に向けて、トレーニングキャンプや強化試合を重ねている男子日本代表。チームを率いるトム・ホーバスヘッドコーチは、本大会に向けてどのようなメンバーを選んでいるのか。直近の強化合宿に招集された17名の選手に、チーム合流を明言されている1名の選手を加えた18名の日本代表候補について徹底紹介する。

文=永塚和志

※プロフィール情報は7月21日時点

比江島慎

生年月日:1990年8月11日(32歳)
ポジション/身長・体重:SG/191センチ・88キロ
所属:宇都宮ブレックス

 2019年のワールドカップ、2021年の東京オリンピックを経験し、現在は代表候補で最年長となった。「比江島ステップ」と呼ばれる独特のステップを使ってリングをアタックできる、ほかの者には真似のできない能力を持つ。チャイニーズ・タイペイとの強化試合でも1対1からバスケットカウントとなるレイアップを決める場面があった。ワールドカップ・アジア地区予選での数字は良くなかったものの、3ポイントやフリースローの精度も高く、以前よりも総合力は高まっている。

永吉佑也

生年月日:1991年7月14日(32歳)
ポジション/身長・体重:PF/198センチ・115キロ
所属:サンロッカーズ渋谷

 世界レベルではパワーフォワードとしてアンダーサイズながらそれを補う献身性とバスケットボールIQに長けるベテランで、その技量は大きな相手とのマッチアップのなかでもリバウンドを争うことや抜群のタイミングでスクリーンに入れることなどで示されている。ホーバスHCからも評価が高く、ワールドカップ・アジア地区予選では5試合に出場。体調不良でチャイニーズ・タイペイとの強化試合には欠場したが、その後、代表合宿に再合流している。

須田侑太郎

生年月日:1992年1月3日(31歳)
ポジション/身長・体重:PF/190センチ・87キロ
所属:名古屋ダイヤモンドドルフィンズ

 3ポイントシュートが売りのベテランシューター。ホーバスHCからの代表招集直後は自身のなかで役割が明確でなかったものの、同指揮官から長距離シュートがそれだと明言されてからは迷いなく打つことができている。2022年のアジアカップ・カザフスタン戦では15分の出場ながら3ポイントを9本ヒットし33得点と大爆発した。Bリーグでも、2022-23シーズンの3ポイント試投数は1試合平均6.3本と前年から倍増させた。しつこいディフェンダーとしてもホーバスHCの信頼は篤い。

富樫勇樹

生年月日:1993年7月30日(29歳)
ポジション/身長・体重:PG/167センチ・65キロ
所属:千葉ジェッツ

 2019年のワールドカップはケガで欠場。2021年の東京五輪はバックアップだったが、ホーバスHC体制下では先発ポイントガードとしてハイペースなオフェンスをけん引し、一方でコート上で頻繁に仲間を集めて指示を出すなど、キャプテンとしてリーダーシップも発揮。プルアップ3ポイントやドライブからのフローターなどで勝負強さも発揮する。昨シーズンは所属の千葉ジェッツをBリーグ史上最高勝率(8割8分3厘)に導き、自身は7年連続のベストファイブに選出された。

原修太

生年月日:1993年12月17日(29歳)
ポジション/身長・体重:SF/187センチ・96キロ
所属:千葉ジェッツ

 ホーバスHCの就任直後初の代表候補合宿に招集されながら、以降は縁に恵まれなかったが、2022-23シーズンにBリーグでベストファイブやベストディフェンダーに選出されるほどの成長を見せ、今夏、再び代表候補となった。最大の武器はフィジカルを生かしたディフェンスで、アウトサイドから時にビッグマンも守れる力量がある。オフェンスでもドライブと3ポイントが強み。7月上旬のチャイニーズ・タイペイとの強化試合の初戦では6本の3ポイントを決めた。

渡邊雄太

生年月日:1994年10月13日(28歳)
ポジション/身長・体重:SF/206センチ・97キロ
所属:フェニックス・サンズ

 2019年のワールドカップ、2021年の東京五輪に出場し、それぞれで共同キャプテンを担っている。日本代表への思いは強く、昨夏のアジアカップにも参戦した。今回のワールドカップへの出場も早くから宣言。7月28日からの合流予定となっている彼が、攻守で中心となるのは間違いない。パリオリンピックへチームを導くことができなければ代表のユニフォームを脱ぐ不退転の覚悟を示している。今夏には2年契約でNBAフェニックス・サンズ移籍が決まった。

