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11月6日、昨シーズン10位の山梨クィーンビーズが昨シーズン準優勝の富士通レッドウェーブを破り、金星を挙げた。
第3クォーター出だしに18点のビハインドを負った山梨QBだったが、その後は渡邊愛加、土田帆乃香らを軸に追随。第4クォーター序盤に富士通を捉えると、残り約1分には岡萌乃が逆転となる3ポイントシュートを沈め、66-65で勝利した。
山梨は今シーズンより安城学園高校(愛知県)で指導にあたっていた金子寛治氏がヘッドコーチに就任。新たなスタートを切った。
「(就任から)半年ですが、(目指すスタイルは)伝えています。まだ精度が低いところもあるのですが、ディフェンスで効いていることや、オフェンスでもいくつか良い時間帯があったので、そういったことを全員で共通理解できればと思っています」と、金子ヘッドコーチはここまでを振り返る。
また、キャプテンの岡は、連動性を重視する新たなスタイルについて、こう説明してくれた。
「金子さんのバスケットは人とボールが動くことが大前提。特にクィーンビーズは小さいチームなので、フルコートを使って人とボールが動くことで相手にエラーを起こさせる。それが金子さんのやりたいバスケットだと思っています。それには、つなぎ役がすごく大事で、例えば一人で攻めても次のつなぎがいなかったらそこで終わってしまう。だから次のプレーを予測しないとできないバスケットだと感じています」
その『つなぎ』に関しては、「受けの部分ではだいぶ良くなってきているのですが、まだ意思疎通が取れていないところがあったり、プレーが止まったときに行き詰まってしまったりします」と、岡。一定の手応えを感じながらも、修正点もハッキリと見えているようだ。
実際、敗れた富士通との1戦目では、「ボールが止まったときに、富士通のディフェンスの連携がすごく、返すパスも狙われ、攻めるところがなくなり打つ手がない」状況になったと岡は言う。そのため、「ボールを止めず、ボールをもらいながら1対1を狙うことや、外だけの展開にならないようにペイントアタックやポストをうまく使ったプレーもしないといけない」と、岡は対応策についても冷静に語った。
その岡は、勝った第2戦では10得点8リバウンドを記録。決勝シュートを沈めただけでなく、数字に見えない献身的なプレーでもチームを支えた。金子ヘッドコーチも「バスケットIQがあって、目立たないけれどポストのディフェンスやオフェンスの起点になるなど、心身両面で助かっています」と、チーム最年長の働きを賞賛する。
金子ヘッドコーチと岡キャプテンが同じように発した『共通理解』という言葉。指揮官が求める新スタイルを遂行することは決して簡単ではない。若手選手が多いチームならなおさらだろう。「まだ自分でも分かってないことがあると思うし、その中で伝えていくのは難しいです。ゲームの中で修正したり、(良かった点などを)みんなで話し合ったりして理解を深めないとできないと思っています」と、岡は言う。
今は選手のミーティングも増やし、試行錯誤の日々。チームが強くなるための課題はまだまだたくさんあるが、それでもポイントゲッターの若原愛美や期待のルーキー・出原菜月をコンディション不良で欠く中、富士通を相手に接戦を勝ち切れたことは大きい。
「みんなのコンディションがあまり良くない状態でシーズンをスタートしました。若原や出原など今後を期待される選手たちが離脱している中、中山彩奈や川端日菜子ら若い選手がどんどんと活躍するのはいいことだし、底上げにもなります」と、岡も笑顔を見せた。
新たなスタイルを構築中の山梨QB。伸び代十分のチームは、これからも共通理解を深め、さらに強化を図っていく。