2022.11.10

奮闘を続ける新規参入の姫路イーグレッツ…「ドアマットチームとは呼ばせない」

Wリーグでの壁に直面しながらも常に全力で挑んでいる姫路 [写真]=Wリーグ
フリーライター

 今シーズンよりWリーグに初参戦となった姫路イーグレッツは、開幕からここまで新潟アルビレックスBBラビッツ、デンソーアイリス、トヨタ自動車と対戦。デンソーや前回覇者のトヨタ自動車には連敗となったが、開幕戦の新潟との2連戦では、2戦目で白星を奪い、記念すべきWリーグ初勝利を挙げた。

「(新潟の)1戦目は少し引き気味だったのですが、その試合で自分たちもできるということが分かりました。2戦目の勝ち以上に、アグレッシブにいったら戦えるということを知ることができ、いい経験になりました」と、新潟との試合を振り返ったのはキャプテンの白崎。これまでの戦いについても、「シュートを決め切れなかったり、体の当たりで負けてしまってターンオーバーが増えたりすることがチームの課題です。ただ、ディフェンス面では高さで勝てない分、ダブルチームなど、課題にしてきたことが少しずつできるようにはなってきたとは思います」と、語った。

 その白崎は、11月6日時点で1試合平均24.67点を挙げ、得点ランキングでは堂々の1位。本人は「ビックリだし、ラッキーです」と謙遜するも、試合では緩急を付けたドライブからのシュートや3ポイントシュートなどで得点を奪い、点取屋としての実力をいかんなく発揮している。

 チームは、白崎を筆頭に矢野凪紗、樋口栞帆らが得点源。また、ハードなチームディフェンスも特長だ。デンソー、トヨタ自動車には大差での敗戦を強いられたが、「デンソー戦でもディフェンスなど、練習でやってきたことをやろうとしていました。だから、何点取られてもいいから思い切ってやろうと言いました」と、伊與田好彦ヘッドコーチは言う。また、トヨタ自動車との第1戦後にも、「さすがはトヨタ自動車というところが随所に出ていましたが、第2クォーターからは全然逃げていなかったと思います」と、選手の健闘を称えていた。

 さらに、試合を重ねるごとに「やってきたことで通じる部分があるんだという気付きがあることが良いと思います」とも語る。

「変に暗くならないし、『やってみよう』といった感じで取り組んでくれる」(伊與田ヘッドコーチ)という姫路の選手たちは、試合ではどんなに点差が離れても、最後まで諦めない姿勢を見せる。そして何より、ベンチが明るいのだ。

 これには、「褒めるようなプレーがあったら盛り上げるし、そこが一番の良さだと思っています」と、白崎。試合終了までワンプレーにこだわり、そこでの好プレーにベンチも沸いているのだと教えてくれた。

「試合をしながら、自分の経験値も上げていきたい」というキャプテンの白崎 [写真]=Wリーグ


 もちろん勝ちは意識するが、それだけではなく「自分たちのやるべきこと、ヘッドコーチのバスケットを徹底する」ことにも重きを置いているとのことで、さらに白崎は「全力で最後まで戦い続ける姿勢を周りの人に見てもらうことが、新規参入チームとしての精一杯だと思っています。だから絶対にベンチが盛り下がることはないし、そういったことをみんなが自然に共有理解としてできているので、暗くなることもなく、やっていて本当に楽しいです」と、熱い思いを語った。

 Wリーグ1年目。だからこそ、「逆に“新規参入”を強みにして、いろいろな人に応援されるチームになれればと思っています。リーグ戦を通して、自分たちのスタイルを最後まで貫いて戦うことを目標に頑張りたいです」と、白崎。また指揮官も、「自分たちのやれることをやっていく。それと、ドアマットチームと呼ばれないようにしようと言いながらやっています」と、声を弾ませた。

 関西から新しい風を吹かせている新規参入の姫路。約1カ月にわたる中断期間を経て、Wリーグが再開されるのは12月10、11日。姫路にとっては初のホームゲーム開催を迎える。

取材・文=田島早苗