ジョシュ・ホーキンソン

生年月日:1995年6月23日(28歳)
ポジション/身長・体重:C・PF/208センチ・106キロ
所属:サンロッカーズ渋谷

 今年2月に帰化申請が認可され同月のワールドカップ・アジア地区予選最終Windowで日本代表デビューを果たし、2試合平均でダブル・ダブルをマークするなど活躍した。ビッグマンながら3ポイントもうまく、またカットインする味方を見つけてパスができる判断力にも優れる。八村塁の辞退でより自身がインサイドでの存在感を上げる必要があると話しているが、チャイニーズ・タイペイとの強化試合の初戦では3ブロックを記録し、リムプロテクターとしての力量も見せた。

馬場雄大

生年月日:1995年11月7日(27歳)
ポジション/身長・体重:SG/195センチ・90キロ
所属:フリー

 日本を代表する万能アウトサイドプレーヤーで、ドライブでは相手のブロックが来てもリバースでレイアップを決められるなどフィニッシュ力も高い。身体能力の高さとディフェンス力も折り紙付きで、スティールからのダンクで会場のボルテージは一気に上がる。NBA入りを目指してNBA Gリーグやオーストラリアリーグで研鑽を積んできた。2022-23シーズン後はホーバスHCとの個人ワークアウトなどにも取り組み、3度目の世界大会へ準備を進めている。

吉井裕鷹

生年月日:1998年6月4日(25歳)
ポジション/身長・体重:SF/196センチ・94キロ
所属:アルバルク東京

 所属のアルバルク東京ではベンチに座っている時間が長かったが、ホーバスHCにその能力を見出され昨夏、代表招集。以来、欠かせないピースとして活躍してきた。登録はスモールフォワードながらパワーフォワードも守ることのできる当たりの強さが売り。オフェンスでも相手に体をぶつけながらリングに向かっていくスタイルは、ほかにはいない。チャイニーズ・タイペイとの強化試合では2試合とも2ケタ得点を挙げ、かつドライブからのアシストパスを決めるなど目立った働きをした。

川真田紘也

生年月日:1998年6月16日(25歳)
ポジション/身長・体重:C/204センチ・110キロ
所属:滋賀レイクス

 ディベロップメント枠として毎回代表合宿には招集されながら、なかなか正式デビューは果たせなかったものの、今年2月のワールドカップ・アジア地区予選最終Windowで晴れて試合に出場した。チャイニーズ・タイペイとの強化試合では2試合とも出場し、2試合目にはテーブス海からのアリーウープパスでレイアップを決めるなどで5得点。ホーバスHCからは「プロフェッショナルになってきた」と評価され、八村の辞退でワールドカップ出場のチャンスは広がっている。

テーブス海

生年月日:1998年9月17日(24歳)
ポジション/身長・体重:PG/188センチ・85キロ
所属:アルバルク東京

 大型ポイントガードとしてボールプッシュからリングへ向かってドライブするフィジカルさが武器で、そこからのキックアウトパスも得意。ディフェンスでも体の強さを生かした守りができ、日本代表では富樫、河村勇輝という小柄な司令塔2人を補う存在としての役割を担う。昨シーズンは故障欠場の期間もあったが、平均出場時間を大幅に増やした滋賀レイクスでキャリア最高の得点(平均12.4)、アシスト(同6.9)をマークした。今夏はA東京への移籍を決めた。

渡邉飛勇

生年月日:1998年12月23日(24歳)
ポジション/身長・体重:C/207センチ・106キロ
所属:琉球ゴールデンキングス

 メンバーに選出された東京オリンピック後、右肘の故障で手術とリハビリの苦しい日々を送ってきた男は今年2月に所属チームで実践復帰を果たし、同月のワールドカップ・アジア地区予選でも2試合に出場。リハビリのなかで肉体改造を施し、向上した跳躍力を生かして同予選の初戦・対イランでは4つのオフェンスリバウンドを記録。ブランクを払拭しつつ、チームに勢いをつけた。チャイニーズ・タイペイとの強化試合は体調不良により欠場した。

