2021.08.07
現地時間6月24日。現地メディア『Bleacher Report』へ掲載された記事の中で、アンドレ・イグダーラ(マイアミ・ヒート)が昨季までゴールデンステイト・ウォリアーズでチームメートだったKDことケビン・デュラント(現ブルックリン・ネッツ)について語っていた。
デュラントは2012年のロンドンオリンピック、16年のリオデジャネイロオリンピックでそれぞれアメリカ代表として出場して金メダルを獲得。イグダーラも12年はアメリカ代表のチームメートとしてプレーし、優勝を飾ったのだが、デュラントを語るうえで欠かせない大会があるという。
イグダーラが強調したのは、2010年にトルコで行われたFIBA世界選手権(現ワールドカップ)だった。この年のアメリカ代表は、“コーチK”ことマイク・シャシェフスキーHC(ヘッドコーチ/デューク大学HC)の下、平均年齢24.6歳という若手中心のロースターで大会に臨んだ。
当時30歳以上の選手はチャウンシー・ビラップス(33歳/元デトロイト・ピストンズほか)とラマー・オドム(30歳/元ロサンゼルス・レイカーズほか)のみで、デュラントやエリック・ゴードン(現ヒューストン・ロケッツ)、デリック・ローズ(現ピストンズ)、ラッセル・ウェストブルック(現ロケッツ)は21歳という若さだった。
ロースターにはタイソン・チャンドラー(当時の公称216センチ/元ニューオーリンズ・ホーネッツほか)やケビン・ラブ(同208センチ/現クリーブランド・キャバリアーズ)がいたものの、アメリカ代表はバックコートにローズ、ビラップス、フロントコートにはイグダーラ、デュラント、オドムを配置するスモールラインナップを中心に戦い、金メダルを獲得。
そしてこの大会で世界的な知名度を一気に高めたのがデュラントだった。当時オクラホマシティ・サンダーに在籍していたデュラントは、直前となった09-10シーズンに平均30.1得点を挙げて自身初の得点王となり、オールスターに初選出されたばかりだったのだが、大会3位となる平均22.8得点をマークしてMVPを手にしている。
イグダーラは当時についてこう振り返っている。
「オリンピック出場経験者がいなかろうと(実際には2004年のアテネオリンピックにオドムが出場)、NBAが代表チームを選ぶうえで、タレント面で不足することはない。それにデュラントはすでにレブロン(ジェームズ/現レイカーズ)に次ぐリーグの顔というポジションにいたから、彼が選ばれるのは当然のことだった。最初の3シーズンで頭角を現し、得点王にも輝いていたからね。でも事実上、2010年のFIBA世界選手権は、将来の殿堂入り選手であり、史上最高級のスコアラー、かつオールラウンドプレーヤーとして活躍を続けるケビン・デュラントのお披露目となったんだ」。
今ではごく当たり前の光景となったストレッチ4としてプレーしたデュラントは、大会終盤にかけて調子を上げ、アメリカ代表をけん引。準々決勝(対ロシア)で33得点、準決勝(対リトアニア)では38得点、決勝(対トルコ)でも28得点と、面白いようにショットが決まり、いずれもゲームハイの得点をマークして金メダル獲得の殊勲者に。
デュラントは自らショットをクリエイトしてドライブやプルアップに持ち込むだけでなく、チームでデザインされた中でキャッチ&シュートを沈めることができ、ガードのような走力でファストブレイクの先陣を切ることができるため、大会に出場した選手たちの中でも異彩を放っていた。
「あのトーナメントをとおして、彼がやってのけたようにバスケットボールのゲームを支配した選手を俺は見たことがなかったよ。あのチームは彼を4番に据えて、ストレッチ4としてプレーさせていた。7フィート(213センチ/公称は208センチ)のサイズを持ちながら、彼はインサイドでもアウトサイドでも自在に得点できるんだ。俺たちはそれまで、あんなすごいヤツがいるだなんて思ってなかったから、見落としていたのかと思ったね」。
世界選手権という国際舞台でチャンスをモノにし、文句なしで大会ベストプレーヤーとなったデュラントは、その後もNBAですばらしいキャリアを積んでおり、今ではリーグでも3本の指に入るほどの実力者へと成長。
昨季のNBAファイナルで負ったアキレス腱の断裂から完全復活が期待される来季、デュラントがコート上でどのようなパフォーマンスを見せてくれるのか、楽しみに待ちたいところだ。
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