2024.06.17
2月の世界最終予選を勝ち抜き、今夏にパリで行われる世界大会への出場権を獲得した女子日本代表。これで2016年のリオデジャネイロ大会、2021年の東京大会、20204年のパリ大会と3大会連続での出場となる。
チームはすでにパリに向けて5月上旬から活動を開始。6月には「三井不動産カップ2024(北海道大会)バスケットボール女子日本代表国際強化試合」(北海道札幌市)の開催が予定されている。
日本代表のオフィシャル街づくりパートナーである三井不動産株式会社が特別協賛する「三井不動産カップ」は、新型コロナウイルス感染症の影響で開催が見送られた2020年を除き、2016年から毎年開催。「ハイファイブキッズ」などのアクティベーションで、日本代表を応援する機運を盛り上げたのはもちろん、国際大会に向けた日本代表の強化の中で大事な役割を担ってきた。
昨年は、6月に高崎の地に女子デンマーク代表を迎え入れ3試合を戦った。当時の世界ランキングでは日本が9位でデンマークが52位と実力差はあったものの、3連勝という結果以上に「トレーニングしてきたことを表現し、発揮することができました。もちろん、まだ目標には到達していないですが、確実にステップアップしていて、手応えを持って次の課題をクリアしていけます」(恩塚亨ヘッドコーチ)と、内容にこだわった戦いに指揮官も充実感を漂わせていた。
また、当時チーム最年少だった朝比奈あずさ(現在は筑波大学3年)を最終戦では17分半起用するなど、三井不動産カップは若手選手にとっても経験を積む場となっている。
ここで注目したいのは3年前の2021年。この年はコロナ禍により開催が1年伸びた東京オリンピックが行われた年で、三井不動産カップは6月と7月に2度開催された。
1度目(6月)の神奈川大会は女子ポルトガル代表との3戦。当時、「チーム練習ではなかなか味わえない、貴重で数少ない試合」と、髙田真希(デンソーアイリス)が語ったように、この大会では海外チームとの試合が実現したことに意味があった。というのも、2021年はまだ新型コロナウイルス感染症の影響があり、女子日本代表も海外遠征を行うことができていなかったからだ。海外チームとの試合は実に16カ月ぶり。ポルトガルとの対戦を通じて、国内練習では感じない高さや強さの感覚を取り戻すことができた。
さらに選手たちにとっても東京での世界大会ロスター入り(12名)を懸けたトライアウトでもあったため、コートに立てば、それぞれが持ち味を発揮。このとき指揮を執っていたトム・ホーバスヘッドコーチ(現・男子日本代表ヘッドコーチ)も「(日本の)オフェンスとディフェンスの何が良いのかを確認できました。いろいろなディフェンスを試したけれど、それに選手が対応してくれたし、トライアウトの中で選手たちはいい勉強になったと思います」と、振り返っている。
続く2度目の三井不動産カップ(埼玉大会)は7月に女子ベルギー代表と女子プエルトリコ代表とを呼んで埼玉で開催。東京での世界大会直前で、日本もロスター12名が決定した上での試合となったが、ここで日本は最高のプレーを披露した。
それこそ、1カ月前の神奈川大会では実戦が遠のいていたこともあり、うまく噛み合わない時間帯もあったのだが、埼玉大会ではチームプレーや個人のプレーに精度が増し、高いパフォーマンスを発揮。ベルギーとプエルトリコも世界大会に向けてチーム作りの終盤という状態だっただけに、日本を含めた3チームともに好ゲームを演じた。
中でも髙田が「この勝利は自分たちにとっても大きな自信になりました」と語ったベルギー戦は、世界大会本番での日本の躍進を予見するような戦いぶりだった。
WNBAでも活躍していたエマ・メッセマンらタレントがそろうベルギーに対して、試合では持ち味の3ポイントシュートを武器に日本が第1クォーターを26-21とリードする。しかし、第2クォーター中盤に追いつかれると、そこからは一進一退の展開に。それでも同点で迎えた第4クォーター、やはりここでも連続3ポイントシュートで抜け出すと、ベルギーをこのクォーター11点に抑える激しいディフェンスも光り、世界ランキングで上を行くベルギーを84-76で振り切った。(当時の世界ランキングはベルギーが6位で日本が10位)
続くプエルトリコ戦でもチーム浮沈のカギを握るシューター陣が本来の調子を取り戻し、指揮官やファンを安堵させた。結局、世界大会を控えた2021年の三井不動産カップは5試合を戦って全勝。結果だけでなく内容ともに夏の祭典に向けてチームの背中を押す形となった。
2024年は3年前と同じく世界大会を控える年。6月の三井不動産カップ(札幌大会)では強豪の女子オーストラリア代表と対戦することが決まっていて、7月(東京大会)にはニュージーランドとの試合が控えている。
現在、選手たちはパリを目指してメンバー争いの渦中にいる。そしてチームとしても東京大会に続いて金メダルが目標であることは変わらない。
いろいろなことをトライし、選手やチームが現在地を知ることができる三井不動産カップ。世界の頂点へと突き進む女子日本代表にとっては切っても切れない大会といえる。
文=田島早苗
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