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『B MY HERO!』
2020年東京パラリンピック予選会を兼ねた、車いすバスケットボール・アジアオセアニア地区の公式戦「2019アジアオセアニアチャンピオンシップス」(タイ・パタヤ)。大会3日目の12月1日、女子日本代表は予選ラウンド2戦目となる中国戦に臨んだ。
世界選手権4位の中国は日本にとって最大のライバル。昨年10月に行われた「アジアパラ競技大会」決勝では35-65と大敗を喫した相手だけに、この一戦にかける思いは大きかった。
「がんばろう!オー!!」
円陣を組み、声を合わせ、拳を高く突き上げた。
「JOY!」、「JOY!」……ベンチからエネルギーがコートに送られる。
試合は、中国の先制点で幕を開けた。序盤から激しい攻防が繰り広げられる。何度も果敢に攻めるも、世界4位の壁は高く立ちはだかる。一気に8点差にまでリードを広げられるが、日本に前日のような硬さは微塵もない。走って走って必死に食らいつき、ディフェンスでリズムを作りながら攻撃を仕掛けていく。しかし、無情にもリングに跳ね返され続けるシュート。前半を14-26の12点ビハインドで折り返した。
第3クォーター開始から立て続けに得点を奪う中国。どんどんと引き離され、3分が経った頃にはこの日最大となる20点差にまでリードを許した。その苦しい展開を打開する突破口となったのが、網本麻里の鮮やかな3ポイントシュートだった。チームは息を吹き返し、上昇気流に乗り加速していく。
「自分たちがやらなければいけないこと、これまでやってきたこと、それをコートで出そうと強い気持ちでシュートを狙いに行きました。そして、最後まで諦めずに、『ディフェンスでしっかり1本止めていこう!』とみんなで声を出してコミュニケーションを取ることを意識しました」
網本がこう振り返るように、「シュートを狙いに行く」という勝利への真っ直ぐな思いが、前半までの迷いを打ち消し、彼女らしい伸びのあるシュートを生み出した。攻めの姿勢で計3本の3ポイントシュートを決め点差を縮めた。
その勢いを後押ししたのは、この日のために時間をかけて積みあげてきたディフェンスだった。日本に本来のスタイルを崩された中国はプレーに迷いが生じ、リズムが乱されたことでシュートミスが続いた。一方で倒れても倒れても立ちあがり、最後までアグレッシブに挑み続けた日本。40-48で試合を終え、勝利にはあと一歩及ばなかったものの、1年間で22点もの差を詰めた手応えは大きい。“世界4位”はもはや「高い壁」ではなく、「越えられる壁」となりつつある。
「1年前とは違いフィジカルでも『いける!』と全員が感じたと思います。自信を持って次につなげていきます」と藤井郁美キャプテン。40分間、コートでファイトし続けた網本も「自分たちのバスケを40分間しっかりやって、試合ごとに修正して右肩上がりに良くしていけるようがんばります」と頼もしく意気込みを語った。
日本は3日、予選2ラウンド目となるオーストラリアとの対戦に臨む。「一致団結」をチームスローガンに、「優勝」に向けて突き進む。
文・写真=張理恵