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7月下旬、2019年のFIBAワールドカップ、2020年の東京オリンピックに向けたアメリカ代表候補選手たちのミニキャンプが行われた。
会場となったラスベガスには、ケビン・デュラント(ゴールデンステート・ウォリアーズ)やジェームズ・ハーデン(ヒューストン・ロケッツ)、ラッセル・ウェストブルック(オクラホマシティ・サンダー)といったリーグを代表する選手たちが集結した。
そのキャンプから約1か月が経過した8月22日(現地時間21日)、現地メディア『The Washington Post』に興味深い記事が掲載されたので紹介したい。
テーマはズバリ、現役のオールスター選手たちによる“スーパーチーム論”。
NBAの歴史上、これまで数多くの“スーパーチーム”が誕生してきた。オールスター級の選手たち3人が同じチームに集結し、スターパワーを持ってリーグを制圧するケースは何度も見られたのである。
直近のNBAでは、ここ4年間で3度の優勝を果たしたウォリアーズがその筆頭だろう。ウォリアーズからドラフトされ、オールスターの常連へと成長したステフィン・カリー、クレイ・トンプソン、ドレイモンド・グリーンという強固な基盤を擁し、16年夏には13-14シーズンのMVPケビン・デュラントを獲得。ウォリアーズは現在、2年連続でオールスターにこの4選手を送り込んでいる。
昨季のファイナルではレブロン・ジェームズ(現ロサンゼルス・レイカーズ)率いるクリーブランド・キャバリアーズをスウィープで下し、2連覇を飾った。『ESPN Stats & Info』によると、レギュラーシーズンとプレーオフ(ファイナル含む)を合算した戦績で、14-15シーズンから17-18シーズンまでのウォリアーズは、328勝83敗で勝率79.8パーセント。約8割という数字はNBA歴代トップだ。
今回のミニキャンプに召集されたオールスタークラスの選手たちにとって、スーパーチームというのは2010年夏に形成されたマイアミ・ヒートの印象が強いという。
この年、ヒートには絶対的エースであるドウェイン・ウェイド(現未所属)の下に、レブロンとクリス・ボッシュ(現未所属)がフリーエージェント(FA)として加入し、“スリーキングス”が誕生。
レブロンが14年夏にキャブスへ帰還したため、ヒートによる“スリーキングス体制”は4シーズンで終わったものの、その期間中はいずれもNBAファイナルへ進出しており、12、13年には2連覇を成し遂げている。
今夏サンダーに残留した“PG13”ことポール・ジョージはこう語る。
「ずっと前ならば、選手たちはチームのためにベストを尽くしてきた。その(中心となる)選手の周囲にどのような選手を加えるか、フロントオフィスの手腕しだいでチームにチャンピオンシップをもたらしていた。でも今はそうじゃないんだ。(選手たちは)そのことを理解しているんだ」。
ワシントン・ウィザーズのオールスターガード、ジョン・ウォールも“スーパーチーム”を構築することが勝利への早道だと自覚している。
「(NBAで)スーパーチームでプレーしていなければ、あるいは3人のスーパースター、3人のオールスターがチームにいなければ、(現代では)勝つことが難しいんだ」。
ここ4シーズンというもの、イースタン・カンファレンスではレブロン率いるキャブスが制し、ウエスタン・カンファレンスではウォリアーズが頂点に立っている。昨季はともかく、一昨季までのキャブスにはレブロンとケビン・ラブに加え、カイリー・アービング(現ボストン・セルティックス)がおり、“ビッグ3”体制で戦っていた。ジョージはこう続ける。
「1人のスター選手が、所属するチームにチャンピオンシップをもたらすことはない。今はそういう時代じゃないんだ。ベテランやレジェンドたちがこの部分を理解してくれているかはわからない。でも彼らが現役だった頃と今は違うゲームなんだ。僕らが別々のチームに散らばったとしたら、いったいどうやってウォリアーズを倒せと言うんだい?」。
昨季のファイナルで、レブロンがウォリアーズに完敗を喫したことも、“スーパーチーム”誕生を加速させるかもしれない。ジョージの考えはこうだ。
「今ではリーグでもベストな男(レブロン)でさえ、タイトルを獲得できていない。(昨季のファイナルでは)スウィープされてしまったんだ。今のNBAで優勝するためには、才能があり、スキルセットを備えた選手たちが必要なんだ」。
昨季ウォリアーズとカンファレンス・ファイナル第7戦まで競り合ったロケッツも、昨年夏にクリス・ポール、先日はカーメロ・アンソニーを獲得し、“スーパーチーム”と化した。ロケッツでシックスマンを務めるエリック・ゴードンはこの風潮についてこう話していた。
「多くの人たちは『選手たちは勝ちたいんだ』ということを理解する必要がある。勝てるチームに行きたいんだ。勝利しているカルチャーを持つチームにいれば、(勝利することは)よりイージーになる。だから多くのスーパーチームを見ることができるのはいいことさ。それだけ選手たちが勝ちたいという意志の表れだからね」。
「そのことを理解しなければならない。それに競い合わなければならないんだ。そしてジムに行って鍛えて、トップレベルまで成長しようとトライするんだ。そうしなければ、(トップレベルまで)行くことはまずできないだろうね」と、昨季のMVPハーデンは言う。
2010年に誕生したヒート版のスーパーチームから、現在はウォリアーズ版のスーパーチームがリーグを席巻しているNBA。ウォリアーズ王朝を終焉へと向かわせるのは、ハーデン擁するロケッツなのか。あるいはウェストブルックとジョージ率いるサンダーなのか。それともレブロンが加入しタフなディフェンスと魅力的なヤングコアを持つレイカーズなのか。
そしてもしも今季、ヒートが達成できなかった3連覇をウォリアーズが成し遂げれば、“スーパーチーム”の流れはますます加速していくに違いない。今季の覇権争いだけでなく、“スーパーチーム”の行方からも目が離せない。
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