西田優大

生年月日:1999年3月13日(24歳)
ポジション/身長・体重:SG/190センチ・90キロ
所属:シーホース三河

 ホーバスHC体制下では最多の出場試合数を誇り、まだチームのスタイルが浸透していなかったワールドカップ・アジア地区予選の序盤ではエース的活躍を見せた。攻守で体の強さを生かしたプレーが得意で、ディフェンスではポイントガードからスモールフォワードまで守ることができる。今夏の代表候補合宿ではポイントガードとしての起用もあり、同HCからは高評価を得ている。代表での3ポイントの確率は高くないものの、成長を見せ昨シーズンのBリーグでは38.9パーセントと数字を改善してきた。

井上宗一郎

生年月日:1999年5月7日(24歳)
ポジション/身長・体重:PF/201センチ・105キロ
所属:越谷アルファーズ

 昨シーズンまで所属したサンロッカーズ渋谷では外国籍選手がいるためにベンチにいることが多かったが、類まれな3ポイントの能力を見出され2022年夏、A代表初選出。ワールドカップ・アジア地区予選では8試合に出場し、3ポイント成功率38.2パーセントをマーク。2022年7月のアジアカップでは3ポイント成功率50パーセントと活躍した。しかし浜松でのチャイニーズ・タイペイとの強化試合では冴えがなく、最終戦では出場時間わずか3分半となってしまった。ワールドカップ出場に向けて瀬戸際に立つ。

富永啓生

生年月日:2001年2月1日(22歳)
ポジション/身長・体重:SG/188センチ・80キロ
所属:ネブラスカ大学

 ネブラスカ大学2年目の昨シーズンは、2月に5試合連続で20得点以上の試合を記録するなど大きく成長。NBAドラフトへエントリーするも5月末に撤回し、来シーズンも同大でプレーすることに。昨夏A代表デビューし、7月のアジアカップのオーストラリア戦ではディープスリーなどを含め33得点を挙げる衝撃的なプレーぶりを見せた。今月上旬のチャイニーズ・タイペイとの強化試合では4年ぶりに日本でのプレーとなり、2試合で3ポイントを11本中6本沈め、会場を沸かせた。

河村勇輝

生年月日:2001年5月2日(22歳)
ポジション/身長・体重:PG/172センチ・68キロ
所属:横浜ビー・コルセアーズ

 2024年パリ五輪への出場を目指して、2022年春に東海大を中退し正式にプロ転向。同年夏の代表招集からホーバスHCの指導もあって、元来から持っていたアシスト能力に加えて得点への意識も向上。スコアラーとしての才能も開花させた。粘り腰を使って相手からターンオーバーを誘引するディフェンスも持ち味だ。昨シーズンは所属チームをBリーグ初のポストシーズンへけん引した。シーズン終盤の右脚の故障で本格的な合宿参加が遅れているのが気がかりだ。

金近廉

生年月日:2003年3月11日(20歳)
ポジション/身長・体重:SF/196センチ・84キロ
所属:千葉ジェッツ

 今年2月、将来を見据えた若手向けのディベロップメントキャンプを経てそのままA代表に招集された。同月のワールドカップ・アジア地区予選最終Windowのイラン戦ではいきなり3ポイントを6本沈めて20得点という衝撃デビューを飾っている。浜松でのチャイニーズ・タイペイとの2戦では、3ポイントは入らなかったもののリバウンドやディフェンスで貢献した。今年春に東海大学を中退する決断を下し千葉ジェッツ入り。2023-24シーズンからプロデビューを果たす。

ジェイコブス晶

生年月日:2004年4月13日(19歳)
ポジション/身長・体重:SG/203センチ・91キロ
所属:NBAグローバルアカデミー

 日本の将来を担うユース世代のトップ選手が、早くもA代表候補として招集された。2メートルを超える長身ながらシュートを含めたアウトサイドの技術に長け、6月末から7月初頭にかけて行われたU19ワールドカップでは41.5パーセントの3ポイント成功率を残し得点(平均17.0)とリバウンド(同5.6)でチームトップの数字を挙げ、史上初となる日本のベスト8進出に貢献した。横浜ビー・コルセアーズにも所属し、昨年、NBAグローバルアカデミーに入学。今秋からは全米大学体育協会(NCAA)ディビジョン1・ハワイ大学へ進学する。

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