2020.01.31

【2020の夏をONEバスケが盛りあげる!】日本代表のキープレーヤー 網本麻里×渡嘉敷来夢対談「ともに東京オリンピック・パラリンピックでメダル獲得を目指す!」

この日が初対面とは思えないぐらい意気投合した渡嘉敷来夢(左)と網本麻里 [写真]=伊藤 大允
フリーライター

東京2020オリンピック・パラリンピックでメダル獲得を目指す、バスケットボール女子日本代表車いすバスケットボール女子日本代表候補のエース2人の対談が今回、車いすバスケ日本代表とバスケットボール日本代表をサポートする日本生命の協力により、実現! 2016年リオデジャネイロオリンピックでベスト8進出の立役者となった渡嘉敷来夢。そして2008年北京パラリンピック4位の原動力となった網本麻里。2人に海外でのプレー経験、自身2度目となる“世界最高峰の舞台”への思いなどについてインタビューした。

取材協力=日本生命
取材・文=斎藤寿子
インタビュー写真=伊藤 大充

「もっとうまくなりたい」と海外にプレーの場を求める

アジアオセアニアチャンピオンシップス日本代表(AOC)ではポイントゲッターとして活躍する網本麻里 [写真]=張理恵


2016年のリオ大会以来2度目のオリンピックに臨む渡嘉敷来夢 [写真]=伊藤 大充


――2013年9月に東京オリンピック・パラリンピック開催が決定した際、どのような思いを抱きましたか?

渡嘉敷 ちょうどリオに向けての日本代表合宿をしていたので、チームのみんなで東京開催が決まったことを喜び合いながら「まずはリオで頑張ろう!」と改めて気合いを入れた感じでした。個人的には母国開催ということで「絶対に東京にも出たい!」と強く思いました。

網本 私はオーストラリアのリーグに出ていたので、テレビでそのニュースを知りました。女子の車いすバスケはロンドン、リオと出られない悔しさを味わっていたので、自分も3大会ぶりに、しかも母国開催で出られたらうれしいなと想像するだけでワクワクしました。

――それぞれ1度ずつオリンピック、パラリンピックを経験されています。

網本 19歳の時に北京パラリンピックに出場したのですが、初戦の中国戦は緊張もしていましたし、小さい時からの夢舞台だったので気持ちが舞い上がってしまって、ぜんぜん自分のプレーができなかったんです。でも、途中でフリースローを得た時に、スタンドから「麻里ちゃん、がんばれ!」っていう声が聞こえたんですね。「応援してくれる人たちのために頑張らなくちゃ!」と思って、それからいつも通りのプレーができるようになりました。

19歳で初めて北京パラリンピックに出場した網本は観客席からの声援で自分を取り戻した [写真]=伊藤 大充


渡嘉敷 19歳でそんなこと思えるなんて、すごいなぁ。私にとってもオリンピックは夢舞台で、19歳の時はまさかそこに立てる日が来るなんて思ってもいなかったんです。でも、リオで出られることになったのですが、意外にもあまり緊張することなくプレーできました。ちょうどアメリカのWNBA(アメリカ女子プロバスケットボールリーグ)でプレーしていたシーズンで、なかなか出場機会が得られず、試合に飢えていました。今思うと、それがかえって良かったのかなと。結果はベスト8進出で「おめでとう」と言っていただけたのですが、自分としてはやっぱり悔しさの方が大きかったですね。ただ、最後の準々決勝で世界最強のアメリカと戦えたことが大きな収穫でした。見ているだけではわからないものを肌でしっかりと感じることができて、次へのステップを踏むことができた大会でした。

日本ではほとんどしたことのないベンチスタートも海外で経験

――海外リーグでのプレー経験によって、感じたものとは?

