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10月19日に行われた第24回Wリーグの開幕戦に登場したトヨタ自動車アンテロープスは、その試合でENEOSサンフラワーズに快勝。同カードとなった翌日の試合には僅差で敗れたものの、そこからは4連勝で、現在5勝1敗としている。
この6試合すべてでスターターとして出場しているのがパワーフォワードの宮下希保。アイシンウィングスから移籍で加入し、トヨタ自動車では2年目となる24歳だ。
「もともとアイシンでは点を取るスタイルだったので、(移籍1年目の)昨シーズンは結構自分の中で悩みました。トヨタ自動車は点を取る人やゴール下で体を張る人、シューターもいます。点を取りに行くことは時間帯によっては必要ですが、それよりは味方へのアシストやスペースを見て空いているところに動くなど、チームの流れを作れるようなプレーをしようと思っています」と、宮下は今シーズンでの意気込みを語る。
今は主に4番ポジションとして出場しており、「体が強いところが武器だと思っているので、体を張ったディフェンスをしていきたいし、オフェンスではスペースを見ての飛び込みやボールをつなぐこと。合わせのプレーを買われていると思っているので、そこは強みにしていきたいです」という。
実は今シーズン、宮下は8月のサマーキャンプまでは3番ポジションだった。だが、オフェンス面で迷いがあったことなどから大神雄子ヘッドコーチと相談の上、「4番ポジションで土台を作って、3番ポジションへと広げていく」こととなったという。「今はその初期段階です」と語るが、試合では「(馬瓜)ステファニーがインサイドに入ったときは、私が外に出てプレーするし、バランスを見ながらやっています」と、3番ポジションの馬瓜とともに、状況に応じてフレキシブルに動いている。
先に挙げたように、今シーズンからスターターとして出場。プレータイムも昨シーズンより大幅に伸ばしているが、これには「毎試合ビビっていますし(笑)、プレッシャーもあるのですが、やるしかないなという気持ちでいつもやっています」と、コメント。さらにこうも続けた。「それに、そういうことを考える暇もないぐらい、みんなが勝つ気でいるし、そんなことを考えていたら置いてかれるので、毎日必死です」。
4シーズン所属したアイシン時代は1年目から主軸を担い、すべてのシーズンで、1試合平均得点は2ケタをマーク。力強いドライブや3ポイントシュート、ときにはインサイドプレーと得点パターンは多く、3年前の「FIBA女子オリンピック プレ・クオリファイイング・トーナメント2019(アジア・オセアニア)」でトップの日本代表デビューも飾っている。
その攻撃力の高さは多くの人が知るところ。だが、現在のチームでは、アイシンの頃とは役割も異なり、当時のように点を取ることに特化しているわけではない。そのため、「試合には出ているけど、そこまで点を取るプレーをしているわけではないので、アイシンの頃から見てくれている人には物足りないのかなと思うときもあります」という。
もちろん、バスケットにはいろいろな役割がある。宮下もそれは承知しているところ。さらに、「点を取りたいという気持ちはあるし、ステファニーやジュナ(梅沢カディシャ樹奈)が止められたときは、私も点にからみにいかないとチームの得点も伸びないとは思っています」と、得点に対する意欲は変わっていないようだ。その上で、「レベルの高いバスケットの中で点を取れる選手になりたい」と、新たな思いも語った。
「今年のトヨタのバスケットには宮下が必要だと言われる存在になりたいです。ファンの方にはこれからの成長を見ていただけたらと思います」(宮下)
今シーズンのトヨタ自動車におけるキープレーヤーともいえる宮下。彼女の新たな挑戦は、始まったばかりだ。
取材・文=田島早苗