2024.06.02

アメリカでレベルアップを図るテーブス流河…ホーバスHCは「スティーブ・ナッシュみたい」

メディア対応を行ったテーブス流河 [写真]=バスケットボールキング
フリーライター

 5月20日から30︎日の期間で開催された男子日本代表の第1次強化合宿(ディベロップメントキャンプ)。同キャンプに参加したテーブス流河は、アメリカでプレーし、秋には全米大学体育協会(NCAA)1部(DⅠ)のボストンカレッジへの進学が決定しているポイントガードだ。

 5月24日の公開練習では記者から昨年夏に行われた「FIBAバスケットボールワールドカップ2023」を踏まえて男子日本代表の感想を聞かれ、「(ワールドカップでの)試合を見て感じたことは速い展開で3ポイントシュートを積極的に打つバスケットなので、見ていても分かりやすいと思いました。(今回のキャンプも)そういうバスケットをするのかなという予想はしていたのですが、その通りで、自分も速い展開のバスケットが好きなので、自分に合っているかなと思いました」と、語った。

 アルバルク東京の司令塔で2月には日本代表として「FIBAアジアカップ2025予選 Window1」を戦ったテーブス海を兄に持ち、父は16シーズンぶりにWリーグ制覇を果たした富士通レッドウェーブの指揮官・BTテーブス氏。流河自身は、実践学園中学校(東京都)、報徳学園高校(兵庫県)と全国で活躍した後、高校2年生のインターハイを最後に渡米した。

 味の素ナショナルトレーニングセンターにて合宿に参加するのは2019年度のU15ナショナル育成センター(男子)キャンプ以来。そのため、「こういう(場での)経験がないので、兄に聞きました」と、海からアドバイスをもらったようで、「考えるバスケット。ドリルの説明のときはちゃんと集中して聞いてやってください」と言われたという。実際に、「言っていたとおりで、説明を聞き逃すと分からなくなるので、練習に入る前はメンタルも準備して一個一個集中するようにしています」と、合宿の感想を語った。

 また、父からは「こういった合宿ではチームのことに集中する必要があるので、自分のプレーに頭が回らないことがあるけれど、いつも通り、自分のやっているプレーを表しなさい」というアドバイスをもらったとも教えてくれた。

「ドリブルとシュートとパスと判断力が自分の強みです」という流河。「アメリカはチームの練習以外に個人のワークアウトが多いので、個人の技術が上がる環境ができています。そういったワークアウトを積み重ねで実力は上がったかなと感じています」と、アメリカでの成長を語る。さらに日本とアメリカとで身に付けたことについてはこのようにコメントした。

「日本は規律のあるカルチャーで、それがバスケットにもつながっていると思っていて、例えば、監督の話をちゃんと聞いて自分で表すというのは日本人選手はできていると思います。アメリカの選手は高校だと自己主張が激しいので、(コーチから)言われても自分で表そうと思わない選手が多い。自分は監督の言ったことをコートで表現できるスキルというのがあったので、大学のコーチからも勧誘されたところはあると思います。ただ、アメリカでは自己主張、どんなコートであれどんな環境であれ自分の良さを表すスキルは学ぶことができていると思います」

 そんな流河、そして海の兄弟について男子日本代表トム・ホーバスヘッドコーチは、こう評する。

「似てるアクションもあるけど、流河はシュートが上手です。流河は小さいポイントガードのプレーをしていてして、海は大きいポイントガード。パスなどが力強い。流河は(スティーブ)ナッシュみたい。2人とも少しずつ違っていて面白い選手です」

「小さい頃からA代表を目指していて、兄もA代表に入れているので、兄といつかプレーできるようにという目標があります」と、先の目標を発した流河。

 兄も2年生の途中まで日本の高校でプレーし、その年の夏にアメリカへと渡った。同じ道を辿っている流河は、「昔は結構兄弟喧嘩していましたが、今は仲がいいです」という兄の背中を追いながら、これからも日々、研鑽を磨いていく。

文=田島早苗

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