2020.11.11
シーズン開幕前、ロサンゼルスの二強としてレイカーズと共に優勝候補の一角に挙げられたクリッパーズだったが、蓋を開けてみると、期待値には到底及ばない結末を迎えてしまった。
トロント・ラプターズをチャンピオンに導いた立役者、カワイ・レナードと、リーグ屈指のオールラウンダー、ポール・ジョージを迎えたスクワッドは盤石に思えた。しかし、両者ケガの影響により、チームはケミストリーの構築が遅れ、ジョージに関してはコンディション面でも復調が見られず、「パンデミック・P」という不名誉なニックネームを与えられる始末。結果として、クリッパーズはカンファレンス準決勝でデンバー・ナゲッツに1勝3敗からアップセットを演じられてしまった。
クリッパーズは汚名返上に向け、ドック・リバースの解任、そしてティロン・ルーの昇格と、ヘッドコーチの入れ替えからテコ入れを始めている。しかし、スター選手加入以前からチームを支えるLACの“三銃士”は、監督の人選以上に大きな不満を抱えているようだ。
『The Athletic』によると、パトリック・ビバリー、モントレズ・ハレル、ルー・ウィリアムズは、レナードの“スター選手扱い”に納得がいっていないという。
レナードは、彼の体調管理と、サンディエゴに住むことを理由に、チームからの離脱を許可された時期がある。また、クリッパーズの本拠地から車で約2時間も遠方に住んでいるため、レナードは一度ではなく、度々フライトの時間に遅れることがあったそう。さらに、レナードは、様々な場面でリバース元ヘッドコーチに意見することを容認されていたようで、ベンチにはルーがアシスタントコーチとして座っていたにもかかわらず、リバースとレナードが全権を握るような状況だったようだ。
これを許容するチームの待遇に、3選手は疑問を呈していた模様。理由は成績不振という建前だが、もしかするとリバース解任はビバリー、ハレル、ウィリアムズの声が大きく影響してるのかもしれない。彼らの不満は、ルーのヘッドコーチ就任発表後に明るみとなった。そのため、ルーはチームの中核をなす彼らの心理状況を把握しているものと思われ、来季はチームバランスを取り、平等性を保った判断が求められる。
また、ジョージも未だにチームメイトとの関係性を築けていない。例えば、ナゲッツと対戦したカンファレンスセミファイナル第7戦で、ジョージとハレルが言い合いをするシーンが報じられた。事の発端は、ジョージが立て続けにターンオーバーをしたことで、ハレルはベンチでジョージに説明を要求。しかし、ジョージは逆に自らの非をハレルに擦りつけ、これを受けたハレルは「どうせお前が正しいよ。誰もお前に口答えできないからな」と言い放ったという。
さらに、ジョージは敗戦後、選手全員がチームに残留し、来季に向けて結束を促すようなスピーチを行ったと言われている。しかし、当の本人のシリーズでの不振や、来季多くの選手がFAになる事実がある中での演説に、チームメイトの一部は困惑し、呆れた様子だったようだ。
試合では明るみに出ないロッカールームの状況は、チームの成績を大きく左右するもの。もちろん、レナードやジョージがスター選手であることはチームの全員が認めているはずだが、それを理由に特権が付与されたり、遅刻が許容されることはあってはならない。
そんな状況の最中、レナードは最近、チームにポイントガードの獲得を要求したとされている。果たして、クリッパーズはルーの就任をきっかけに、チーム状況を改善できるのだろうか。ハレルの再契約を含め、オフシーズンの選手補強が、ひとつの指針となりそうだ。
文=Meiji
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