渡嘉敷 2013年のアジア選手権で日本が43年ぶりに優勝して、私がMVPをいただいた時に「各大陸でMVPを取るような世界のトップ選手たちとプレーしてみたい」と強く思ったのが、アメリカに行こうと思ったきっかけでした。その翌シーズンに初めてWNBAに挑戦したのですが、何よりも身体能力の高さとボールへの執着心の強さを感じました。それとプレーで自分をアピールしていかないとボールが回ってこないので、パスが来たらまずはゴールを狙っていく姿勢が必要でした。ただ、ディフェンスの技術だったりスピードという点では1年目から十分に通用していたので、大きな自信になりました。

渡嘉敷はアジア選手権でMVPを獲得したことで「各大陸のMVPとプレーしたい」とWNBA挑戦を決めた [写真]=伊藤 大充


網本 2011年からオーストラリアの女子リーグでプレーしていたのですが、2015年にアジアオセアニアチャンピオンシップスで出場権を逃した時に「このままではダメだ」と思って、男女混成で行われているドイツやスペインのリーグに行きました。高さもスピードもある男子を相手に、自分のプレーをどう活かすことができるかということを学ぶことができました。特にディフェンス面では、スピードで上回る相手でも、動きを予測することで止められたりできるようになったのは収穫だったなと思います。それと日本ではそれまでスタメンが当たり前だったのが、なかなかプレータイムがもらえず、途中出場ということがほとんどだったので、ベンチスタートの選手がどれだけ大変なのかということを身をもって知ることができました。

渡嘉敷 私もアメリカではプレータイムがなかなかもらえなくて、途中から出ることがほとんどだったんです。日本ではスタメンだったのでわからなかったけれど、試合の流れをどうやってもっていくのか、あるいは悪い流れをどう断ち切るのかを考えながら入ってプレーしなければいけないので、ベンチスタートの選手ってすごいんだなってわかりました。

日本代表のエースが挑む東京2020オリンピック・パラリンピック

――バスケットボールに対する盛りあがりをどう感じていますか?

渡嘉敷 東京オリンピックが近づくにつれて、盛りあがってきているなと感じています。会場に来てくださるファンの方々はもちろん、日本生命さんのように企業にも日本代表をバックアップしていただいて、日本全体で応援してもらっているなと。だからこそ、選手としてはそれに応えられるような結果をオリンピックで残したいと思っています。

網本 2月には毎年「国際親善試合女子車いすバスケットボール大阪大会(大阪カップ)」や、2018年、2019年の2年間「日本生命 WOMEN’S CHALLENGE MATCH」などを開催していただいているのですが、どんどん観客の人数が増えているんです。車いすバスケの認知度が高まっているなと感じていて、より一層「頑張ろう」と思えます。今回も日本生命さんが大阪カップのイメージ動画を制作してくださったのですが、それがすごくかっこいいんです!

渡嘉敷 (動画を見て)迫力あって、かっこいいですね!これを見ただけで、車いすバスケも体格の違う相手と戦っているんだなということがわかって、自分ももっと頑張ろうって強く思いました。

――約半年後に開幕する東京オリンピック・パラリンピックへの思いを聞かせてください。

渡嘉敷 日本は高さがない分、スピードとチーム力で戦っています。特にチームディフェンスには自信を持っていますね。身長2メートル台の選手と1対1になるとかないませんが、そこでフットワークを活かしてカバーし合ったり、下から手を出したりしながら、チームでいかに相手を嫌がらせられるかが重要かなと。それを強みに40分間戦うことができれば、日本はシュート力も高いので、東京オリンピックではメダルを狙えると思っています

網本 私たちが強みにしているのはスピードとトランジションの速さです。それとディフェンスではボックスアウトまでしっかりとやること。あとは東京パラリンピックまでに、課題としているシュート力をいかに高めていけるか。車いすバスケ女子日本代表のチームスローガンでもある「一致団結」で、目標としている銅メダルを目指したいと思います。

オリンピック・パラリンピックイヤーを迎え、周囲の盛りあがりを感じているというお二人 [写真]=伊藤 大充

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