2019.02.19

「観る」と「やる」とでは大違い! 機会を逃さずトライしたい「車いす体験コーナー」で聞いてみた

大阪カップでは車いすバスケを体験する『日本生命チャレンジコーナー』が設けられた
バスケットボールキングプロデューサー(事業責任者)。学生バスケをテーマにしたCM制作に携わったのがバスケに関する初仕事。広告宣伝・マーケティング業務のキャリアが一番長いが、スポーツを仕事にして15年。バスケどころの福岡県出身。

 2月15日から17日まで丸善インテックアリーナ大阪で行われた『2019国際親善女子車いすバスケットボール大阪大会』(大阪カップ)は、国内では世界の強豪が集うことで貴重な代表強化の機会だが、観戦者にとっても、非常に価値が高いと言える。

 なかなか馴染みのない車いすバスケットボールだが、生観戦から得ることのできるこの競技独特の迫力は画面越しにはうまく伝わらないことも多く、可能なかぎり現地で観戦することをお勧めしたい。また併せてぜひ体験してほしいのが、各大会などで行われる車いすバスケットボールの体験コーナーだ。

 今回開催された大阪カップで、試合開始前後や、試合と試合の間に行われていたのは、日本車いすバスケットボール連盟をスポンサードする日本生命保険相互会社が実施する『日本生命チャレンジコーナー』だ。

 アリーナの空きスペースに設置されたこのコーナーで、観戦に訪れた大勢の人々が実際に競技用車いすに乗ってバスケットボールに挑戦した。キュキュっと小回りの効く競技用車いすの性能に驚きを見せると、口々に「ゴールが高い!」「届かない」と“見るとやるでは大違い”な現実をしっかりと体験。目の前で繰り広げられた車いすバスケットボールの試合の観戦直後に参加した若い男性は「あの車いすを片手で操作しながら、片手でボールを遠くまでパスするなんて考えられないです!」と実際に車いすを操作してみないと体験できない難しさに感嘆の声をあげる。

「遠いというか、高いから全然シュートが入らない……」と悔しさをにじませる少年は、列の後ろに並んでは、上空へそびえるように口を開けるリングに向かって何度もシュートを挑戦。難しくも楽しさを感じている様子で、試合と試合の間にも関わらず、アリーナの一区画では大変な熱気となった。

車いすバスケに挑戦した来場者

 会場で参加者の様子を見守っていた日本生命保険相互会社オリンピック・パラリンピック推進部東京2020推進担当課長の林正浩さんに話を伺ったところ、「今回ように、(大きな)試合を(大勢の方々に)観戦していただくだけではなく、実際に競技を体験していただくことで車いすバスケットボールの認知を拡大したいという目的があります」と企画趣旨を語ってくれた。続けて「多くの家族連れの方が参加して喜んでいただいているのは率直に嬉しいですし、体験することで、競技の魅力・難しさを実感していただくことには大きな意味があると思っています」と述べる。

 大会ごとの参加者に対するアプローチとなるため地道な活動にはなるが、林さんは「こうした活動が、オリンピック・パラリンピックのムーブメントを開催地である東京だけではなく、日本各地に拡げる一助になればと思っています。この活動に参加した方が車いすバスケットボールのファンとなり、アンバサダーとなって、競技の魅力を発信してくれると嬉しいですね」と笑顔を見せると、「競技を盛り上げてムーブメントを創っていくのは、オリンピック・パラリンピックのゴールドパートナーである弊社の使命だと思っています」と力強く締めくくった。

 日本生命では2020年の3月まで(事業のスタートは2018年7月から)『日本生命 みんなの2020全国キャラバン』と銘打って、全国47都道府県を巡り、車いすバスケットボール体験会を開催すると言う。大会以外でも車いすバスケットボールを身近に感じるチャンスがあることは嬉しい限りで、オリンピック・パラリンピックを支えるパートナーも、スポーツの裾野を広げる大きな役割を担っていることが分かる。

 観戦機会も体験機会も限られてはいるものの、オリンピック・パラリンピックの本番まではまだまだ時間がある。少しでも興味が湧いたならば、チャンスを逃さないように体験しよう。きっと競技の魅力がますます深まるはずだ。

文=村上成

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