2018.02.16
ピート・マラビッチ。1970年代のNBAで活躍し、“ピストルピート”の異名を持つレジェンドである。
1970年にNBA入りし、アトランタ・ホークスやニューオリンズ・ジャズなどでプレーしたマラビッチは、キャリア平均24.2得点4.2リバウンド5.4アシスト1.4スティールを残し、オールスター選出5度を誇る。オールNBAファーストチームとセカンドチームにそれぞれ2度選ばれた実績を持ち、バスケットボール殿堂入りも果たした名選手。
3ポイントシュートがなかった時代にデビューしたマラビッチは、他の選手とは一線を画す“ショウマン”だった。ロングレンジシュートを鮮やかに決めたかと思えば、リング下で華麗なフィニッシュ、相手選手どころかチームメートでさえ驚くような鋭いパスを繰り出すなど、独特のプレースタイルで人気を博した。
そんなマラビッチに対して、“我こそが現代版”と名乗る選手が現れた。ゴールデンステート・ウォリアーズのステフィン・カリーだ。2月6日(現地時間5日)、現地メディア『Deseret News』に対してカリーはこのように語っている。
「もしも現代のNBAで、マラビッチのようなプレーをしている選手を挙げるなら、カリーと言うだろうね」
キャリア9年目を迎えたカリーは、すでに2度のシーズンMVP(2015,16年)、2度のチャンピオンリング(15,17年)を獲得している現役屈指のスーパースター。3ポイントシュートを歴代最速で2,000本決めるなど、NBA史上最高のシューターとも称される選手だ。
カリーはマラビッチに対して「彼は得点を重ねつつも、クリエイティビティ―にあふれるボールハンドリングで魅せることができた数少ない選手の1人だと思う。彼がカレッジで残した偉業をはじめ、すべてのことを知っているよ」
ルイジアナ州大で4年間プレーしたマラビッチは、平均44.2得点6.5リバウンドというとてつもない数字を残した。NBA入り後もキャリア10シーズンのうち8シーズンで平均21得点以上、76-77シーズンには平均31.1得点を挙げて得点王にも輝いた。
マラビッチのプレーは、まるでダンスでも踊っているかのような印象を与えるほど、独特だった。頭に描いたことのある空想のようなドリブルムーブからタフショットを決めることも多々あった。一方、カリーは信じられないほど広いシュートレンジから、地球上で見たことのないようなシュート力で得点を量産し、一昨季には平均30.1得点でリーグ得点王を獲得している。
「多くの人が“ピストルピート”のゲームにおける才能を取り入れてきたことで、ゲームが劇的に変化したのは間違いない。クリエイティビティ―に富んでいたから、僕は彼のことをイノベーターだと思ってる。そして彼は常に限界へ挑んでいた」とカリーは言った。
カリーとマラビッチを単純に比較することは難しいが、時折カリーが魅せるノールックパスや針の穴に糸を通すかのような鋭いピンポイントパスには、マラビッチのような華やかさを感じさせるものがある。相手ディフェンダーを鮮やかにかわすリバースレイアップやフローターなども観客を魅了していることは間違いない。カリーの魅力が3ポイントシュートだけではないことは誰もが知るところ。
マラビッチは1988年1月6日(同5日)、40歳という若さでこの世を去った。それから約30年がたった今でも、彼がコート上で残したインパクトの数々は、現在プレーしている選手へ影響を与えているのである。
そして偶然にも、自らを現代版と語るカリーが生まれたのは1988年。現代版マラビッチ、さらにはバスケットボール界の新たな“イノベーター”として、カリーは今後も多くの人たちの記憶に残るプレーを見せてくれることだろう。
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