Bリーグ公認応援番組
『B MY HERO!』
前日の準決勝敗戦からの気持ちの切り替えが難しいなか、「自分たちのバスケットを40分間やり続けよう」とコートに立った。
相手との力の差は明らかだった。ならば、勝たなければいけないのは自分自身。
全員出場、全員得点を目標に”日本のバスケ”を追求した。
先頭に立ってチームを勝利へと導くという意志を表すかのように、キャプテン・藤井郁美が先制点を奪う。大胆な選手交替を繰り返しながら、それぞれのユニットごとの色を生かしながら戦っていく。この日も網本麻里のスタイリッシュなバックシュートは健在、萩野真世、北間優衣らローポインター陣もしっかりと仕事をしながらチャンスがあれば迷わずゴールを狙った。
今大会、プレータイムがあまり多くなかったハイポインター・土田真由美や、ミドルポインター・小田島理恵も得点を挙げ「全員バスケ」が厚みを増す。
36-6で前半を終えると、後半もその勢いは衰えることがない。
清水千浪が得意のドライブから得点を生むと、障がいの程度が一番重い1.0クラスの財満いずみや、チーム最年長・クラス1.5の大島美香も渾身のシュートを決めた。
ディフェンスリバウンドからオフェンスに転じると、相手ディフェンスを抜き一気にゴールめがけて走り、華麗なレイアップシュートが次々と決まる。「ナイスアーリー!」とベンチからの声。
この、一人走り抜けてレイアップで得点するシーンが多く見られたのも、「トランジション」と「走るバスケ」を追求してきたからだろう。
試合前に誓った通り、自分たちのバスケを全員で推し進めた日本が85-22で快勝し、銅メダルを獲得した。
全6試合。メンタル、フィジカルともにタフな試合が続いた。
勝利こそ逃したものの、地道に取り組んできたディフェンスでは世界の強豪を相手に大きな手応えをつかんだ。
網本は、「トランジションの速いバスケで、展開の速いアーリーのバスケができているときは自分たちの流れが作れた。ディフェンスも高いラインで張れるということがわかったので自信にしたい」と堂々と語った。キャプテンの藤井は今大会での戦いを振り返り、「一言で言えば悔しい大会で、優勝という目標を達成できなかった。だけど、ここがゴールではない。来年に向け成長していくしかないので、日本に帰って”再スタート”を切りたい」と、しっかり前を向いた。
中国とオーストラリアによる決勝戦は、53-31で中国が圧勝し優勝。
これで、アジアオセアニア地区からは、中国、オーストラリア、そして開催国・日本が東京パラリンピック出場を決めた。また、個人賞では、チーム最年少の柳本あまねがオールスター5に選ばれた。
戦いは終わったばかりだが、2カ月後には「2020 国際親善女子車いすバスケットボール大阪大会(通称:大阪カップ)」が行われる。今回対戦したオーストラリアのほか、カナダ、イギリスとの戦いが待ち受ける。とくにイギリスは、昨年の世界選手権で準優勝しているチーム、熱戦が期待される。
パラリンピック本番まで、残り8カ月。女子日本代表はさらにギアを上げていく。
文・写真=張理恵